【経営者必見!】歩合給の場合、社会保険料はどうすれば良い?
会社勤めをしている人は多くが「社会保険料」というものを支払っています。これがあるから「保険証」が発行され、病院などで自己負担が少なくなっているのですが、
その社会保険料がどのように決められているのかについては知らないという人も多くいます。また、固定給であれば計算しやすいイメージがありますが、
歩合給の場合はどのようなシステムになっているのかはさらにわかりにくくなっています。そこでここでは歩合給の場合の社会保険料がどのように計算されるのかについて紹介していきます。
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そもそも、歩合給とは?
給与体系にはいくつかの種類があります。毎月ほとんど同じ額に固定されている「固定給」は何より安定があります。
それに対して「歩合給」は「働いた分だけ」「成果に応じて」給料が変わるというシステムです。そのため、とにかく長時間働くという人であったり、
多くの仕事をこなすことができる人であればかなりの高額な給料を手にすることができるというメリットがある反面、仕事がうまくいかなかったり、
それほど成果をあげられなかったときには給料が大きく減額されるというデメリットがあります。
社会保険料はどう決まる?
会社がその労働者に対して支払う額は「総支給額」であって、その金額がそのまま労働者の手に入るというわけではありません。
そこから雇用保険料、社会保険料、所得税、住民税、などが引かれた残りが労働者の手に入るお金、つまり「手取り」となります。
そのうち社会保険料については「標準報酬月額」を基準に算定されます。ここではその標準報酬月額について紹介していきます。
標準報酬月額とは?
標準報酬月額は健康保険や厚生年金保険などの保険料や給付額を計算する際に基本となる額のことです。毎年7月に決定され、その年の9月から翌年の8月まで適用されることになります。
基本的には4~6月の給与の平均から算出され、それぞれの区分によって分けられることになります。ただし年の途中で大きな変動があった場合は手続きをすることで随時改定することができるようになっています。
標準報酬月額に含まれるものは?
労働者である従業員に対して企業が支払っているものには基本給だけでなく、残業代や交通費、家族手当、住宅手当などがあります。
病気になれば病気見舞い金が出されるということもありますし、賞与などもあります。これらのうちどれが標準報酬月額に含まれるのでしょうか。
結論から言えば「報酬」として認定されるものについてはすべて標準報酬月額に含まれることになります。そのため残業時間が多くて残業代がかなり支給されたというものについても、
歩合給で成果に応じて高額な給料を受け取ったときについてもすべて含まれるということになるのです。例として標準報酬月額に含まれるものを挙げていくと、
基本給、能力給、奨励給、役付手当、職級手当、特別皆勤手当、勤務地手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、扶養手当、日直手当、宿直手当、休職手当、残業手当、年4回以上の賞与といったものがあります。
逆に標準報酬月額に含まれないものとしては、見舞金、退職手当、解雇予告手当、大入袋、出張旅費、交際費、慶弔費、傷病手当、年3回以下の賞与などがあります。
このうちややこしいのがボーナスとも呼ばれる「賞与」です。年に4回以上賞与が支給されている場合は標準報酬月額に含まれることになります。
しかし年に3回以下の場合は標準報酬月額には含めずに「標準賞与額」として保険料を算出することになります。
歩合給を残したままで社会保険料を安くする方法
やはり支払う社会保険料はできるだけ安い方が良いに決まっています。では歩合給の人の社会保険料をどのようにすれば安くすることができるでしょうか。
まず近年では最低賃金といった関係からも「完全歩合制」の給料体系はほとんどありません。多くが「基本給+歩合給」といったシステムになっています。
そして標準報酬月額の算定期間は4~6月です。つまりこの3か月間の給料が少なければ標準報酬月額を低くすることができるために社会保険料を安くすることができるのです。
しかし「基本給」の部分は毎月変動させるというわけにはいきません。変動させることができる可能性があるのは「歩合給」の部分でしょう。
会社とよく話し合って4~6月の間の仕事量を減らしてもらったり、その間に働いた分の報酬を7月以降に回してもらうことができれば標準報酬月額を抑えることは可能ということになります。
ただし3月が決算の会社であれば決算時期および年度初めである3月や4月は忙しいということがほとんどです。
その時期に仕事量をセーブできるかどうかは業種や会社によって変わってきます。歩合給の人はもらえる給料を後回しにしてもらえるかどうかがポイントになるでしょう。
歩合給の労働者は給料からどれだけ引かれるの?
社会保険料や税額については地域によって変わってくるために一概には言えない部分があります。
例えば東京で勤務している人の歩合給での計算を見てみると、4月、5月、6月の給料が基本給18万+25万、20万、21万だったとします。
すると給料は43万、38万、39万ということになります。3ヶ月の平均を出しますので、43+38+39=120.120÷3=40となり、40万円という数値がでます。
40万円の場合は区分が「395,000円~425,000円」に分けられるために標準報酬月額は「41万円」ということになります。
東京で標準報酬月額が41万円の場合は「健康保険料」が20295円で、「厚生年金保険料」が37515円ということになり、それらを合わせた57810円を会社と労働者で支払うということになります。
固定給であっても歩合給であっても、その4~6月の3ヶ月の給料で判断されるためにその時期が特に忙しくて報酬が多い歩合給の人にとってはかなり不利になります。
逆にその時期は閑散期で給料が少なくなっている歩合給の人にとってはかなり有利になるということです。自分が勤務している業界や会社からどちらが得なのかを判断するのが良いのかもしれません。
歩合給の労働者が改定するための条件
標準報酬月額が決定するのは出産や育児休業を除けば大まかには3種類です。「雇用された時」「毎年7月の定時決定」「大きく給料が変動した時の随時決定」です。
このうち歩合給の労働者が改定することになるのは「随時決定」だと言えます。例えば業種として4~6月が繁忙期で給料が高く、標準報酬月額が高く設定されていて、それから給料が大きく減額されていったときなどです。
条件としては報酬月額が大きく変動した月から数えて連続して3ヶ月間の平均をとって、その額が設定されている標準報酬月額と比べて「2等級以上」の差があるときには改定することができます。
ただし、残業代などの一時的な給料に大きく左右されるときは随時改定の対象にならない場合がありますので注意が必要です。
まとめ
毎月給料から天引きされているものでありながら社会保険料については細かくは計算方法を知らないという人が多くいます。特に歩合給の人は毎月給料が変動しているために計算がややこしくなっています。
少しでも支払う社会保険料を減らしていくには、その計算方法をしっかりと知るということが重要なのです。まずは自分の標準報酬月額を計算してみましょう。