エンジンのオーバーヒートが起こった時はどうすればいい?原因・対処法まとめ
エンジンが初めてオーバーヒートしたときは、色々と不安になりますよね。
あなたは、エンジンがオーバーヒートしたときの正しい対処法や、オーバーヒートを事前に予防する方法をご存知でしょうか?
この記事ではオーバーヒートの原因から対処法、予防法をまとめて解説します。
オーバーヒートとは?
エンジンのオーバーヒートとは、エンジンの温度が上がりすぎた状態で、エンジンに不具合が生じた状態のことです。正確にはエンジンの冷却水の温度が上がりすぎ、エンジンを冷却できなくなった状態を言います。
オーバーヒートになるとエンジンが故障する可能性があるため、すぐに走行を停止しなければいけません。しかも最悪の場合、エンジン自体を交換しなければいけなくなるため、高額な修理費用がかかる恐れがあります。
一度オーバーヒートしたエンジンはどこかが熱で痛んでいる可能性が高いため、本来の調子を取り戻すのは難しいでしょう。
冷却水の温度でエンジンの温度を判断
エンジンの温度は冷却水の温度で測る構造になっています。標準の水温計の場合、HとCのマークがついたアナログ式のものが多く、Hが高温、Cが低温の状態となります。
走行時は水温計の針はHとCの間であることが多く、適温より低くなりすぎた場合や高くなりすぎた場合に警告ランプが点灯して教えてくれます。
この水温計は適正範囲内の温度を保っているうちは、ほとんど針が動くことがないように設計されていますので、適正温度を超えると一気にオーバーヒートの危険域に達することがあります。
オーバーヒートを放置するとどうなる?
オーバーヒートが起こると、エンジンから「キンキン」「カンカン」と音が聞こえ、やがてヒーターが効かなくなったり、信号待ちといったアイドリング時にエンジンが不安定になり、頻繁にエンストしてしまいます。
そのまま放置して走り続けると、エンジンが焼き付きを起こし、最悪の場合丸ごと交換しなければいけません。また、どこかで冷却水が漏れている状態でそのまま走り続けると、やがてボンネットの内部から白い煙が上がります。
予防法は?
オーバーヒートの予防には、まず先に水温計の確認をしましょう。
オーバーヒートの症状はまず水温計に現れます。通常は走行中は水温計の針が真ん中を示すことがほとんどですが、オーバーヒートすると針が「H」の位置に触れています。
また、リザーバータンク内の冷却液の残量が規定内にあるかどうか確認しましょう。キャップを開けて冷却液の量を確認する時は、必ずエンジンが冷えている状態で行いましょう。
減っていれば冷却液を補充しますが、極端に減っていると、どこかで漏れている可能性があります。
その場合は、ラジエーターホースの各部からの漏れを確認しましょう。ホースのどこかに水滴がついていた場合、その周辺で冷却水が漏れている可能性が高いでしょう。
オーバーヒートの原因とは?
エンジンのオーバーヒートはエンジンから発する熱を冷却できないことが原因となります。そこでいくつかの原因をご紹介します。
エンジンオイルの不足、劣化
エンジンオイルの効果はエンジン内部の金属部品同士の摩擦軽減やエンジン自体の冷却効果があります。そのため、エンジンオイル自体の量が少ないとエンジン内部をしっかりと潤滑させることができません。
また、エンジンオイルが劣化するとオイルがシャバシャバと水のようになるため、油膜切れを起こしてしまいます。
そのため、しっかりエンジン内を潤滑させることができないため、あっという間にエンジンが熱を持ってしまいます。これは安いグレードのエンジンオイルでも起こりやすいため、オイル選びは慎重にしないといけません。
冷却水の不足、冷却装置の故障
オーバーヒートの原因で一番多いものが、
- 冷却水の減少や不足することといった媒体不足
- ラジエーターやウォーターポンプの劣化による冷却装置の故障
が考えられます。
冷却水自体が知らない間に無くなっているときは、ホースやラジエーターから水漏れを起こしている場合がありますので、どこでトラブルが発生しているのか詳しく原因を追求する必要があります。
また、ラジエーターやウォーターポンプの劣化の場合は交換しないと直らない可能性があります。
サーモスタットやサーモメーターの故障
サーモスタットやサーモメーターの故障によってもオーバーヒートを引き起こしてしまいます。
サーモスタットやサーモメーターが作動不良を起こすと、エンジンが規定以上の温度に達してもいつまでも冷却水がラジエーターの方に流れていかないため、エンジンを冷却せずに走行することになります。
作動不良を起こしたサーモスタットを交換しないと再びオーバーヒートになる可能性がありますので、そのまま使用せず、すぐに交換しましょう。
そのほかの原因
そのほかにオーバーヒートする原因として、ラジエーターのコア部分が飛び石や劣化で潰れてしまい、走行風をうまく通すことができずに冷却水を冷やすことができなくなることが考えられます。
