大型トラックの各部の名称や役割は?【大型トラックドライバーの基礎知識】
2019/06/11
大型トラックの運転手は乗用車とは違った、トラックならではの各部分の名称は基礎知識として頭に入れておく必要があります。
仕事中、またはトラックの故障時などに名称を言われても知らないというのは防ぎたいですよね。
そこで今回は、大型トラックの各部分の主な名称とその役割をご紹介します。
Contents
大型トラックの外装の主な名称
まずは、外装の各部分の説明です。
運転席は「キャブ」
トラックの一番前の部分、運転席がある空間のことを「キャブ」もしくは「キャビン」と呼びます。
長距離ドライバーは一日のほとんどをここで過ごすことになるために、この空間はドライバーが過ごしやすいように作られています。
中にはしっかりと仮眠をとれるように運転席の後ろ部分が簡易のベッドのようになっているものもあります。
空気抵抗を抑制する「エアデフレクター」
トラックは、四角い形のために走行していると空気抵抗を受けます。空気抵抗を受けた分だけ燃費も悪くなりますので、空気抵抗を少しでも下げるための部品が必要になります。これがエアデフレクターです。
トラックの前方部分にあるためにデザイン性を兼ねていることもあり、ドライバーのこだわりが見える部分でもあります。
運転席に乗るための補助「ステップ・グリップ」
大型トラックの運転席は近くに行くとわかりますが、かなりの高さがあります。高いものになると3mほどの高さになりますので、乗り降りには手すりのように持つところや足の踏み台部分がなければいけません。
そこで行われるのがステップに足を置いて、グリップを両手で持つという「三点支持」です。
これによって安全に乗り降りができるようになっているのです。グリップの近くに部品などがあると危ないために簡単につかみやすい位置に設置されています。
それでもドライバーの落下事故などが起こることもあるため、より安全面を強化しているトラックが開発されています。
運転席の「トラクタ」と荷物を積む「トレーラー」
トラックのメインの仕事は多くの荷物を運ぶということです。どこかで積み荷を積んで、運んだ場所で降ろす。そしてまた積み荷を積んで移動をするという繰り返しを行います。
その際に、積み下ろしに時間がかかるようだと無駄な時間ができてしまいます。それを解決しているのが「トラクタ」と「トレーラー」です。
運転席がエンジンがある部分がトラクタで、荷物が積まれている箱の部分がトレーラーです。基本的にはトラクタの部分でトレーラーを引っ張って運転している形になります。
そしてこのトレーラー部分は切り離すことができますので、移動先で違うトレーラーに付け替えることができます。これによって無駄に時間をとることが無くなったのです。
大型トラックの内装の主な名称
次に、内部についてです。
トラックならではの工夫が施されている「インパネ」
トラックの内装で重要になるのは「インパネ」です。特に、荷台の扉の開け閉め冷凍車の冷凍庫スイッチなどもここに集約されていますので、ドライバーは常に注目しなければいけない部分でもあります。
普通乗用車にもインパネはありますが、トラックのものは照明スイッチや荷台部分の調整を行うスイッチなどもありますのでやや複雑です。
また、改造する必要が出てくることもありますので、トラックのインパネは取り外しができるようになっています。
さらに、ヒューズも普通乗用車よりも摩耗しやすくなるため、ヒューズボックスがインパネのわかりやすい場所に配置されているという特徴もあります。
動力の主な名称
次に、動力部分についてです。
トラックの変速機「トランスミッション」
エンジンで生み出されたエネルギーを走行条件に合わせて組み替える仕組みです。小型トラックなら4~5段階、中型なら5~6段階、大型トラックでは6~7段階に切り替えができるように歯車が組み込まれています。
以前は腕力でトランスミッションを組み替えていたため、長いレバーをてこの原理のようにして使用していました。
しかし最近では、圧縮した空気の力を利用して組み換えを行うものが主流となっています。
熱を冷却する「ラジエータ・クーラント」
あの大きなトラックを動かすエネルギーを生み出すわけですから、エンジン部分は非常に高熱になります。それをそのまま放置していると、オーバーヒートしてしまう原因となります。
そこで、エンジン付近の熱を冷却するのがラジエータです。ラジエータは、冷却液を使用してエンジンの熱を奪い、空気や風の流れを利用して熱を外に放出していきます。
うまく外に熱が放出できなければ中に熱風が溜まってしまうために、この部分は非常に工夫された形状をしています。
フレームの外に設置された「燃料タンク」
燃料を溜めるためのもので、その容量は400Lにもなります。トラックによってはこの燃料タンクを2つつけているものもあります。
