玉掛けの作業の方法や適切な道具の使い方・服装などを丁寧に解説!
玉掛け作業は有資格作業であることや、方法を間違えると危険を伴うため、正しい方法で間違いないようにする必要があります。下手な掛け方をして一歩間違えるとつっている最中に荷物がバランスを崩して落下する危険があります。
そのため、基本的な玉掛けの方法や種類、注意点をご紹介します。
Contents
玉掛け方法の基本的な準備と作業の手順
玉掛け方法は吊り具を使って行う荷掛け、荷降ろし作業のことをいい、
- 吊り具をクレーン等のフックで吊るために行う準備
- 荷物の吊り上げ
- 吊り荷の移動および吊り荷を所定に置く
までの作業を言います。では次に玉掛け作業の基本的な手順をご紹介します。
吊り荷の状態を確認する
玉掛けをする前に吊り荷の状態を十分に確認する必要があります。主に確認する項目は次の通りとなります。
- 質量(重さ)
- 体積(大きさ)
- 形状
- 材質
- 数量
- 特異性
これらの特徴を確認せずに玉掛け作業を行うと釣り荷が不安定になり、最悪の場合事故に繋がる恐れがあるため注意しましょう。
重心をしっかり判断して玉掛けの種類を決める
玉掛け作業において重心を把握しておかなければ吊り上げた際に荷が傾いて水平を保てなくなり、玉掛け用具から荷が滑り、最悪の場合落下してしまう危険性があります。
また、どんなに複雑な形をしている吊り荷でも重心はかならず存在し、常に一定の点になっているため、その重心を見極める必要があります。
次にその重心の位置から以下でご紹介する玉掛けの方法から最適な種類を選択します。
最適な玉掛けの道具を決める
玉掛けには代表的な2つの道具を用意する必要があります。
- スリング
- 連結金具(吊り金具)
まず、玉掛けで使うロープの部分のことを「スリング」と言います。
スリングには、
- ワイヤーロープ
- 繊維のベルト式
- チェーンタイプ
の種類があります。そのため、吊り荷の材質や重さ、形に応じて使い分ける必要があります。
また、連結金具(吊り金具)は、
- 玉掛け用具と荷を連結したり
- 玉掛け用具同士を連結する
ための鋼鉄製の玉掛け用具のことを指しています。
連結金具は、
- シャックル
- フックタイプ
- リングタイプ
などの種類があります。スリング、連結金具は吊り荷を直接支える役目があるため、使用する際は劣化や破損がないか十分に確認する必要があります
クレーンの定格荷重や運搬経路、荷降ろし場所を確認する
玉掛けまで終了したら、いよいよ目的の位置まで運ぶことになります。多くの場合はクレーンで吊り上げることになるため、吊り上げる前にクレーンの定格荷重や運搬経路を確認しておきましょう。
また、
- 荷下ろし場所の強度やスペース
- クレーンのアームが入ってこられるか
などといったことも確認する必要があります。玉掛け作業者はクレーンを操縦している運転手に情報を送り、荷降ろし場所に上手く誘導してやる必要があるため、運転手との連携が必要になります。
作業者の配置や服装のチェックをする
ヘルメットや安全靴、革手袋などを装着しているなど
玉掛け方法の種類と注意点とは
フックにかける方法は主に次の4種類の方法を用いられることが多いでしょう。
- 目掛け
- 半掛け
- あだ巻き掛け
- 目通し
以下で順にご紹介します。
目掛け
玉掛け方法で最も標準的で安全な掛け方である「目掛け」は、フックにワイヤーロープのアイを掛ける方法で、ワイヤーロープの数により1~4本づりなどがあります。
ただし、吊り荷の掛け方に注意が必要で、複数のワイヤーロープを使用する場合はロープの長さが同じ状態にしなければバランスを取ることが難しく、非対称の吊り荷には適応が難しいというデメリットもあります。
半掛け
ワイヤーのアイの部分をフックに掛けない方法で、荷の側に吊り手がある場合や定型的なものの玉掛けに適しています。この方法は、ワイヤーロープの数により、2本吊り、4本吊り、6本吊りなどがあります。
重心が高かったり中心にないものはワイヤーロープが滑る危険があるため適していません。そのため、双方の張力が均等になるように注意して掛ける必要があります。
あだ巻き掛け
フックの部分にワイヤーロープを1回巻きつけて掛ける方法であるため、ロープが滑りにくいという長所があります。また、巻きつけている部分でロープの位置を固定できるため、ワイヤーロープの長さを調整することができます。
一方でフックで1回転させるため、ワイヤーに癖がつきやすくなり、修正しなければワイヤーが切れたりほつれたりします。また、太いワイヤーには適していません。
フック上にワイヤーが重なっているとワイヤーの損傷につながるため、巻きつける時は重ならないように注意する必要があります。
目通し(絞り)
ワイヤーロープのアイに反対側のアイか2つ折りした部分を通し、吊り荷を絞り込むように掛ける方法で、絞る部分によって
- 「深絞り」
- 「浅絞り」
があります。
この方法は荷を絞り込むことによって摩擦力が増すため、吊り荷とワイヤーロープの滑りを防止することができます。そのため、長物や複数の荷物を一つにくくることができます。
一方、絞りの交点部分の強度は低下することや、ワイヤーロープの絞られたところが傷むという欠点があります。
また、1本吊りの場合は吊り荷が回転することや2本吊りの時は長さを均等にしないと荷が回転したりねじれたりする可能性があるため、注意が必要になります。
玉掛け方法を極めて安全作業を心がけましょう
玉掛け作業は吊り荷を運搬する時に必ず必要になる技術であり、玉掛け作業をおろそかにした場合、一歩間違うと荷物の破損や落下につながる危険があるため、しっかりとした準備が必要になります。
また、吊り荷の形状や重心によって最適な玉掛け方法があるため、様々な玉掛け方法をマスターしておく必要がありますので、上記でご紹介した方法はぜひ覚えておきましょう。