クラッチはなぜ滑るのか?原因/症状/対処法/修理方法/チェックの仕方を紹介!
MT車を運転している方で、シフトチェンジしにくい、何かクラッチの感じが、と感じたらそれはクラッチが滑り出した合図かも知れません。
クラッチは車にとって非常に重要な部分であり、異常にいち早く気付くことが出来ないと取り返しのつかない故障につながる恐れがあります。
そこで今回は、クラッチ滑りとは何なのか、症状や対処法について詳しくご紹介していきたいと思います。
Contents
クラッチの構造について
エンジンとギア変速機部の間にあって、トルクを断続する装置がクラッチと呼ばれる部品になります。クラッチには車両を発進させるという機能があります。
車両が発進するためには内燃機関でエンジントルクがでる速度まで回転速度を上げて、そこをクラッチでつなぐことが必要となります。
また、ギア変速機でギアを切り替える際のエンジントルクを断続するという役割もあります。MT車ではギアを変えるときにはクラッチを操作する必要があるのです。
なぜクラッチ滑りが起こるのか
MT車を運転していてクラッチに違和感を感じることがあれば「クラッチ滑り」が起きている可能性があります。具体的には、
- エンジンの回転数が突然上がることがある
- クラッチペダルを踏み込んだ時に軽く感じる(遊びの部分が大きい)
- ギアが変速しにくい
- クラッチを踏んでいるのにギアが切れない、変速できないことがある
という現象です。
こういった現象が起こる原因としては、半クラッチを多用しすぎることでのクラッチディスクの摩耗や、乱暴なクラッチ操作、クラッチの劣化などが考えられます。
クラッチは消耗品でもありますので、劣化した場合は交換する必要があります。
クラッチが滑っていると感じたらセルフチェックしてみよう
クラッチに遊びがあるか確認
ハンドルと同様にクラッチにも遊びの部分があります。遊びの部分とはクラッチペダルを軽く踏んで、クラッチが切れるようになる位置までのことを言います。
この遊びの部分がなさすぎると操作が非常に困難になりますし、遊びの部分がありすぎると奥までペダルを踏んでもクラッチが切れなくなってしまいます。
遊びの範囲が適切がどうかがポイントとなり、範囲が広すぎると感じた場合はクラッチの寿命です。
サイドブレーキやフットブレーキかけエンストしないかチェック
エンジンをかけてサイドブレーキをかけて、フットブレーキをしっかりと踏み込みます。その完全に車が停止した状態からクラッチを踏み込んでギアを最も高いギアに入れます。
そしてクラッチを少しずつ緩めると正常なクラッチであればエンストしてしまいます。しかしクラッチが滑っている状態だとエンストすることなく動き続けてしまいます。
走行中にアクセルを踏み込む
ギアを高めのギアに入れてエンジン回転数を2000から3000の間くらいで走行しているときにアクセルを一気に踏み込みます。
クラッチが滑っているとその時にエンジンの回転数が不必要に上がります。ただしこの方法を行うときは周囲には十分に注意して行うようにしましょう。
クラッチが滑る時には走らないのが正解
クラッチが滑っている状態のまま走り続けると重要な時にギアチェンジがうまくいかなかったりして危険です。
大きな事故に発展することもありますので、クラッチが滑っている状態であれば走行するのはやめておきましょう。できるだけ早く整備工場で修理点検してもらうのが正解です。
クラッチが滑ったまま乗り続けると
フライホイールの故障
フライホイールは普通は交換する必要はない部品なのですが、クラッチが滑ったまま走行しているとフライホイールに焼きが入ったり変に摩耗したりして交換する必要が出てきてしまいます。
フライホイールはエンジンのエネルギーを回転力に変換することで車の推進力に変換させている重要な部品です。
ミッション本体の故障
フライホイールに支障が出ている状態でも走行していると、溜まった熱によってリングギヤが外れてしまってセルによる始動が不可能になっていきます。クラッチ板も発熱を起こし変形して反りかえってきます。
結果走行不能に
ここまで来るとギアが入らなくなったり、走行不能になることも普通にあります。
ひどい場合は関係している部品すべて交換しなければいけなくなり、かなり高額な修理費用がかかることになります。できるだけ早く修理点検することが重要となります。
クラッチ滑りを起こしにくくするための3つのポイント
半クラッチを多用しない
半クラッチは、クラッチディスクを擦り合わせる摩擦力を利用したものです。ギアをスムーズにつなぐために行う動作ではあるのですが、
これを多用してしまうとクラッチディスクがすり減ってくるため、必要な摩擦力を得ることができなくなりクラッチ滑りを引き起こすことになります。半クラッチは最低限だけ行うようにしましょう。
過積載をしない
普通は一速からスタートすることが多いのですが、トラックは二速からスタートする方が安定することもあります。ただし過積載の状態の時は別です。
過積載の車を発進させるときは、それだけでもクラッチに負担をかけてしまいます。一速からスタートさせないと動かないということもありますし、クラッチにはダメージを与えることになることを知っておきましょう。
高回転域での走りも原因になる
高回転域でクラッチが滑るということも多く起こっています。この状態になるときには、クラッチ板やクラッチカバーなどに不具合が出ていることが多いというのも特徴です。
高回転域で長時間走り続けるのも、クラッチに負担がかかりますので注意しておきましょう。
日頃から気にしておくことが大事
クラッチが滑るということに関しては、普段から注意しておくことで早い段階で気付くことができます。
異音がある、振動がある、エンジンの回転数が不規則である、クラッチの遊びの部分に違和感がある、
スムーズにギアチェンジができないなど運転していて「おかしい」と感じたときはクラッチの故障を疑いましょう。そして整備工場で点検してもらうことをおすすめします。
まとめ
クラッチは乱暴な運転や過積載、半クラッチの多用などによって早く劣化していきます。ただしクラッチは消耗品でもあります。
ある程度気を付けていてもいつまでも壊れない部品ではありません。油断することなく、クラッチ操作に違和感を感じた場合は故障や劣化を疑って修理点検を行うようにしましょう。