トラックは荷台部分がメインで、その他の部品も大きいものが多いために巨大な燃料タンクを内蔵することができません。
そのために、燃料タンクはフレームの外の部分に設置されることになります。それだけ外気にもさらされますし、障害物に当たることもあるので燃料タンクは非常に頑丈にできています。
また、坂道などでも安定して燃料を供給できるようにタンク内に仕分け板のようなものが入っているのも特徴です。
排気ガスの排出のための「排気システム」
エンジンから出た排気ガスを外に排出する装置のことを指します。重要な仕事は3点で、「できるだけ綺麗に外にだす」「騒音を抑える」「冷やして出す」という3つです。
大型トラックのエンジンから出た排気ガスは、そのままだとかなり大きな音を出してしまいます。それをマフラーを通すことでできるだけ騒音を抑える工夫がされているのです。
また、この排気ガスは数百度という高温のガスです。これをこのまま排出してしまうと危険性も高まります。この温度も、できるだけ冷やして外に出すようにされているのです。
キャブの後ろについている「吸気ダクト」
エンジンを効率的に動かすためにも、適度に冷却させるためにも「空気」は必ず必要になってきます。この空気を外部から取り込むのが「吸気ダクト」です。
エンジン部分に流されるこの空気は、キャブの後ろ部分にある筒のようなもので取り込まれます。この際に、フィルターを使用して水や異物を一緒に吸い込まないようにしています。そうして新鮮な空気を取り込んでいるのです。
その他の主な名称
最後に、残りの箇所についてです。
エンジンなどが付いている「フレーム」
トラックのフレームとは、まさにトラックの生命線です。この部品にエンジンやトランスミッション、タイヤ、燃料タンクなどすべての部品が取り付けられていくからです。
とにかく頑丈でありながら柔軟性もあるために壊れにくくなっているのが特徴で、どんなトラックでもフレームが壊れた時点で運転することはできません。
空気圧をとどめておく「エアタンク」
大型トラックでは部品を動かすのに、人力では大変な部品がいくつもあります。それらを動かす補助をしてくれているのが空気の圧力なのですが、その空気をためておく場所が「エアタンク」なのです。
必要なものだからと複数のエアタンクが取り付けられているトラックもありますが、それだとスペースをとってしまうために1つのエアタンクの中を区切って、それぞれの部品につなげて使用している場合もあります。
乗用車が引かれない「車両突入防止装置」
大型トラックは高さもあって大きく、普通車は高さが低くなっています。もしこの2台が衝突したら、普通車はトラックの下部分に潜ってしまうことになります。それを防ぐための装置が「車両突入防止装置」です。車両の前側と後ろ側に設置されています。
各大型トラックの荷台の主な名称
それでは、各トラックの種類ごとの荷台についてです。
平ボディ
トラックの荷台部分に屋根や壁がないものを「平ボディ」といいます。非常に一般的なトラックでもあり、小型、中型トラックでもよく見られます。
荷物を置く床部分と、その荷物が落ちないようにある周りの「煽り」だけのシンプルな形となっているのが特徴です。
中にはロードレストがついていて、雨の日に幌をかけたりすることができるようになっているものもあります。
バンボディ
荷台部分がアルミなどで囲われた箱状になっているものが「バンボディ」です。雨に濡れてはいけない荷物を運ぶ際に利用するほかに、冷凍車や冷蔵車のようなものもこの種類に分類されます。
ウィングボディ
ウィングボディは、バンボディのような箱状の荷台のサイドパネルやアルミバンの側面部分を、上に跳ね上げることで横から荷物を出し入れできるようにしたものです。
隙間なく荷物を詰めるほか、積みやすいという利点もあります。大きな分類でいうとバンボディに分類されることもあります。
3種のトラックの共通な各部名称
どのトラックにも共通して存在しているのは、「根太」と呼ばれるものです。横根太や縦根太があり、木製のものやスチール製のものもあります。
フロアーフックなどを取り付けることができるものですが、木製のものであれば多少削ることで調整はできますが、スチール製のものでは調整しにくいという違いもあります。
まとめ
大型トラックは、多くの部品でできています。それぞれに役割があり、その効果で巨大なトラックが正常に動いているのです。
その名称や役割をしっかりと把握しておくことが、事故なく大型トラックを運転していく近道と言えるでしょう。
また、各部品の正しい使用の仕方を守ることで長く安全に使用することもできます。大型トラックの部品は大きい上に高額なものが多いのも事実です。
日ごろから項目チェックやメンテナンスをすることでその寿命を延ばしていきましょう。