冷凍車の仕組みや構造はどうなっているの?乗用車のクーラーをつけただけ!?
アイスクリームから新鮮な食べ物を運ぶには必須の冷凍車。エンジンが停止しても中身は冷凍されたままなのでしょうか?
意外と知られていない「冷凍車の仕組み」を詳しく解説します。
Contents
冷凍車ってどんな乗り物?
食品を凍った状態で運搬する冷凍車。冷凍車とはどういう乗り物なのかを簡単に説明すると、荷台に冷凍庫(冷凍機能を搭載)を載せた乗り物です。
冷凍車は一般的に食品の鮮度を保ったまま運搬できるのですが、冷蔵車としても使えるとても便利な乗り物なので、私たちの暮らしには欠かすことができない乗り物の一つなのです。
冷蔵車と何が違うの?
冷凍冷蔵車と冷蔵車という二つの種類がありますが、この二つの違いは荷台につけられているBOXの違いです。
冷凍車は冷凍庫や冷蔵庫と同じ機械が付いていて、機械的に冷やしているのとは違って冷蔵車というのはクーラーボックスのような仕組みのBOXを搭載している車の事を言います。
冷凍車が日本にやってきたのはいつ頃?
日本に初めて食品を冷やす車両が登場したのは明治41年の頃でした。冷凍車は福岡運輸株式会社の創業者の富永シヅという女性が開発した車両だったのです。
魚の運搬をするために開発され日本中に広まっていきました。女性が開発したというのは意外だと思う方も多いでしょう。
冷凍車の仕組みは?
冷凍車の仕組みをわかりやすく解説していきます。
実は乗用車とほぼ同じ仕組み
冷凍車というと何か特別な仕組みがあると考えられがちですが、実際には乗用車との違いはそれほどありません。乗用車にはエアコンが付いていますよね、実は冷凍車も乗用車のエアコンとほとんど変わらない仕組みで動いているのです。
それでは冷凍車の5つのパーツとその機能についてそれぞれ説明いたします。
コンプレッサー
冷凍車のコンプレッサーは冷媒を圧縮してガス状にしてコンデンサへ送る働きがあります。この時のガスは高温で高圧になっています。
コンプレッサーはエンジンの動力を利用して動いていますが、直結しているものだとエンジンを動かした状態でないと働かないので、最近はサブエンジンを活用したタイプがあるので、エンジンを停止した状態でも温度を保つ事ができます。
コンデンサー
コンデンサはコンプレッサーから来る高温で高圧のガスを外気で冷やす役割を果たします。外気で冷やされた高温高圧のガスは冷却されて液化します。
液化されたものは膨張弁へ送られて冷凍庫内を冷やし、製品を冷凍する事ができるのです。コンテナの上についているものはノーズコンデンサ、ホイールベースの間につけてあるものをアンダーコンデンサと言います。
エバポレーター
エバポレーターは膨張弁から送られてくる霧状の冷媒液を、今度は周囲の熱を奪って冷やして冷凍庫内で循環させる働きを持っています。これらの働きで冷凍庫内は常に冷やされているので、どれか一つでも故障すると冷やす事ができなくなってしまうのですね。
ちなみにエバポレーターは蒸留などにもよく使われている冷却装置の一つです。
コントローラー
コントローラーは冷凍庫の中の温度の調節を行うための装置です。庫内温度を設定するとその温度を維持する事ができる装置で、運転席で簡単にコントロールする事ができます。
最新式のコントローラーは冷凍機に問題が発生した場合に早く発見し、異常な動きをしていたらすぐにエラーを出してくれたりする便利な機能を搭載しているものも登場しています。
スタンバイユニット
スタンバイユニットはコンプレッサーを起動するための装置です。例えば前日に積み込みをしておく時などに使います。
このスタンバイユニットが付いている冷凍車は、エンジンを停止した状態でも冷凍庫内を冷やしておくことができるわけです。多くの場合はオプションとして搭載する事が多く標準装備ではありません。
どれくらい冷却効果があるの?
ここでは冷凍車の冷却効果についてをご紹介いたします。
構造は乗用車と似ていても効果は絶大!
冷凍車だからと言って特別冷凍に特化した作りではありません。構造的には乗用車とほとんど変わりはないのです。だからといって乗用車のエアコン並みの冷却効果ではありません。
冷凍車の冷却効果は何と-25度くらいまでは冷やせるので、冷凍食品もカチカチの状態で運送する事ができます。そしてエンジンを止めてもこの状態を維持する事ができます。
さらに冷却装置が付いているだけではなく、BOXは分厚い断熱材で囲まれているので冷気が外部に流れ出ないという特徴もあるため、さらに冷却効果が高まるという部分にも注目すべきでしょう。
エンジンが停止していても利用できる
初期の頃の冷凍車とは違って最近の冷凍車はサブエンジンが搭載されているタイプが多いので、エンジン停止していても問題なく冷却ができるので、前日に積み込みをする事が可能となります。
もちろんコントローラーで温度設定を行う事によって、冷蔵から超低温冷凍も可能です。なので冷凍車がエンジンを停止して止まっている時に、アイスクリームが溶けてしまうのではないか?という心配はご無用という事になります。
コントローラーから庫内温度と設定温度を確認・変更可能
上記したようにコントローラーが付いているので、車の運転席で冷凍庫の温度を設定できます。コントローラーの画面では車内の状態を確認するだけではなく変更する事も可能です。
コントローラーもメーカーによってさまざまな機能がありますので、より細かな設定ができるコントローラーを選ぶと良いですね。ちなみにコントローラーについてもメーカーによっては異常を教えてくれるので、致命的な故障から車を守る事ができます。
まとめ
今回は冷凍車の歴史、機能、そしてエンジンを停止しても冷凍機能は働くのか?などについての疑問を解説いたしました。
冷凍車の構造を把握すると冷凍車がいかに重要な役割を果たしているのかがわかりますね。