フォークリフトを種類別に紹介!1t未満と1t以上のフォークリフトで必要な資格も解説
2019/02/15
倉庫業務における重要な作業の一つに荷役があります。倉庫で仕事をしたいと考えているなら、荷役を行う際に使う機械、フォークリフトについて知ることは必要不可欠と言えるでしょう。
この記事では、実際にどんなフォークリフトがあるのか知りたい方、自分に合った倉庫仕事を見つけたいという方のために、フォークリフトの種類や特徴、免許の取り方について紹介します。
フォークリフトについてまずは知ろう
種類についての説明をはじめるより先に、まずはフォークリフトという乗り物そのもののことを伝えておかなければなりません。
フォークリフトにはどんな仕事ができるのでしょうか。
フォークリフトとは?
フォークリフトとは、荷役用のツメを備えた作業用自動車のことです。
JIS規格によれば、「貨物を保持するための装置を備えていること」「マストを保有していること」「動力を持って走行し、フォークの昇降や傾斜を行うこと」の3つがフォークリフトに必要な条件であるとされています。
フォークリフトができる仕事
フォークリフトは車体前面のフォークで貨物を保持して昇降させたり、貨物を保持したまま移動するための乗り物です。
したがって、倉庫内や港湾設備などでの貨物の移動が役割ということになります。
パレットに載せた荷物やコンテナなどを取り扱います。大きさや重さ、量、運び出しや運び入れを行う場所の高さといった諸条件によって、人力で持ち運ぶことが難しいシチュエーションでフォークリフトが使用されます。
フォークリフトの種類
フォークリフト全般について理解できたところで、次は種類です。
ここからは、フォークリフトにはどんな種類があるのかを見ていきましょう。
カウンターバランスフォークリフト
一般的に見かけるタイプのフォークリフトです。オペレーターは座って搭乗し、レバーやペダルを操作することになります。
車体後部にカウンターウエイトが入っていて、その重さによってバランスをとっているため「カウンターバランスフォークリフト」と呼ばれます。フォークが前方にあるという構造上、荷物を持つとどうしても重心が前に寄ってしまうのですが、後方に重りを備えていれば前傾してしまうことを防げるわけです。
あとで紹介するリーチ式のフォークリフトよりも車体の安定度や強度が高いため、走行速度やフォークの上昇速度が速く、安全性や作業効率に優れています。
反面、車体が大きいので旋回性に劣り、狭所での作業には向いていません。
サイドフォークリフト
名前のとおり、荷役用のフォークとマストを車体の側方に備えているフォークリフトのことです。
荷台が広いため、パイプや木材など長尺物の荷役を行う際に重宝します。
リーチフォークリフト
カウンターバランス式と並んで、一般的に見かけるタイプのフォークリフトです。オペレーターは基本的に立って操作します。ただし、中には座って乗るタイプも存在し、海外ではむしろそちらのほうが主流であるとも言われています。
最大の特徴は、マストを前後に移動させられること。マストを奥に向かって押し出した状態をリーチアウト、手前に向かって引き込んだ状態をリーチインと呼びます。
車体が比較的小さく小回りがきくため、屋内など狭い場所での作業に適します。
逆に、安定性ではカウンターバランス式よりも劣り、マストの剛性も低いため、荷物を高く上げすぎると大きく揺れることがあります。傾斜している場所や雨などで濡れた路面での使用は、転倒のおそれがあり危険です。
マルチディレクションフォークリフト
マルチディレクションフォークリフトとは、前後だけでなく左右方向にも移動できるタイプのフォークリフトのことです。
進行方向を変える際に切り返しを行わなくてもよいため、倉庫内や工場内など、狭い場所で荷役作業を行うときに便利です。
ウォーキーフォークリフト
ウォーキーフォークリフトとは、乗り込んで動かすのではなく、手で持って移動させるフォークリフトです。持つといってもフォークリフト自体はもちろん電動なので、動かすために力が要るようなことは特にありません。
フォークリフトの中でも最も小回りがきくタイプで、リーチ式でも入れないような狭い通路に入り込んだり、エレベーターに乗って上階と下階を行き来することが可能です。
オーダーピッキングトラック
オーダーピッキングトラックとは、フォーク部分だけでなく運転席も一緒に昇降するタイプのフォークリフトです。
オペレーターが手作業でピッキングしたり、荷物を指定の場所に保管したりする際に役立ちます。
高所での作業となるため、上昇する際にはベルトをワイヤーで繋いで安全確保する必要があります。
フォークリフトの動力の種類について
フォークリフトを動かすには当然ながら動力が必要です。
どのような仕組みで動いているのか、また動力源によって特徴に違いがあるのかについて解説していきます。
内燃機関式フォークリフト
フォークリフトに用いられている動力源としては、まず内燃機関が挙げられます。内燃機関とは要するにエンジンのことですね。
燃料にはガソリンやディーゼル、LPGが使われます。フォークリフトではディーゼルが最も一般的と言えるでしょう。スピードを出すより重量物を動かすほうが優先される場合はディーゼルエンジンが採用されることが多く、フォークリフトはまさしくそういう用途の機械です。
電気設備が整っていないところでも動かせるというメリットがある一方、排気の問題があるため閉鎖された空間内では使いにくいというデメリットもあります。
蓄電池式フォークリフト
3トン以下の小型フォークリフトに関しては、内燃機関式よりも蓄電池式のほうが普及しています。蓄電池とは、つまりバッテリーのことです。
蓄電池式は騒音が小さいので、住宅地に囲まれた職場や深夜作業のある職場でも使いやすいのが特徴です。また、排気が出ないので、食品工場や冷凍倉庫でも運用できるという利点もあります。
