日常点検基準とは?点検の概要や必要な点検箇所を紹介!
車を運転する人にとって、日常点検は欠かすことのできない日課。運送会社で働くプロのトラックドライバーともなれば尚更です。
しかし経験が浅かったり、逆に慣れきって流れ作業のようになってしまっていたりすると、正しく点検ができず思わぬトラブルに繋がってしまうおそれもあります。
そこで今回は、日常点検では何を行えばいいのか知りたい方、改めて確認しておきたい方のために、日常点検基準の概要から点検内容までを徹底的に解説します。
Contents
日常点検基準とは?
まずは日常点検基準とはどういったものなのか、その概要を押さえておきましょう。
内容
日常点検整備は、道路運送車両法第47条の2を根拠とする、れっきとした法律上の規定です。その日常点検整備を合理的確能率的に、確実に行うことを目的として作られたのが、これから紹介する日常点検基準なのです。
おおまかな内容としては、
- 点検を実施すべき時期
- 実施する者
- 実施する場所
また
- 点検結果の報告に関すること
- 点検結果をどのように確認してどのように処理するのか
- 点検はどういった順序で行うのか
といったことが仔細に定められています。
日常点検を事業所として正しく行うためには必要不可欠な知識ですから、ドライバー一人一人はもちろん、営業所内の運行管理者なども目を通しておくべき内容と言えます。
点検の目安
自動車は何もしないでいると日々劣化していってしまいます。車をよい状態に保つためには、日頃から車を使用している中で、走行距離や運行状態からみて適切と考えられる時期にしっかりと点検してやることが必要です。
では、適切な時期とは具体的にいつ頃のことを指すのでしょうか。
これに関して、日常点検基準では目安として「1日1回、運行開始前に点検を実施すること」と説明しています。先述の道路運送車両法47条の2にも同様の文言がありますから、法律の規定にのっとった基準ということになります。
点検で不具合の疑いがあったら
日常点検整備は自動車に故障や劣化がないかどうかをチェックする作業です。ということは、点検した結果として不良箇所が見つかることも当然想定されますよね。そのようなときにはどう対処したらよいのでしょうか。
日常点検基準では、不具合の疑いがあった場合には直ちに整備の指示を行うようにと定められています。運行に支障がない程度であれば、業務の状況を考慮しながら制限運行することもできます。
しかし整備を行わなければならないレベルの異常であれば、臨時整備として取り扱わねばなりません。また、整備の指示と処置について点検表に記載しなければならないとも明記されています。
必ず点検しなきゃいけないの?
ところで、日常点検は義務なのでしょうか。それとも任意で行えばよいのでしょうか。すでに述べたとおり、日常点検整備は道路運送車両法47条をその根拠法としています。
この条文には「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」とあり、つまりは「使用車の点検および整備の義務」について規定したものだとわかりますね。
したがって、そこに「一日一回、その運行の開始前において(中略)点検をしなければならない」と定められている以上、日常点検整備は義務であるということになります。くれぐれも怠ることのないよう注意してください。
点検内容
日常点検基準の概要に関しては前項目で把握できたと思います。よってここからは、車両のどこをどのように点検すればよいのかという具体的なポイントについて説明していくことにします。
日常点検基準には大きく分けて7つのチェックポイントが記載されています。一つ一つ順番に見ていきましょう。
ブレーキ
まずはブレーキです。最も重要と言っても過言ではない箇所ですね。ブレーキに関する点検項目は5つあります。
- ブレーキペダルの踏みしろが適当で、ブレーキのかかりが充分であること。
- ブレーキの液量が適当であること。
- 空気圧の上がり具合が不良でないこと。
- ブレーキペダルを踏み込んでから放したとき、ブレーキバルブからの排気音が正常であること。
- 駐車ブレーキレバーの引きしろが適当であること。