そのため、ラジエーターのコア部分が潰れていると感じたら、細いマイナスドライバーで戻す作業を行うといいでしょう。
また、冬場にオーバーヒートする原因として冷却水が凍結することによってエンジンを冷却することができなくなることも考えられます。その場合は冷却水は専用のクーラント液を入れることをおすすめします。
オーバーヒートした時の対処法
実際に走行中にエンジンがオーバーヒートしたときはどうすればいいのかご紹介します。
まずは落ち着いて車を停車させる
走行中にエンジンがオーバーヒートした時は水温のメーターが振り切り、エンジンから「キンキン」と音がしてきます。
この状態になるとエンジンが壊れてしまうのではないかという不安に襲われるでしょう。もちろんすぐに車を止めるようにしなければいけませんが、まずは落ち着いて周りの状況を確認し、安全に止まれる場所を見つけましょう。
闇雲に止まると周りの車の迷惑になるどころか、最悪の場合、交通事故という二次災害を起こしてしまう危険性もあります。オーバーヒートしたからといっていきなりエンジンが壊れるということはありませんので、まずは落ち着くことから始まります。
冷却水がある場合はエンジンを動かしたままにする
車を安全な場所に停車させてから、エンジンはすぐに切った方がいいと考える人も多いと思いますが、冷却水がある場合は、エンジンを動かしたままにしましょう。
実はエンジンを切った状態で何もせずにただ放置した時は、なかなかエンジンを冷ますことができません。そのため、エンジンをアイドリング状態にすることで、冷却水を循環させることができます。
走行風が当たらなくてもラジエーターのフィンが回り、冷却に必要な風を供給してくれるため、走行していなくてもエンジンを効率よく冷却することができます。
冷却水が漏れていた、または残量不明のときはエンジンを停止する
車を停車した時に車の底を確認してみましょう。
- 底が濡れている
- 走行してきた道が濡れている
場合、冷却水が漏れている可能性があります。その場合は、エンジンを冷却するものがないため放っておくと、ますますエンジンが高温になってしまいます。
そのため、すぐにエンジンを切りましょう。また、冷却水の残量もわからない場合も同様にエンジンを切っておくことをおすすめします。
冷却水が漏れている時はどこから漏れているか原因がわからないと対処のしようがありませんので、場所を特定するまで修理ができない可能性もあります。
やけどに注意してボンネットを開ける
オーバーヒートした車のボンネットはたいへん熱くなっているため、素手で触ると火傷する危険性があります。そのため、ボンネットを開ける時は手袋を着用しましょう。
どうしても手袋などがない場合は、エンジンを切って自然と熱が下がるまで待つ方がいいでしょう。
また、ボンネットを開けた際は、しっかりとロックをかけておかないと、エンジンルームを覗き込んでいるときに風に煽られてボンネットが勢いよく閉まる可能性があります。ボンネットに頭を挟まれると死亡事故につながる危険性がありますので、くれぐれも注意しましょう。
ラジエーターから水を入れてはいけません
エンジンがオーバーヒートした状態で、ラジエーターから冷えた水を入れようと考えるかもしれませんが、絶対にこれはやめましょう。
なぜなら、冷却水が高温になっているときにラジエーターキャップを開けるとそこから圧力が一気に抜け、冷却水の沸点が下降し、一気に沸騰して蒸気として逃げてしまいます。
また、ラジエーターキャップに圧力が集中しているため、キャップのロックを緩めた途端、勢いよくキャップが飛んできますので大変危険です。もし、これが頭や目に当たると大怪我や失明といった大怪我に繋がりますので絶対にやめましょう。
ロードサービス、整備工場へ連絡する
車を止めてエンジンがある程度冷めたら、JAFなどのロードサービスや近くの整備工場に連絡して救助してもらうようにしましょう。
レッカーサービスは有料のところだと値段が高い傾向がありますので、できれば任意保険についているレッカーサービスなどを利用すると無料でしてもらえることがあります。
整備工場に持っていったらオーバーヒートしてからどのような対処をしたかや、どれくらい時間が経ったかなど、できる限り詳細を伝えるようにしましょう。
また、最悪部品の交換などもあり、高額な出費になる可能性もあるため、整備工場でしっかりと見積もりをとってもらうことも忘れずにしましょう。
まとめ
エンジンのオーバーヒートは放っておくと最悪エンジンが焼き付いて交換しなければいけなくなるため、早めに対処しなければいけません。
対処する時は、エンジンが非常に高温になっているため、火傷といった怪我などに十分に注意して、落ち着いて対応しましょう。また、自分では対処できないと思ったら、無理せずレッカーサービスや修理業者に救援を依頼しましょう。