西濃運輸の残業代は平均いくら支給される?サービス残業問題への対策についても解説
大手企業として知られる西濃運輸は、物流業界での転職を考えている方にとっては有力な選択肢の一つです。しかし、西濃運輸には以前、残業代の未払い問題があったことを覚えている方も多いでしょう。
この記事では、西濃運輸のサービス残業は解消されているのか、そして1ヶ月あたりの残業代はどのくらいになるのかといった、転職を視野に入れている方に役立つであろう情報を紹介します。
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西濃運輸の残業代はどのくらいになる?目安の金額とは
現在、西濃運輸における残業時間は平均して月40時間ほどと言われています。残業代の目安としては3万~4万円といったところ。
もちろん平均を大幅に超えて残業している人はもっと大きな額が支給されますし、月90時間近くまで残業しなければならないような繁忙期には8万円以上の残業代が出ることもあります。
ちなみに、物流業界ではそう珍しくない話なのですが、基本給が安いため残業代で稼ごうとする人が少なからず存在します。これは決して健全な態度とは言えず、給与に納得がいかないのであれば副業を始めるなど、別途稼ぐ手段を見つけるべきです。
とはいえ、まだまだ副業で稼ぐことを禁止している企業の多い現在では、意図的に残業しようとする人が出てくるのもある程度仕方のないことなのかもしれません。
では西濃運輸ではどうなのかというと、たしかに基本給は5万円~7万円と安いのですが、業績給や作業給、また各種の手当が充実しています。そのため、職階や実績によって変動はあるにしても、支給される総額は25万円~30万円と決して悪くありません。
一般的な物流会社の水準と比べれば収入が安定しやすいので、わざわざ残業代で稼ぐ必要性は薄いと言ってしまってよいでしょう(あくまでも他の物流会社の比較においては、の話ですが)。
ともあれ、西濃運輸で働く場合、残業代は基本的に月3万~4万円の範囲に収まると覚えておいてください。ただし例外として、12月などの繁忙期には倍程度まで跳ね上がる可能性があります。
西濃運輸の未払い残業問題は解決した?
かつて西濃運輸は残業代の未払いが報道され、ブラック企業として悪評が広まったことがありました。
問題は解決しているのでしょうか。順を追って見ていきましょう。
西濃運輸では残業代を支払わないサービス残業が横行していた!
まずは以前横行していた問題を再確認しておきましょう。
西濃運輸の残業代の未払いが大きく報道されたのは2010年のこと。事務職として働いていた23歳の男性が硫化水素を用いて自殺したのですが、その遺書に「毎日12時間以上働かせ、サービス残業を強要した」という、会社を告発する内容が記されていたのです。
遺族が2012年の暮れに損害賠償請求の裁判を起こしたことで話題が再燃。結果、西濃運輸は2013年のブラック企業対象にノミネートされるという不名誉な記録を作ってしまうことになりました。
また、別件として、長距離トラックのドライバーに月120時間にも及ぶ時間外労働を強いた挙句、残業代を支払わなかったというパワハラめいた問題を起こしたこともあります。
このように、かつての西濃運輸ではサービス残業の強制が当たり前のように行われていました。物流業界においては俄に信じがたいような長時間労働が横行していますが、西濃運輸も例外ではなかったのです。
未払い残業問題を解決するために西濃運輸は対策をしている?
では、上記のような残業代未払い問題を解決するために、西濃運輸は何か対策を実施したのでしょうか。
結論から言うと、答えはイエス。最近頓に叫ばれる「働き方改革」の波に乗って、西濃運輸の内部でも業務の改善が進められています。
そもそも長時間労働が常態化する根本原因は、捌かねばならない荷物の数に対してドライバーの数が少ないことです。この状態を緩和するために、西濃運輸は路線便の一部を鉄道輸送に切り替えることで、一回あたりに輸送できる荷物の量を増やす試みを行っています。
さらに2018年2月、フルトレーラーを導入することが報じられました。これによって従来5コースだったものが3コースに集約され、少ないドライバー数で輸送を行うことが可能になったとのこと。西濃運輸がフルトレーラーを使うのは実に12年ぶりのことだったそうです。
このように、西濃運輸ではモーダルシフトを推し進めることで、ドライバーの長時間労働の削減が図られています。
もし残業代を支払ってくれなかったらどうするべき?