これら5項目を満たしていれば、その車両のブレーキにはこれといって異常がないと考えてよいでしょう。逆にどれかひとつでも不具合があるようなら、ただちに整備の指示を行うのが賢明です。
ブレーキが正常にかかるか否かは、自分や周囲の命を左右しかねない要素です。絶対に1日1回の点検を怠らないようにしてください。
タイヤ
タイヤに関する点検項目は全部で4つ。
- タイヤの空気圧が適当であること。
- 亀裂や損傷がないこと。
- 異常な摩耗がないこと。
- 溝の深さが充分であること。
タイヤは車の走行に直接関わる部分ですから、ここに異常があると急なパンクやスリップに見舞われて運行予定から遅れてしまったり、最悪事故を引き起こしてしまったりといったことになりかねません。しっかりと確かめておきましょう。
ただし、溝の深さについてだけは必ずしも毎日チェックする必要はありません。走行距離や運行時の状態などから判断して、適切と考えられる時期に行ってください。
バッテリー
バッテリーの点検項目は液量です。液量が適当であるかどうかをチェックしてください。
これも毎日欠かさず見る必要はなく(もちろん見る余裕があるなら見るに越したことはないでしょうが)、走行距離や運行状態から判断した適切な時期に点検すれば問題ありません。
バッテリー液が極端に減った状態のまま走行すると故障や火災の原因となりますから、不足していると感じたら必ず補充してから運転するようにしましょう。
もちろん、逆に入れすぎても液漏れしてしまいます。バッテリー液を補充する際は、アッパーラインを超えないように入れることが大切です。
エンジン
エンジンの点検も毎日必ず行うというよりは、走行距離や運行状態から見て適切な時期に行えばよいという性格のものです。
エンジンを点検する際に確認すべき項目は5点あります。
- 冷却水の量が適当であること。
- ファンベルトの張りが適当で、かつファンベルトに損傷がないこと。
- エンジンオイルの量が適当であること。
- エンジンのかかり具合が不良でなく、異音もないこと。
- 低速および加速の状態が適当であること。
どれか一つでも引っかかることがあったら、そのまま走行するのは危険です。見て見ぬふりをすることなく、すぐに整備の指示を行いましょう。
ウィンドウォッシャー、ワイパー
ウィンドウォッシャーとワイパーに関しては、それぞれ一つずつ点検すべき項目があります。
- ウィンドウォッシャー・・・液量が適当で、かつ噴射状態が不良でないことを確認
- ワイパー・・・払拭状態が不良でないかどうかを確認
これらの部品に不具合があると、悪天候時の安全運転が難しくなります。事故を起こしてしまっては元も子もありませんから、異常があるようなら迷わず修理の手配をしましょう。
なお、ウィンドウォッシャーとワイパーも毎日点検するというよりは、運行状態を見て適切な時期に点検を行うべきものという認識で問題ありません。
ランプ類
ランプ類というのは、要するに灯火装置や方向指示器のことですね。これらのチェック項目としては、まず点灯または点滅の具合が不良でないことが挙げられます。
他の車や歩行者などから見えなくては意味がないものですから、異常がないかどうかきちんと車外に出て目視確認するよう心がけてください。もちろん、汚れや損傷があってもいけません。
その他
上に挙げた以外に点検すべき箇所には、エアタンクがあります。エアタンクに凝水がないかどうかは1日1回、運行の前に必ずチェックしましょう。
またそれ以外のこととしては、運行において車両のどこかに異常が認められた場合が考えられます。運行時に異常のあった箇所については、その都度異常が生じていないかどうか、当該箇所を点検してやる必要があります。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?
日常点検整備は道路車両運送法に規定された義務であり、車両の不備や故障による事故を未然に防ぐためにも欠かせない作業。運送会社に勤めるプロのドライバーであれば絶対におろそかにしてはいけません。
日常点検基準で定められた点検箇所をしっかりと覚え、正しい方法でトラックを管理していくよう、事業所全体で心がけることが大切です。