特殊車両通行許可制度とは?申請方法や条件、費用についても紹介!
特殊車両は道路を通行する際に、特殊車両通行許可を受けなければいけませんよね。
最近では取り締まりも多く行われ、許可を受けていない場合は罰則もあり、何度も違反してしまうと違反者の名称や違反内容等が公表されてしまうこともあります。
そこで今回は、特殊車両通行許可制度について分かりやすくご紹介していきたいと思います。
Contents
特殊車両通行許可制度とは?
一定の大きさや重さを超える車両(特殊車両)の通行には、あらかじめ道路管理者の許可が必要になります。
なぜかというと、近年では、車も、運搬される貨物も大型になり、重量も重くなって道路に負荷がかかり、道路が破損する事故が増えています。また、車両は大きくなればなるほど、危険も増大します。
ですので、一定の大きさや重さを超える車(特殊車両)を通行させる時は、道路の管理者の許可を受けるように道路法によって義務付けられています。
これが特殊車両通行許可制度という事になります。この特殊車両通行許可制度は手続きの簡素化を図る目的で平成16年3月よりオンライン申請の運用を開始しています。
ですので、申請を検討している事業者様はオンライン申請を活用してみてはどうでしょうか。尚、国交相ではオンライン申請の方法などを紹介したホームページを公開していますので是非ご覧ください。
特殊車両に該当する基準
特殊車両に該当する車両は、車両の大きさや重さ、関係する法律等で決められています。ここでは特殊車両に該当する基準について紹介させて頂きます。
以下に挙げる一般的な車両の制限値を超える車が特殊車両という事になります。
- 長さ[道路の構造による限度]走行(連結・積載)状態で12m
※トレーラー等連結車はほとんどがこれを超えます。 - 幅[道路の構造による限度]積載状態で5m
- 高さ[道路の構造による限度]積載状態で3.8m(一部道路では1m)
- 総重量[道路の構造による限度](車+乗員+荷物)積載状態で20t(一部道路では車両の構造に応じて最大25t)
- 軸重[道路の構造による限度]積載状態で最大10t
※上記の基準をどれか1つでも超える車両は特殊車両になり「特殊車両通行許可」が必要になります。
そして次に列挙するトラックが特殊車両に該当します。
- トラッククレーン
- バン型トレーラ
- タンク型セミトレーラ
- 帆枠型セミトレーラ
- コンテナ用セミトレーラ
- 自動車運搬用セミトレーラ
- フルトレーラ
- アオリ型セミトレーラ
- スタンション型セミトレーラ
- 船底型セミトレーラ(タイプ1)
- 船底型セミトレーラ(タイプ2)
- 海上コンテナ用セミトレーラ
- 重量物運搬用セミトレーラ
- ポールトレーラ
以上の車両が特殊車両に該当します。
特殊車両通行許可の申請について
申請方法
許可の申請はなかなか難しいようで、申請が通らず差し戻される事も少なからずある様です。かなり事細かに審査される様なので、注意した方が良いでしょう。
申請の流れは次の様になります。
- 申請窓口に通行許可の申請
- 窓口にて申請書類受理
- 道路管理者による審査
- 許可または不許可
特殊車両通行許可申請をして許可か不許可と認定される一般的な期間は、
- 新規申請や変更申請の場合・・・3週間
- 更新申請の場合・・・2週間
となっておりますが、実際はもっとかかる事もあります。
特殊車両通行許可にはオンラインで申請を行える特殊車両システムというものもあります。入力を進めるのに、3面図を準備したり経路を調べたりとやることは多いため、システムを利用するなら早めに取り掛かりましょう。
必要な書類
次は申請に必要な書類について説明します。
- 特殊車両通行許可申請書(1部)
- 車両に関する説明書(2部)
※新規格車については不要 - 通行経路表(2部)
- 経路図(+申請車両数)
※新規格車についてのみ2部 - 自動車検査証の写し(1部)
※オンライン申請では、自動車検査証の写しが不要
※車両によっては対象にならないものもあります。
上記以外に窓口の道路管理者が必要とする書類を提出しなければならない場合もあります。自動車検査証の写しを除く申請書類は、オンライン申請システムでも作成が可能です。
審査完了までの時間
続きまして特殊車両通行許可申請の完了までの時間について紹介します。
申請してから許可(不許可)までの期間ですが、
- 新規の申請、変更の申請・・・受付日より3週間以内
- 更新の申請の場合・・・受付日より2週間以内
が標準期間になっています。
標準期間の目安になるのは、次の要件になります。
- 申請経路が道路情報便覧に記載の路線で完結している場合
