オーバーヒートとはどんな症状?オーバーヒート疑惑の時に見るべきポイントと修理方法を紹介
エンジン関係のトラブルの一つに、オーバーヒートがあります。比較的よく聞く言葉ではありますが、具体的にどのような症状なのかと聞かれるとうまく答えられない方も多いのではないでしょうか。
症状について詳しい知識を持っていないと、実際にオーバーヒートしたとき誤った対処方法をしてしまうかもしれません。
そこで今回は、オーバーヒートと見られる症状や修理の方法について解説させていただきます。
Contents
エンジントラブルで見られるオーバーヒートとは?
そもそも、オーバーヒートとはどういった現象なのでしょうか。
車のエンジンに関してオーバーヒートという言葉が使われた場合、それは何らかの原因によってエンジン本体が熱くなりすぎてしまった状態のことを指しています。
エンジンの発熱が冷却機能を上回ってしまった状態、と言えばよりわかりやすいでしょうか。
通常であれば冷却システムによってエンジン温度の上昇が抑えられるのですが、故障が生じたりメンテナンス不足だったりすると、冷却機能がうまく働かず、オーバーヒートすることがあるのです。
オーバーヒートになりそうになる最初の症状とは?
車がオーバーヒートを起こしそうになっているときは、いくつかの兆候が現れます。エンジンからのサインを見逃さず、適切な処置を施しましょう。
オーバーヒートかどうか確認する方法
先述のとおり、オーバーヒートとはエンジンが異常に熱くなることを指す用語です。そこで問題になるのが、どうやってオーバーヒートを確かめるのか。見ただけでは温度などわかりませんし、まさか触って確認するわけにもいきません。
ではどうすればいいのかと言うと、車のメーターパネルを見るのです。メーターパネルには水温計がついているはず。
針がHに近づくほど水温が高くなっているということなので、Hを振り切ってランプが点灯していたらオーバーヒート状態と覚えておきましょう。
明確に温度が書かれているタイプの水温計なら、95℃を超えたら危険なラインと考え、ただちに処置を施してください。
オーバーヒートに気づかず走り続けたら?
エンジンがオーバーヒートしそうになると、
- いつもよりスピードが上がらない感覚
- アクセルを踏むと異音が鳴る
といったことが初期症状として現れます。これに気づかず走り続けると、いよいよ水温計のメーターがHを超えます。
この段階に来ると
- アイドリングができなくなる
- アクセルを踏んでいないと車が止まってしまう
- エンジンルームから水蒸気が発生する
などはっきりとした異常が出てきます。なおも異常を無視して走り続けた場合、
- エンジンがかからなくなる
- 煙が出てくる
などのような状態になります。これはエンジンが焼けついているということで、重大な故障の原因になります。
エンジンが動かなくなったら特に注意
動かなくなるところまでオーバーヒートの症状が進んだエンジンを無理に動かそうとすると、間もなくボンネットから煙が出てくるはずです。あるいは、既に出てきているかもしれませんが。
こうなると、オーバーヒートの直接の原因となった部品だけではなく、エンジン自体が故障してしまうケースもあります。また、車両火災のおそれもあり非常に危険です。動かなくなる前に対処しましょう。
原付やバイクの症状
オーバーヒートが起こるのは4輪車だけではありません。エンジンを使って動く以上、バイクや原付などでも当然起こり得る症状です。
原付やバイクでも、基本的には車と同じ症状が現れます。
- 走行中にパワーが不安定になる
- 金属の焦げたような臭いが漂ってくる
- エンストしてしまう
などといったことですね。また、バイクの場合、マフラーの排気口から白煙が出てくるため、そこでもオーバーヒートが起こっていると判断できます。
オーバーヒートは自分で直せる?
