大型トラックのクラッチ調整が必要なクラッチ滑りの症状と原因とは?

   

まだまだMT車が多い大型トラックの運転中では、ギアの切り替え回数が非常に多く、その度にスムーズなクラッチ操作が要求されます。

そもそも、大型トラックの「クラッチ」は、簡単にいえばエンジン側とタイヤ側の間に2枚の板があり、クラッチペダルを踏む毎に離れ、戻すとくっ付きエンジンの動力をタイヤに伝える働きをしています。

そのため、大型トラックのクラッチは消耗が激しく、その症状としてクラッチの滑りや遊びが出てきます。今回は、大型トラックのクラッチ滑りの原因や症状、対策などを解説していきます。

大型トラックのクラッチ滑りが起こる原因と症状

クラッチ滑りは、クラッチの磨耗やクラッチカバー、スプリングなどの劣化によって引き起こされます。

ギアが入りにくかったり、加速がおかしかったりといった「何かが違う」という症状に気づいたら、そのままにせずクラッチの異常を疑いましょう。

放っておくとクラッチの磨耗が進み、最悪の場合はトラックが動かなくなってしまいます。

大型トラックのクラッチが滑る原因は何?

そもそもクラッチは消耗品ですので、必ず劣化します。けれど半クラッチの多用や乱暴に繋ぐ操作などによって、寿命より早い磨り減り方をしてしまいます。

大型トラックは車重も積荷も重いため、適切なギアを選択していないと、半クラッチを多用することとなり消耗が激しくなります。

また、信号待ちでギアがニュートラルに入っていても、クラッチペダルに足を乗せたままだと、クラッチ板が消耗してしまいます。

走行中もクラッチペダルに足を乗せているだけで、クラッチ板は消耗してゆきます。クラッチペダルを使わない時は、左足はフットレストに置く習慣をつけておきましょう。

大型トラックのクラッチが滑る時の症状?

いつもと同じ繋ぎ方をしているはずなのに、半クラッチで振動が出たり異音がしたりという現象が出たら、クラッチの滑り始めかもしれません。

また、クラッチペダルの遊び(繋がるまでの余裕)がなくなってきたり、ギアが入りにくくなったりするようならクラッチ滑りを疑いましょう。

本格的に滑り始めると「アクセルを踏み込むと回転数は上がるのに速度が上がらない」という現象も出ます。走行中にいきなり回転数だけが上がり、まるで半クラッチのまま走行しているような感じになることも。

さらにはクラッチが焼ける独特の臭いが発生することもあります。

大型トラックのクラッチ滑りは放って置くとどうなる

滑り出したクラッチを放っておくと、やがてはクラッチ板が完全に焼きついてしまい、走行不能になります。エンジンの動力が車軸に伝わらなくなるわけですから、重いトラックを動かす術がなくなってしまいます。

坂道や高速道路で止まってしまえば大事故に繋がる危険もありますし、一般道でも大型トラックの大きな車体が車線を塞いで止まってしまったら大迷惑です。もちろん仕事に穴を開けてしまうことは言うまでもありません。

そんなことにならないよう、クラッチに異変を感じたときは、すぐに整備担当者に伝えてメンテナンスをしてもらいましょう。

大型トラックのクラッチ滑りの確認方法や対策は?

同じトラックに長年乗務していれば、いつかは誰でもクラッチ滑りを経験することになるはずです。

ここからは、クラッチ滑りの確認方法や、大型トラックでクラッチ滑りが起きたときの対策などについて説明していきます。

クラッチ滑りは自分でも確認できるって本当?

クラッチ滑りは以下の方法で確認できます。まず、仮にトラックが急発進しても大丈夫なように、障害物のない安全な場所に停車します。

サイドブレーキをしっかりと引き、クラッチペダルを奥まで踏んで、最も高いギアに入れます。右足はいつでもブレーキを踏める状態にしておきます。

次にクラッチペダルを一気に離します。すぐにエンストするようなら正常ですが、少しギアが繋がる感じがしてからエンストするようでしたら、クラッチが滑っています。

クラッチ滑りが起きたときのクラッチ調整の方法

クラッチ板を使い切るまでは、クラッチ調整で滑りを解消できます。クラッチの調整は、クラッチハウジングの横にあるレリーズシリンダーのプッシュロッドについているロックナットを回して行います。

片方のナットを緩め、もう片方のナットを締めることで、プッシュロッドの長さを調整するのです。

とはいっても、経験のない人がいきなりやると、調整の幅もわかりません。まずは整備担当者や先輩に教えてもらうか、専門家に任せたほうが安全です。

大型トラックの定期的なクラッチ調整が必要な訳

2t以下のトラックにはクラッチの自動調整があるため、クラッチ板を最後まで使い切ることができます。

けれど4t以上のトラックには自動調整がないため、クラッチを使い切るには手動で調整していく必要があるのです。

クラッチを適切に調整することは安全にも繋がりますし、他の部品へのダメージを最小限に留めることにもなるので、大切なトラックに長く乗ることができるのです。

MTの大型トラックに乗るなら、クラッチの減り具合にもしっかりと意識を持ちましょう。

まとめ

MTの大型トラックにクラッチの消耗はつきものですが、半クラッチを多用せず、クラッチ操作をしないときはペダルから足を離し、必要以上に高回転で走るようなことをしなければ、クラッチの寿命を延ばすことができます。

また、グリーンゾーンでのシフトチェンジは、クラッチの寿命だけでなく燃費や環境への配慮の面からも推奨される運転です。

仕事の大事な相棒であるトラックに長く乗るためにも、トラックに優しい運転を心がけましょう。

【EU用】記事終わりCTA_22/09更新

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