ドライバー不足への対策とは?ドライバーが不足している原因から対処方法を解説!
現在、運送業界は慢性的な人手不足の状態にあると言われています。
物流が滞れば経済活動が妨げられることになります。運送業界は社会を支える重要なインフラと言っても過言ではないはずですが、なぜドライバーが不足してしまうのでしょうか。
この記事では昨今のドライバー不足の原因から、その対策方法までを徹底的に解説していきます。
Contents
なぜドライバーが不足しているのか
状況の改善を考えるには、まず原因を究明しなくてはいけません。なぜドライバーが不足するようになってしまったのか。まずはそこから確認していきましょう。
ドライバーの人数は変化していない
そもそも人手不足とは、「労働力の需要に対して供給が追いついていない状態」であると定義できます。ということは、人手不足が起こるパターンは二通りしかありません。
- 仕事に従事している人が減少している場合
- 仕事量そのものが急増した場合
です。運送業界が見舞われている人手不足は果たしてどちらのパターンに当てはまるのでしょう?
その答えは、トラックドライバーの就業者数の推移を見ればわかります。道路貨物運送業への就業者数は、2003年以降では増減しながらも概ね180万人程度で安定しており、ほぼ横ばいの状態です。
つまり、ドライバーの人数自体は大きく変化していないわけです。
仕事量が一方的に増加している
ドライバーの人数が変わっていないのですから、人手不足の原因は自然と、仕事量の増加に絞られます。
日銀が発表した短観調査によると、雇用人員判断指数という項目で、運送業の人手不足は宿泊・飲食サービスに次いで全業界ワースト2でした。
このことが何を意味しているのかというと、「自社の従業員数に対して仕事量が超過している」と考えている運送会社が多いということです。
仕事が多いこと自体は喜ばしいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも運送業界においてはドライバー一人あたりの負担が大きくなってしまっており、増えすぎた仕事量に対応できているとは言いがたいのが実情です。
仕事の効率が悪い
仕事量の増加に対応できないのは、運送業界に特有の非効率性が大きな要因であるとされています。具体的にはまずトラックそのものの積載効率の悪さです。
トラック1台あたりの積載効率は輸送量を最大積載量で割ることで求められるのですが、国土交通省の調査によると、この数字は現在およそ41%。横ばい傾向ながらも近年わずかに下がってきていると言われています。
積載効率41%以下ということは、荷台の半分以上を空にしたままで走っているということ。ドライバーが足りていないにもかかわらず積載効率が悪化しているというのでは、仕事を捌けなくなっても無理はないでしょう。
また、荷待ち時間や再配達などによって時間的なロスが生じていることも、運送業界の業務効率が上がらない原因として挙げられます。
ドライバーの高齢化
さらに将来の不安として、ドライバーの高齢化が進んでいることも指摘されています。
兆候は現在すでに現れており、道路貨物運送業においては、全就業者のうち40~50代の占める割合が他の業種と比べて非常に高くなっています。
全産業でこの年代は34.1%なのですが、運送業では実に44.3%に達しているのです。高齢化は日本全体の課題ですからどの業界も少なからず影響は受けますが、運送業界では特に顕著であると言えるでしょう。
ドライバー不足への対策
業界としてどこに課題を抱えているのかは前項で概ね把握していただけたかと思います。そこで今度は、どのような対策を打つべきなのかを考えていくことにしましょう。
若者を積極的に取り入れる必要がある
先に述べたとおり、ドライバーの高齢化は間もなく深刻な域に達しようとしています。誰でも加齢とともに体力は衰えていくのですから、高齢のドライバーの割合が高くなれば業務負担を支えることは難しくなるでしょう。
したがって、若い人材を積極的に採用することが急務です。
待遇を良くする
人材を採用するためには待遇を改善しなければなりません。日本では高齢化だけでなく少子化も進んでいるため、今後の就職市場はいっそう売り手優位になります。
求職者から選ばれる会社にならなければ人が集まらないのです。特に、今の若い世代はワークライフバランスを重視します。
残業や休日出勤が多くてろくに休みを取れないような職場環境では、まず人材を定着させることは不可能でしょう。
また、学生を対象としたアンケート調査によって、福利厚生が充実しているかどうかも就職先を考えるうえでの判断材料となっていることがわかっています。
人材教育を充実化させる
経験の浅い若者の採用を強めるのであれば、人材教育にも力を入れなくてはなりません。それは仕事の質を維持するという意味でもそうですし、人材を定借させるという意味でも効果的です。
というのも、若い世代は仕事を通じて自分の成長を実感できるかどうかを重要視しているからです。
トラックドライバーとしての業務に「取り組みやすい仕事である」という印象を持つことができ、業務をこなすことで社会人として成長できると感じられれば、若者は運送会社での仕事にやりがいを見出すことができるでしょう。
なお、社内教育の際にキャリアプランを提示してあげられれば、将来イメージを描きやすくなるのでより有効です。
荷待ち・再配達を改善する
先程述べたように、運送業界の問題は人材確保の面だけではありません。業務効率の悪さも見逃せないポイントでしたよね。
いくら新たに人員を雇っても、
- トラックの積載効率が低いままだったり
- 相変わらず再配達に追われていたり
するようでは人材を有効に活用できているとは言えません。仕事量の急増に対応するには、業務効率を上げていくことが不可欠なのです。業務効率化に対する取り組みとして、共同配送が挙げられます。
運送のキャパシティを資源であると考えて、
- 様々な荷主が協力して出荷時期を合わせたり
- 形状や重さが異なる荷物を積み合わせたり
などして、可能な限り経済的・時間的コストを圧縮しようという試みです。
また、
- 宅配ロッカーの設置
- やコンビニ受取
といったサービスの拡大によって、受取人が留守の場合でも荷物を持ち戻らずに済むような試みも進められています。こうした取り組みが効果を発揮してくれば、荷待ちや再配達は今よりも格段に減ると予想されます。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?
運送業界の人手不足は就業者が減っていることによるものではなく、
- 取り扱う荷物の量が増えていたり
- 荷待ちや再配達によって業務が圧迫されたり
といった外的要因が主です。世の中の変化に対応していくためには、運送業界をあげてドライバーの待遇や教育を強化し、業務の効率化を進めていくことが大切なのです。