- 申請車両が超寸法車両および超重量車両でない場合
- 申請後に申請経路や諸元など申請内容の変更がない場合
これはあくまで標準期間ですので、実際はもっと時間がかかる場合もあります。長い場合3ヶ月かかる!なんて事もある様なので申請は早めに行いましょう。
申請費用
続きまして一番気になる料金の話をさせて頂きます。特殊車両通行許可では、通行の経路が2つ以上の道路管理者にまたがる場合に原則手数料が必要になります。
国の機関窓口で1経路200円、県の窓口では条例により、若干の違いがある様です。
手数料の計算方法ですが、申請車両台数✖(申請経路数)✖200円になります。
例えば、5ルートを往復で申請すると、申請経路数は10経路で扱われます。
申請車両台数が3台だと、3台✖(10経路)✖200円=6000円になります。
もう一つ新規格車の通行許可申請をする場合は、高速自動車国道および重さ指定道路を除いた区間で、2つ以上に道路管理者がまたがる場合には手数料が必要になります。
許可後の通行時の遵守事項について
特殊車両通行許可申請証を取得して通行条件を付されたら、出発地から目的地までその条件通りに通行しなければなりません。その他通行時に守らなければならない事項は次の通りです。
- 許可証の携帯、通行時許可を受けた車両内に備え付ける。
- 通行時間、通行時間が指定されている場合、その時間内に走行
- 通行条件、橋 トンネル等での徐行、誘導車の配置等が義務付けられている時は、処置をとる。
- 通行期間、許可された期間内だけ通行しなければならない。
- 通行経路、許可された経路以外は通行しない。
- 道路管理者、日本道路交通情報センターに許可された道路の状況を確認。⑦事故の時、万が一、」許可車両が事故の時は直ちに応急処置を行い、道路管理者に報告。
未申請の場合の罰則について
手続きが煩雑で、許可が下りるまでに時間のかかる可能性がある特殊車両通行許可ですが、無許可で特殊車両を運転することは絶対にやめてください。大変なことになってしまいます。
ここではもし、特殊車両通行許可を申請せず無許可で特殊車両を運転した場合の罰則について紹介したいと思います。
- 車両の通行が禁止または制限されているにも関わらず違反して通行させた、許可条件に違反した。(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)
- 道路管理者、もしくは道路管理員の通行の中止などの命令に違反した(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)
- 車両の幅、長さ、高さ、重さ、最小回転半径などで制限を超える車両を、道路管理者の許可なく通行させた、許可条件に違反して通行させた(100万円以下の罰金)
- 特殊な車両を通行させるとき、許可証を備え付けていなかった(100万円以下の罰金)
- 車両の幅など、個別的に制限されている道路に車両を通行させて、通行の中止、総重量の軽減、徐行などの道路管理者の命令を受けたにも関わらずそれに違反した(50万円以下の罰金)
特殊車両通行許可申請をしていなかった場合は当然ですが、許可書を忘れた場合も罰則があるので注意したいですね。
尚、上記の罰則は、違反した運転手だけでなく、事業主体である法人や事業主も同じように罰せられます。
申請は専門家に頼むのが確実
特殊車両通行許可の申請は手続きが煩雑で、書類の不手際などの思わぬミスがあると申請が通らない事もあり、申請に時間がかかってしまう場合があります。
何がなんでも自力で申請手続きをしてみせる!という方は止めませんが、もう一つ方法として、その道のプロに頼むという方法もあります。
料金はかかってしまいますが、確実でスピーディーに手続きを行う事ができる分、メリットは大きいかもしれません。
行政書士に申請依頼した場合、新規申請でおよそ、12000円〜15000円位が相場の様です。そこから、別途必要に応じて追加料金がかかります。
行政書士の事務所によっては、割引があったりオンライン申請だと安くやってもらえたりと様々なので、依頼前に問い合わせて頂けると良いと思います。
まとめ
ここまで特殊車両通行許可申請について紹介してきました。この特殊車両通行許可制度は知っている人が少なく、マイナーな許可制度なため、運送事業者の方でも詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
ですが、例えば、これからトレーラーを導入しようと思っている事業者様は申請を行わなければならないので、そういった事業者様にとっても一助になればと思います。