運行管理者の資格取得方法は?資格試験や講習についての基礎知識
運行管理者は国家資格です。資格を取得するためには、受験する方法と実務と講習の一定条件を満たしているかのどちらかの方法があります。運行管理者のそれぞれの資格取得方法や、取得したあとの気になる疑問もまとめています。運行管理者の資格について知りたい情報が丸わかりです。
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運行管理者とは?
トラック、バス、タクシーなどの事業用自動車で業務を行う場合には、国の定める運行管理者制度により、安全運行を確保を目的として、営業所ごとに車両数に応じた人数の運行管理者を配置することが義務付けられています。
運行管理者は、安全に関する体制確立の中心的役割を果たしますので、国家資格を取得していないとその任務に当たれません。
運行管理者は道路運送法や貨物自動車運送事業法などの法律に基づき、事業用自動車の乗務員の乗務割の作成、睡眠休憩施設の管理、乗務員への指導監督、日々の点呼による乗務員の健康状態などの把握、運行状況の把握などの業務を行います。
運行管理者は、配車も手がけますが、あくまで安全に運行をすることが主たる業務です。例えていうなら、「1に安全、2に安全、3,4がなくて、5に安全」というほど、安全を目標とします。この点で、配送ドライバーとは役割が大きく異なります。
資格試験の受験方法
運行管理者の受験方法として、押さえておきたい資格要項や合格基準を見ていきましょう。
試験を受けるための資格要件
以下の3つのパターンがあります。
1つ目は、試験日の前日までに、1年以上の運行管理業務の実務経験を有する場合です。
なお、実務としては、軽自動車を除く自動車運送事業のための事業用自動車又は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車(緑色のナンバーの車)の運行の管理が対象となります。
2つ目は、国土交通大臣が認定する講習実施機関において、受験する試験の種類に応じた基礎講習を修了している場合です。
なお、貨物試験受験には、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づき国土交通大臣から認定された講習実施機関で基礎講習を受講する必要があります。
旅客試験受験には、旅客自動車運送事業運輸規則に基づき国土交通大臣から認定された講習実施機関で基礎講習を受講する必要があります。
3つ目は、国土交通大臣が認定する講習実施機関において、試験の種類に応じた基礎講習を受講し、試験日の前日までに基礎講習を修了した場合です。
試験の主な内容と合格基準
合格基準は、全問題の合計得点が、6割以上であることです。
つまり、30問中18問以上は正解する必要があります。また、5つの分野で、1分野につき1問以上正解しなければなりません。
分野は、1つ目が貨物自動車は貨物自動車運送事業法・旅客自動車は道路運送法、2つ目が道路運送車両法、3つ目が道路交通法、4つ目が労働基準法5つ目がその他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力です。
5つ目の項目については、2問以上正解する必要があります。
受験日や受験料
第1回試験日は、3月の1週目の日曜日です。 受験のための書面申請は試験前年度の11月中、おまかせ申請は10月後半~12月上旬まで受け付けています。
インターネット申請は11月上旬~12月上旬、スマートフォン再受験申請は10月上旬~12月上旬までです。試験結果の発表は、試験日から1カ月以内となります。
第2回試験は、8月の4週目の日曜日です。 受験のための書面申請は試験前年度の5月中旬~6月上旬、おまかせ申請は4月後半~6月上旬まで受け付けています。
インターネット申請は5月中旬~6月中旬、スマートフォン再受験申請は4月上旬~6月中旬までです。試験結果の発表は、試験日から1カ月以内となります。
試験を受けずに資格者証が取れる方法
運行管理者は国家資格であり、「運行管理者資格者証」(以下、資格者証と略記)の交付を受けることが必要です。
実務経験と講習を受けていると試験を受けなくても良い
事業用自動車の運行の安全確保に関わる業務に関し、一定基準の実務経験や要件を備える場合は、受験しなくとも、交付申請を行って取得できます。
具体的には、以下の3条件を満たす必要があります。
1つ目は、事業用自動車の運行管理に関し5年以上の実務の経験を有することです。
2つ目は、実務期間中に運行管理に関する講習を5回以上受講を済ませていることが挙げられます。
3つ目は5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講済であることです。
講習の受講回数のカウント方法には注意が必要
5回の講習は5回受講すれば良いわけではなく、1回は基礎講習を受講することが条件となります。受講回数は基礎講習または一般講習を同一年度に受講した場合は1回と定められているなど、細かな条件に沿ってカウントしなければならない点に注意が必要です。
運行管理者に関する気になるQ&A
運行管理者の受験について、受験料など気になるポイントを見ていきましょう。
運行管理者の資格手当はいくらぐらい?
運行管理者の資格を持っているだけであれば5000円程、 選任者は1万円程です。
資格を保有しているだけでも手当が付くことからも、受験するメリットはあるといえるでしょう。
運行管理者の合格者はどれくらいいるの?
平成30年の第2回試験の合格者数を紹介します。
試験実施県47都道府県の受験者数は35,619人、合格者数は10,220人、合格率は28.7%です。
極めて低いとはいえない数字ですが、簡単な資格試験ではないことはうかがえます。
運行管理者の資格が剥奪されることはあるの?
基本的に失効してしまう期間は定められていませんが、亡くなった場合などは資格の返却手続きが必要です。また、法律違反などの行為があると、返却しなければなりません。
このように、通常の業務を行っている限り、資格をはく奪されることはないといえるでしょう。
資格者証をなくしたら再発行はできるの?
運行管理者資格者証を紛失、破損あるいは記載事項の変更を希望するなどの場合には、指定の書類を提出して再交付を受けることができます。
資格者証を無くした場合の必要な書類とは、再交付申請書です。
また、紛失以外の場合は運行管理者資格者証、記載変更の場合は住民票の写し等、変更の事実を証明するものがを提出すると、再発行できます。
まとめ
資格者証は永久資格であり、一度合格すれば一生の宝物となります。
自動車運送事業に携わる方であれば、取得を検討してみてはいかがでしょうか。