充電は充電コードを差して行います。
このとき、コードを差すだけでは充電が開始されないことにご注意ください。充電コードを差した後、充電ボタンを押すことで充電が始まります。
フォークリフトの種類ごとに必要な免許・条件とは
ここまではフォークリフトにどのような種類があるのかをタイプ別、動力別に見てきました。
しかし、どのフォークリフトで仕事をするにせよ、乗るためには免許がなくてはいけません。フォークリフトの免許を取得する方法について確認していきましょう。
フォークリフト運転技能講習を修了する
フォークリフトの免許を取得するには、フォークリフト運転者の資格を取得しなければなりません。
フォークリフト運転者は、労働安全衛生法で規定された、れっきとした国家資格です。日本でフォークリフト運転技能講習を修了するか、フォークリフト運転特別教育を修了することによって取得できます。
1トン以上のフォークリフトに乗務するのであれば、運転技能講習を修了する必要があります。講習は都道府県労働局長登録教習機関で行われますから、受けたい方は地域の教習機関がどこにあるか調べておきましょう。
なお、運転技能講習を修了するまでの所要時間は原則35時間とされていますが、これは他に取得している資格や実務経験の有無などによっても変わってきます。下でひととおり説明するので、自分がどれに当てはまるかチェックしてみてください。
1トン未満のフォークリフト
1トン未満のフォークリフトであれば、フォークリフト運転特別教育を受ければ動かすことができます。
特別教育は都道府県労働局長登録教習機関のほか、各企業の事業所でも行われます。
科目は学科と実技に分かれます。
学科は「走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」「荷役に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」をそれぞれ2時間以上、「フォークリフトの運転に必要な力学に関する知識」「関係法令」をそれぞれ1時間以上受講しなければなりません。
また、実技は走行操作を4時間以上、荷役操作を2時間以上受講する必要があります。
合計12時間以上の履修ということになるわけですが、自動車の運転免許を所持している場合は、10時間以上でよいとされています。
1トン以上のフォークリフト
先述したように、1トン以上のフォークリフトを運転するなら運転技能講習を履修しなければなりません。大抵の職場にあるフォークリフトは1トン以上ですから、仕事上必要になる場合、基本的にはこちらを受講することになると考えられます。
学科は「走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」「荷役に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」をそれぞれ4時間以上、「運転に必要な力学に関する知識」を2時間以上、「関係法令」を1時間以上受講する必要があります。
実技は走行操作を20時間以上、荷役操作を4時間以上受講する必要があります。
学科と実技を合計した所要時間は35時間ということになるわけですが、この所要時間はあくまでも原則的なもので、やはり先に述べたとおり、所有している資格や実務経験の有無によって条件が変わることに注意しましょう。
大型特殊免許を所有している方は、「走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」と「走行操作」が免除されるため、合計11時間の履修で済みます。
また、大型特殊カタピラ限定免許、大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許のいずれかを所有していて、かつフォークリフト運転の実務経験が3ヶ月以上ある方も、同じく「走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」と「走行操作」が免除されて合計11時間。
大型特殊カタピラ限定免許、大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許のいずれかを所有しているだけの場合でも、「走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」は免除されるため、合計31時間と少し楽になります。
さらに、免許は持っていないがフォークリフト運転の実務経験が6ヶ月以上ある方も、「走行操作」が免除されるため、合計15時間の履修で済むことになります。
公道を走る場合
職場によっては、どうしてもフォークリフトで公道に出なければ作業できないシチュエーションに遭遇することがあります。
フォークリフトで公道を走るためには幾つかの条件をクリアしなければなりません。
まず、フォークリフトにナンバープレートをつける必要があります。該当するフォークリフトの大きさに従って、大型特殊自動車、小型特殊自動車、新小型特殊自動車のいずれかの分類で役所に申請しなければならないのです。
また、オペレーターはフォークリフトの免許の他、ナンバープレートの分類に対応した自動車運転免許を所有している必要があります。
さらに、ここまでの条件をすべてクリアした上で、走行ルールを守らなければなりません。フォークリフトで公道を走る際は、荷物を積んでの走行は禁止。けん引走行も不可。作業灯を点灯して走ってもならず、荷役を行うにも警察署の許可が必要です。
18歳未満は運転できない
運転技能講習であれ特別教育であれ、受講資格は18歳以上と定められています。
まとめ
この記事では、フォークリフトの種類ごとの用途や業務内容を解説いたしました。
稼働させる場所によって向いている種類が違うので、利用場所にあったフォークリフトを利用することを推奨いたします。