オーバーヒートを起こしたエンジンを放置するのが危険であることは理解できました。しかし実際問題として、どのような処置を行えばよいのでしょうか。
その場で可能な応急処置の仕方
オーバーヒートの際に何よりも優先すべきなのは、車を停めることです。広い場所や道路脇など、他の車の通行の邪魔にならない場所に停車しましょう。
このときメーターがまだHを振り切っていないようなら、冷却システムがまだ生きている可能性があります。アイドリング状態にして水温が下がるかどうかチェックしてください。水温が下がらない場合はエンジンを切りましょう。
また、エンジンを冷やすことが重要なのですから、ボンネットを開けることも有効です。このときラジエーターから液が漏れていないか、冷却液が空になっていないかを確かめましょう。
エンジンが始動しない場合の対処方法
エンジンが始動しなくなってしまった場合は、まず前述の応急処置を試みてください。重大なトラブルに至っておらず、エンジンの熱が冷めれば再び動き出すということも考えられます。
それでもエンジンがかからないようであれば、オーバーヒートの結果エンジンが故障した可能性が高いと言えるでしょう。その場合は自分での修理は諦めて、ロードサービスに頼むしかありません。
オーバーヒートの時にやってはいけない対処方法
基本的に、エンジンは切らないほうが無難であるとされています。エンジンさえ動いていればラジエーターやウォーターポンプなどの冷却システムが働きますし、ファンの回転がラジエーターの放熱を助けるからです。
ただし、ファンが動いていなかったり、冷却水が漏れている場合は別です。このケースだと冷却システムが正常に働かないので、エンジンを完全に止めてしまったほうが冷えるのが早くなるでしょう。
また他の注意点としては、やけどに気をつけることが挙げられます。ボンネットを開ける際は充分に気をつけなくてはなりません。ましてやラジエーターキャップを開けるなど以ての外です。
自分で無理そうなら迷わず、ロードサービスを利用しよう
車のトラブルで何よりも重要なことは、手に負えないと感じたらすぐに専門家に頼ることです。もちろん、オーバーヒートの場合であっても例外ではありません。
応急処置で直せる範囲には限度がありますし、対処を誤るとかえってエンジンに損傷を与えてしまうおそれもあります。その点、プロに任せたほうが安全に、かつ症状が悪化する前に対処できる可能性が高いですよね。
車の修理に慣れていない人は、迷わずロードサービスを利用することをオススメします。
修理に出すならディーラーか民間整備工場か
自分で修理できそうにない場合は、車を専門業者へと修理に出さなくてはなりません。
民間整備工場のほか、ディーラーに頼むという手もありますが、どちらに出したほうが得をするといったようなことはあるのでしょうか。
修理にかかる金額
身も蓋もない話ですが、修理金額はディーラーか整備工場かと言うよりも、オーバーヒートを起こした原因や修理する箇所によって決まってきます。
- 冷却水の補充・・・1,000円~3,000円
- ラジエーターの交換・・・20,000円~80,000円
- ラジエーターホースの交換・・・10,000円~20,000円
- ラジエーター部品の交換・・・20,000円~50,000円
- ウォーターポンプ・・・60,000円~70,000円
- サーモスタット・・・6,000円~15,000円
- エンジンオイル・・・1,000円~4,000円
などといった範囲に収まります。もちろん、ここで示したのはあくまでも一般的な相場です。
詳しい金額設定は業者によって違いますから、より詳細に知りたければ最寄りのディーラーや整備工場に問い合わせてみてください。
自動車保険を利用すべきかどうか
前述のとおり、エンジンの修理金額はほぼ10,000円を超えます。そうなると、できれば自動車保険を利用したいところですよね。しかし、オーバーヒートの修理で自動車保険が使えることは基本的にありません。
というのも、自動車保険の免責事項の中には大抵、「車両に存在する欠陥・摩滅・腐食・錆・その他自然の消耗」という項目が盛り込まれているからです。文言は保険会社によって異なるとしても、意味合いとしては一緒です。
例外があるとすれば「自然の消耗」にあたらない場合、たとえば第三者のイタズラなどが原因でオーバーヒートが起こったケースでしょう。
とはいえこれはきわめて少数派でしょうから、やはり原則として自動車保険は使えないと考えておいたほうがよいでしょう。
エンジンが始動しない場合売った方が得?
オーバーヒートしてエンジンが動かなくなってしまった場合、車を修理するのではなく売ってしまったほうが得であると言われることがあります。これは、修理費用が高額になるためです。
部品の交換で済むときの費用は上で述べたとおりなのですが、エンジン内部が焼き付いてしまっているケースでは、修理費用が50万円を超えてくるのです。高級車だと100万円以上になることさえあります。
このような場合、査定サイトなどを利用して車を売ってしまったほうが金額的に得になる可能性があります。
修理か売却か?
修理するべきか売却するべきかは、やはりそのときの予算と相談ということになるでしょう。実のところ、売却しようと思っても、オーバーヒートした車には値段がつかないことも多いのです。
特に民間整備工場やディーラーに依頼したようなときには、まず値がつかないと思っていいでしょう。その場合は修理を選んだほうがいいということになります。
しかし、高級車や人気車種であれば話は別。査定サイトに買取の打診をすればしっかりと値がつく可能性が高いです。充分な額で売れるようであれば、売却を選んだほうが得ということになります。
応急処置するための必要な道具
トラブルに自分で対処する場合、知識だけあっても道具がなければどうしようもありませんよね。
- レンチなどの工具類
- 軍手
- ビニールテープ
- ガムテープ
- 針金
といった道具を常備しておくといざというとき役に立ちます。また、オーバーヒートは冷却液が漏れるなどして起こっている場合もあります。水道水やミネラルウォーターがあれば、ひとまず不足分を補う応急処置が可能です。
車を運転するにあたって修理道具を準備する大切さ
オーバーヒートに限ったことではなく、車のトラブルが起こった際は修理道具が手元になければ簡単な応急処置すらできません。
上で挙げたような工具やテープ類、針金といった道具は、普段から収納スペースの中などに準備しておいたほうがよいでしょう。
自分で直す場合のメリット
オーバーヒートなどのトラブルに自分で対処できれば、
- ディーラーや民間整備工場に車を持っていく必要がなくなる
- 修理が必要な場合でも症状を軽く抑えらる
などにより、修理費用が浮くことになります。
また、万一のことがあっても対処できるという自信は安心感に繋がります。精神的に余裕をもって運転できるのも、自分で直せる技術をつけるメリットの一つであると言えます。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?
オーバーヒートは放置しておくとエンジンの損傷に繋がるおそれもあるため、迅速な対処が必要です。普段から車のメンテナンスを欠かさず、万一のときに備えて応急処置のための道具も揃えておきましょう。
それでも手に負えない場合は、迷わず業者への相談を選んでください。