トラック運転手の独立は個人か法人のどちらで開業すればいいの?
トラック運転手をしていると独立を視野に入れたくなることもありますが、現実問題として可能なのでしょうか。
今回は運送業開業に必要な要件と、個人開業と法人開業について、そのメリットとデメリットを解説します。
Contents
そもそも個人で運送業は開業(独立)できるの?
結論からいえば、個人での運送業開業は可能です。ただし、いくつかの要件があります。
運送業を開業するには、運送業許可を取得する必要があります。そのためには、大きく分けて5つの要件を満たさなければなりません。
人員
運転手5人と運行管理者1人の計6人が最低でも必要です。運転手と運行管理者は兼任することができません。また、整備管理者も1名必要ですが、こちらは運転手や運行管理者と兼任することができます。
事務所および休憩室
開業には事務所と休憩室が必要です。
賃貸でも構いませんが、市街化調整区域にある建物は原則として使用できません。
駐車場
出入り口の道幅が5.5m以上ある駐車場の確保が必要です。
車両
車検証上の用途が「貨物」となっている緑ナンバーのトラックが、最低5台必要です。
資金
6ヶ月分の車両費や家賃、2ヶ月分の人件費や燃料費、1年分の保険料、税金などの経費を合わせた資金が必要です。1,000万円以上になることがほとんどです。
個人開業と法人開業の違いは?
運送業開業にあたって個人と法人のどちらかを選ぶには、それぞれのメリット・デメリットを知る必要があります。
個人開業のメリット・デメリット
個人で運送業を開業することのメリットは、法人で開業する場合にかかる20万円程度の会社設立費用がかからないことです。
それに対してデメリットは、法人に比べて社会的信用が低く、顧客や銀行の融資が得にくくなることです。
また、利益が出た際に節税対策が取れないこともデメリットとして挙げられます。さらに、将来的に法人化することを視野に入れているとしたら、その際には改めて法令試験を受けなければなりません。
運送業許可の譲渡と譲受認可も必要になりますので、ゆくゆくは法人化する予定があるのであれば、初期費用は増えますが法人で開業したほうが良いかもしれません。
すでに決まった取引先以外とは取引する予定がなく、今後も法人化することを視野に入れていないのであれば、会社設立費用のかからない個人開業を選ぶのもひとつの方法です。
法人開業のメリット・デメリット
法人で開業するメリットは、先に挙げた個人開業のデメリットに相当します。個人に比べて社会的信用が高くなりますので、銀行からの融資が受けやすくなり、新規の顧客も得やすくなります。
人材を確保しようとする際にも、法人であることがメリットとなり得ます。また、消費税の減免期間もありますし、利益が出た場合の節税対策も取りやすくなります。
デメリットとしては、20万円程度の会社設立費用がかかることの他に、会社設立時に煩雑な手続きが生じることが挙げられます。
また、会計処理が複雑になることが予想されますので、決算などで税理士に依頼する必要が生じ、そのための費用が発生します。
とはいえ、個人開業ののちに法人へ切り換えることのデメリットに比べれば、はじめから法人で開業するメリットの方が大きいといえるのではないでしょうか。
まとめ
個人開業のメリット
- 会社設立費用がかからない
個人開業のデメリット
- 社会的信用が低く、銀行の融資が受けにくい
- 法人化する際の手順が煩雑になる
- 節税対策が取れない
法人開業のメリット
- 社会的信用が高く、銀行の融資も受けやすい
- 新たな顧客や人材の確保がしやすい
- 消費税の減免期間があり、節税対策が取りやすい
法人開業のデメリット
- 会社設立費用がかかる
- 税理士などのコストがかかる
法人より個人の方がデメリットは多くなりますが、個人開業にもメリットは存在します。
先を見て、自分の目的に合った事業形態をしっかり検討することが大切です。