とはいえ、改善の取り組みはあくまでも推進中の案件であり、西濃運輸のすべての営業所でサービス残業を撲滅できたかと言えばそうでもないようです。苛酷な労働環境が残ったままの地域も依然として存在しており、改革が浸透しきるまでにはもう数年の時間がかかると考えられます。
万一そのような営業所に配属されてしまったらどうするべきなのでしょうか。
手段の一つは、労働基準監督署に訴えることです。そして、労基の監査が入ってなお業務が改善されなかったときは、最終手段として裁判に持ち込みましょう。残業代の未払いは違法です。泣き寝入りだけはしないようにしましょう。
実情はどうなの?西濃運輸の残業代に関する社員の口コミ
さて、では実際に西濃運輸で働いている方はどのように感じているのでしょうか。転職サイトには多くの口コミが寄せられます。西濃運輸ほど規模の大きい会社であれば多種多様な意見が出揃っているはず。
残業代が出ないという意見、残業代が出るという意見、双方を見比べてみることにします。
残業代が出ないという意見
まずは残業代が出ないと感じている方の意見から。
担当するルートによって勤務時間が固定されてしまっているため、残業代という概念が実質存在しないという声が出ています。そのわりに拘束時間は長く、慣れるまでは睡眠時間が確保できずに運転中朦朧とするかもしれない、とのこと。
これが本当であれば、かなり危険な状態であると言わざるを得ません。
さらに、月100時間近くの残業が発生するにもかかわらず残業として認められるのは40時間ほどで、大部分は実質的にサービス残業となっている、と証言する人も。
サービス残業の中には営業の見積もりも含まれるそうで、休みがあまり取れないともこぼしていました。
ただし、前者の人は「働き方改革がクローズアップされているので1~2年経てば大きく変わっているだろう」とも述べています。また、後者の人も「支店によっても異なるが」と断りを入れており、やはり会社全体としては改善傾向にあることを示唆しています。
残業代はきちんと支払われているという意見
会社が環境改善に取り組んでいることを証明するかのように、残業代が普通に支払われているという意見も寄せられています。匿名掲示板やYouTubeなどで給与明細を公開している方もおり、見るとたしかに残業代が支給されているのが確認できます。
また、西濃運輸は会社として安全運行を重視しているという意見もありました。道路状況などの条件を考慮してドライバーが安全運転を優先したとき、仮にそれで遅れてしまったとしても、西濃運輸は問題視しないのだそうです。
それで顧客からクレームがあったとしても、ドライバーの責任にはならず会社が処理するとのこと。問題視されるのはむしろ雑な運転や粗末な接客をすることのほうだそうですから、会社の体質が変わってきているのだと理解できます。
また、
- 午前中だけの勤務を認めてくれたり
- 有給が取りやすくなったり
といった声も上がっています。有給に関しては「自分の部署では」という但し書きがついてはいたものの、年間休日数にプラス1日して10連休、と聞くと配慮の大きさがわかりますよね。
ドライバーの負担に関しては軽減される傾向にある、と考えてよさそうです。
まとめ
皆さん、いかがでしたでしょうか?
以前はブラック企業大賞にノミネートされるほど残業代未払いが横行していた西濃運輸ですが、昨今の働き方改革の影響もあって、
- 福利厚生の充実
- モーダルシフトの推進によるドライバーへの負担の緩和
と、会社をあげての取り組みが確かに進められてきています。
徐々にではありますが、労働環境の改善が推し進められており、サービス残業に関しては改善していると判断してもよいでしょう。とはいえ、営業所によってはまだまだ旧態依然とした体制が残されているのも事実。
万一サービス残業を強要してくる営業所に配属されてしまったら、きちんと労基や司法に訴え出るよう行動を起こすことが大切です。繰り返しになりますが、泣き寝入りだけは絶対にしないようにしてください。