過積載に許容範囲ってあるの?ドライバーや事業者、荷主への罰則とは
重大な事故やトラブルにつながる過積載は分かっていても検挙されるドライバーは後を絶ちません。
そんな方々の中には積載量には許容範囲があり、少しの過積載なら大丈夫だと思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで、過積載に許容範囲はあるのか、過積載の罰則はどうなのかといった疑問を解決できるようにご紹介します。
Contents
過積載の危険性
トラックの車両は積載量が決められていますが、その定数を超えて荷物を積載すると危険な状態となりますので、ご紹介します。
制動距離が長くなる
過積載によってトラックが進行方向に動く力が大きくなり、その分制動距離も長くなります。
例えば10トントラックで見てみましょう。10トントラックが定量を積んで時速80km/hで走行していた時の制動距離は約50.3mですが、積載量が80%オーバーすると約70.3mまで伸びます。
定量の時と比べると約20mも伸びる計算になるため、定量で停まれる距離でも180%積載していると20m先に進んでしまうでしょう。これが下り斜面になるとさらに長くなります。
横転の危険性
過積載の時は荷物をたくさん積むことになるため、自然と積荷の高さが高くなっていきます。そのため、自然と重心が高くなり、トラックが不安定な状態になります。
その状態でカーブを曲がるとスピードを出し過ぎたときや、急ブレーキをかけたときにバランスを崩して転倒してしまう危険性が高まります。
過積載の状態で転倒するとその被害は大きく、周りも大きく巻き込んでしまう可能性もあります。
スピードの制御が難しくなる
過積載で重量が大きいと、その分「位置エネルギー」と「運動エネルギー」は大きくなります。
そのため、特に下り坂では、過積載によりその分スピードが増し、減速しても間に合わずに前車に追突したり、コーナーでコントロールできずに対向車線にはみ出し対向車と正面衝突する危険性もあります。
また、過積載の車両はブレーキにも相当な負担がかかるため、熱でブレーキが効かなくなる「フェード現象」が起こる可能性が高くなります。
結論から言うと過積載に許容範囲はない!
上記でご紹介したように、過積載をすると様々な危険があります。実際に過積載したトラックの事故があとを絶たず、周りの人を巻き込む痛ましい事故も発生していますので、
取り締まりや罰則は大変厳しいものになっています。罰則については次の項目で詳しくご紹介します。
また、過積載に許容範囲などありません。過積載は違反の名前であるため、基本的に最大積載量を1キロでもオーバーしただけで「過積載」という違反になります。
また、最大積載量ギリギリまで積んだトラックの運転は大変危険であるため、過積載になると運転自体の危険度がさらに増すため、「ちょっとぐらいオーバーしても大丈夫だろう」という考えは持たないようにしましょう。
過積載による罰則は?
過積載による罰則は、割合によって細かく決められていますのでご紹介します。
5割未満
最大積載量の5割未満(150%未満)であれば、
- 大型車等・・・違反点数2点(反則金3万円)
- 普通車等・・・違反点数1点(反則金2万5千円)
となります。
また、過積載で検挙されたドライバーを雇用している事業者は以下の通り車両停止期間があります。
- 違反回数1回目・・・10日
- 違反回数2回目・・・30日
- 違反回数3回目・・・80日
- 違反回数4回目・・・200日
5割以上10割未満
最大積載量の5割以上10割未満(150~200%未満)であれば、
- 大型車等・・・違反点数3点(反則金4万円)
- 普通車等・・・違反点数2点(反則金3万円)
となります。
また、過積載で検挙されたドライバーを雇用している事業者は車両の停止期間は、
- 違反回数1回目・・・20日
- 違反回数2回目・・・50日
- 違反回数3回目・・・130日
- 違反回数4回目・・・330日
となります。
10割以上
最大積載量の10割以上(200%超)であれば、
- 大型車等・・・違反点数6点(6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金)
- 普通車等・・・違反点数3点(反則金3万5千円)
となります。
また、過積載で検挙されたドライバーを雇用している事業者は車両の停止期間は、
- 違反回数1回目・・・30日
- 違反回数2回目・・・80日
- 違反回数3回目・・・200日
- 違反回数4回目・・・500日
となります。
過積載は荷主にも罰則がある!
過積載でドライバーが検挙された場合は、車両を運転していたドライバーだけではなく、ドライバーを雇用していた事業主はもちろん、荷主に対しても罰則が発生するので注意しましょう。
積載制限を超えることを知りながら積載の依頼をした荷主は、警察署長から再発防止命令が出される事がありますので、荷主側も依頼する時は運搬方法を再度確認する必要があります。
さらに、再発防止命令を受けても再び過積載をさせるような事があれば、6ヶ月以下の懲役、または10万円以下の罰金となります。
たまに「罰金額が10万円以下の同じ罰則を受けるなら目一杯違反した方がいい」と考える人もいますが、基準の2倍以上の悪質な違反者に対しては罰金100万円以下になる事があります。
過積載が10%未満なら検挙されない説
過積載が10%未満であれば検挙されないと言うウワサも聞く事がありますが本当でしょうか?
確かに10%以下の過積載の場合は検挙されない事があります。10%程度の過積載であれば測定するときに機械の誤差を考えて若干プラスの時は甘めに判断される事があります。
スピード違反の時も同じように機械の誤差を考えてプラス10km/h未満であれば検挙されない事があります。
ただし、どちらも確実なものではなく、あくまで「されない事がある」というだけで、そもそも、違反は違反でありますので決して大丈夫だと思わないようにしてください。
どうすれば検挙されないのかと考えるのではなく、安全に運ぶ事を考えると、決して過積載しないとは思いますが。
決められた積載量の遵守が大事!
最大積載量は、荷物を積んだ車が安全に走行できるように、また、公共のものでもある道路に損傷を与えないようにするために、積載できる貨物の量に制限をかけています。
また、車の形状や構造、大きさによってそれぞれ異なりますが、決められた計算式によって算出されていますので、
過積載をすると物理的限界に近づくため、ブレーキの効きが悪くなったりカーブを曲がりきれなくなったりと大変危険な状態になります。
さらに、万が一事故を起こした時は周りの車を巻き込んだり、道路を傷つけたりと被害を広げてしまうため、その責任は大きいとも考えられますので、違反をした時は運転手はもちろん、運送会社や荷主にまで迷惑が及ぶ事があります。
そのため、過積載をしてまで運ぶ事はリスクが大きく誰も得しない事でもあります。
まとめ
過積載の許容範囲はあるとすれば、検挙されないであろう最大積載量の10%の範囲とも考える事ができますが、確実ではありません。
そもそも過積載をすると走行のリスクは大きく、万が一事故を起こせば荷主にまで罰則が発生するため、大きな迷惑をかけてしまうことになります。
そのため、リスクをとってたくさん運搬するより安全第一で運搬しましょう。