トラック運転手の飲酒との付き合い方 - 罰則で人生を棒に振らないために

   

2009年に飲酒運転が厳罰化されてもなお、飲酒運転による悲しい事故のニュースが後を絶ちません。

中にはトラック運転手というプロドライバーの飲酒運転による事故もあります。

運転のプロとして模範を示すべき存在であるトラック運転手にとって、飲酒とはどのように向き合うべきものなのでしょうか。

ここでは、トラック運転手の飲酒との向き合い方について考えてみたいと思います。

トラック運転手にとって免許は命

トラック運転手という仕事をする上で、一番大切なものは「運転免許」です。

そもそも免許がなければトラックを運転することができませんし、免許停止処分になれば明日からの仕事がなくなってしまうばかりか、会社にも多大な迷惑がかかります。

代わりの運転手を探すだけでももちろん大変ですが、運転手が飲酒運転をした場合、会社が行政処分の対象になってしまうのです。

飲酒運転により与えられる罰則や行政処分

飲酒運転をした人だけが罰則を与えられるわけではありません。ドライバー・雇っている事業者側、両方に罰則が与えられます。

ドライバーへの罰則

冒頭で述べたように、2009年6月に飲酒運転の罰則が強化されました。

0.15mg/l以上0.25mg/l未満の酒気帯び運転でも13点。一発で90日の免許停止処分に加えて、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

さらに人身事故を起こしてしまえば、あっという間に15点以上で免許取消になります。

これが酒酔い運転だった場合には、事故を起こさなくても35点で免許取消、さらにその後3年間は再取得できなくなります。

当然ながら仕事をすることはできず、解雇されてしまってもおかしくありませし、会社のトラックで飲酒事故を起こしてしまった場合は、損害賠償を請求されることも有り得ます。

事業者への行政処分などの影響

運転手が飲酒運転をすると、会社にも大きな損害が生じます。

代わりの運転手をすぐに手配できなかった場合は、顧客に損害を与えてしまいますし、場合によっては飲酒運転での事故が原因で取引停止になってしまうことも考えられます。

加えて、事業者が飲酒運転を下命または容認した場合、その営業所は14日間の事業停止処分を受けることになります。また、運転者が飲酒運転を引き起こした場合には、初違反で100日車、再違反なら200日車の車両停止処分になります。

そして、運送事業者の行政処分情報は国土交通省のサイトで公表されるため、一人の運転手が飲酒運転をすることによって会社は大きくイメージを損ない、社会的信用を失うことにも繋がるのです。

飲酒運転防止への取り組み

飲酒運転をしないための取り組みは、各企業・営業所で行われており、アルコールチェックはもちろん、様々な防止策があります。

アルコールチェック体制

こうした飲酒運転を防止するため、2011年5月から、事業者にはアルコール検知器の利用が義務付けられました。

営業所ごとにアルコール検知器を設置し、毎日の点呼の際にアルコールチェックをしなければならなくなったのです。

運転手が長距離に出ていて配送先で乗務を開始・終了するような場合には、運転者に携帯型のアルコール検知器を持たせなければなりません。また、点呼記録簿は1年間の保管が義務付けられています。

事業者がアルコール検知器の備えに関して違反をした場合には、初違反で60日車の車両停止処分となります。

その他の飲酒運転の対策事例

義務化されているアルコールチェック以外にも、各事業者では飲酒運転の撲滅に向けて、様々な対策がなされています。

例えば、管理者によるパトロールや車内点検、飲酒に関する研修会の実施、手紙やチラシで運転手の家族に呼びかける、などといった対策が挙げられます。

また、勤務前8時間の飲酒の禁止、点呼時に微量でもアルコールが検出されれば乗務禁止にするといった社内処分の強化などのほかに、ASK認定の飲酒運転防止インストラクターによる研修で、社内に飲酒運転防止の意識を浸透させる試みを行っている事業者もあります。

お酒が我慢できない人は...

では、トラック運転手は飲酒にどのように向き合えば良いのでしょうか。

一般に、体重1㎏あたり1時間で約0.1gのアルコールを分解できると考えられています。500mlの缶ビールを4本飲んだ場合、70kgの人でも分解されるまで、単純計算で半日近くかかる計算になります。

さらに体質や体調、年齢によって個人差がありますので、もっとかかる場合もありますので、お酒は休みの前日に飲むなど、飲酒日を考えて設定することが重要です。

飲酒運転は運転手だけの問題ではなく、会社や同僚、家族、事故を起こした場合は被害者やその家族など、周囲の人たちに多大な迷惑をかけてしまいます。

あなたと周囲を守るため、法律を守り、責任を持って飲酒と付き合いつつ運転手の仕事に取り組みましょう。

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