バス運転手の飲酒事情は?バス運転手の飲酒運転を防ぐアルコールチェックも解説
飲酒運転は大変危険です。ニュースでも飲酒での事故は被害が大きく命を落とす例もたくさんあります。バス運転手は多くの乗客の命を預かって走行していますので、バス会社では厳しいアルコールチェックを行います。
今回はバス運転手の飲酒運転についてご紹介いたします。
Contents
飲酒運転の危険性
飲酒運転をすると何が危険なのか?
お酒を飲んだ状態で運転をすると、普段注意できる事も注意しにくくなってしまい、万が一何か危険な状態が起こったとしても、反射神経も鈍っているのでとっさの判断がしにくくなります。
その理由はアルコールには大脳下部の網様体という部分を麻痺させるからです。知覚や運動能力が抑制され注意力や判断力が低下します。
そしてこの症状はお酒に強い弱いに関係なく、少量であっても同じように症状が現れます。
そもそもアルコールは人間の体内に入ってから分解されるまでに時間がかかります。体重にもよりますが平均的な体重の方だと(60kg~70kg)、1時間でおよそ5g程度のアルコールが分解されます。
例えばビールなら中ビンで1/4本なので、ビール中ビン1本ならおよそ4時間も分解に時間がかかるのです。
バス運転手のアルコールチェックについて
バス外車ではバス運転手のアルコールチェックが一般よりも厳しくなっています。そのチェック方法について簡単に説明いたします。
対面点呼によるチェックが基本
バス運転手のアルコールチェックは対面点呼による点検が基本です。それで大丈夫なのか?と疑問に感じるかもしれませんが、対面点呼を行う事によって呼気チェックが可能になるので、とても有効なチェックの方法です。
対面点呼では
- 体調の良否のチェック
- 睡眠がとれているかの良否のチェック
- 車両の状態のチェックの良否
- 服装チェック
- 運転免許の確認
などを行い、アルコールチェッカーによる数値のチェックを行います。
始業時と終業時に2回のチェック
対面点呼については始業時と終業時の2回行います。始業時にはもちろんアルコールが検知されない事が重要ですが、実は前日の終業してからの飲酒にも気を付けなくてはならないのです。
1日に2回の点検を行う事によってバス運転手としての自覚を促す事もできますし、夜飲んだアルコールがしっかりと分解されているかどうかをチェックする事もできます。
ちなみにアルコールチェッカーで引っかからなくても臭いがする事もあるので気を付けなくてはなりません。
0㎎でないと乗務出来ない!
バス会社のアルコールチェックは年々厳しくなっています。法律で決められているアルコール検出数値は3.0mg以下となっていますので、一般的には3.0mgを超えている場合は運転する事ができません。
ですがバス会社によってはさらに厳しく設定されているのでバス会社の規定に従いましょう。もちろん業務ができない状態になると収入にも関係してくるので、できれば分解できないほどの量を飲まないよう気を付ける事も必要ですね。
処分の基準は各事業所で変わることがある!
もしも始業時と終業時の2回のチェックでアルコールが検知されてしまった場合には罰則があるものですが、実はバス会社によって罰則が違う事にも注目しなくてはなりません。
例えばA社ではアルコールが検知されると厳重注意で済むかもしれません。ですがB社では一回でもアルコールが検知されたら(規定を超えたら)解雇されてしまう事もあるのです。
どちらにしても飲酒運転をすれば人の命に係わる重大な事故につながりかねないので、厳しいと感じても当然の罰則が設けられているのです。
バス運転手のアルコールによる処分事例
ここでは実際にあったバス運転手のアルコールによる処分の事例をいくつかご紹介いたします。
事例1
最初にご紹介するのは乗客22名を乗せた高速バスの運転手が、パーキングエリア内にて駐車している乗用車に接触するという事故が発生しました。この接触事故の見聞中に乗客から「飲酒かも」と通報がありました。
実際にアルコールチェックをしたところ、運転手のアルコール濃度は0.35mgと基準値を超えた飲酒をしている事が発覚しました。運転手は暑かったからという理由で勤務時間内に500mlの缶チューハイを一気に飲んだとの事でした。
その状態で乗客を乗せて名古屋から新宿までを走行したというものでした。運転手は道路交通法違反で検挙されました。
事例2
2003年の7月に起こった事例です。やはり東名高速道路で乗客を乗せた高速バスの運転手が、前日に寝酒にと焼酎をお茶で割ったものを飲んで翌日出勤。点呼をしたときに補助運行管理者はおかしいと思いながらも二日酔いだろうと放置。
後になって尋ねられたところ、前日お酒を飲んだだろうとわかっていたけれど、交代の運転手を手配するのが面倒だったからという理由でそのまま業務に就かせ、結果的に事故などを起こしてはいなかったものの、事故を起こす危険があったとして検挙されました。
運転手はもちろんですが、この件では補助運行管理者とバス会社も書類送検されました。
事例3
最近の事例としては2017年に愛知県と岐阜県の中学生と引率者を約4000名参加のツアーで、運転手が前日の夜に飲酒をして深酒をしてしまったため、翌日のアルコールチェックを飲んでいない同僚に代行してもらいました。
この件でも交通事故などを起こしたわけではありませんでしたが、もしかしたら大惨事につながる事故が起こっていたかもしれません。実はこの事例でなぜ飲酒運転が発覚したのかというと、同僚が会社に不正を報告して発覚しました。
アルコールチェックを不正したという事で、60日間の輸送施設の使用禁止そして文書警告を受ける事となりました。
運ぶものは荷物ではなく「人」です!
年々飲酒運転で検挙されるドライバーは増えています。特に高速道路での飲酒運転が原因の事故については、大きな死亡事故につながりやすいため、罰則もかなり厳しくなっています。
バス運転手は物ではなく人を輸送しているという事を自覚して、翌日に残るほどの大量のお酒を飲まない心の強さが必要です。今ではアルコールチェックは義務となっていて、基準もかなり厳しくなっている事も忘れてはいけません。
罰則も厳しくなっていて事故を起こしていなくても懲戒解雇や、下手をすると会社にも厳しい罰則が科せられる事もありますので、飲酒運転をしないだけではなく不正などをしないよう、ひとりひとりが心掛けるようにすると良いでしょう。
まとめ
今回はバス運転手の飲酒についてご紹介いたしました。
年々飲酒運転に対する罰則が厳しくなった事や、事例などもご紹介いたしました。人の命を預かる仕事をしているという自覚を持つ事も重要です。
この記事がバス運転手が飲酒するとどうなるのか知りたい方の参考になると幸いです。