ダンプ規制法とは?ダンプ規制法が出来た背景とダンプナンバーとの関係は?
ダンプカーには規制法があることをご存知ですか?実はこのダンプ規制法、ダンプナンバーとの間に深い関係があるんです。
この記事では、法律の内容からダンプナンバーとの関係、法律が制定された経緯や運用の実態など、ダンプ規制法にまつわる情報を徹底的に解説します。
Contents
「ダンプカー」ってどんな乗り物?
ダンプ規制法を理解するためには、まずダンプカーがどんな乗り物なのかを知っておかなくてはいけません。
ダンプカーとはトラックの一種で、荷台を傾けて積み荷を一度に降ろすことのできる機械装置を備えた車のことを指す用語です。
「どさっと落ちる」という意味の英語「dump」を語源としていて、その名のとおりの機能を持っている車であると言えますね。
土砂を積み込んで輸送したり、ビルやアパートなどを解体した廃材を運搬したりといった用途で使われます。
一口にダンプカーといってもどれも同じというわけではなく、形態や荷台の構造によっていくつかの分類があります。
また、製造しているメーカーも複数あり、どの会社のダンプカーかによって特徴や性能に細かな違いがあります。
ダンプ規制法とは?
ダンプ規制法は、その名のとおり、ダンプカーに関係する様々な規制を定めた法律です。ダンプカーは基本的に、この法律に従った措置を取って運用されなければなりません。
法律を制定した意図としては、ダンプカーを運転する業者を登録しておくことで、業者の交通安全意識を高めさせることにあったようです。
ダンプ規制法の内容は?
さて、ダンプ規制法とはどういった内容を定めた法律なのでしょうか。
簡単に説明すると、大型自動車に区分されるダンプカーが公道を走る際は、荷台に表示番号を表示しておかねばならない、ということを規定したのがダンプ規制法です。以下、詳しく解説していきます。
ダンプ規制法の正しい名称(法律名)とは?
ダンプ規制法は、その正式名称を「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」といいます。
ほぼ内容そのままの法律名と言ってよいでしょう。ダンプ規制法というのはあくまでも通称であると覚えておきましょう。
ダンプ規制法の対象車両は?
前述のとおり、ダンプ規制法の正式名称は「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」です。このことから、大型車を対象とした法律であると読み取ることができますね。
事実、ダンプ規制法の対象となるダンプカーは最大積載量5,000kg、または車両総重量8,000kgを超えるものとされています。小型のダンプカーは対象外なのです。また、「土砂等を運搬する」の部分も見逃せません。
この「土砂等」の内訳も「土・砂利・砂・玉石・砕石・砂利をセメントなどにより安定処理したもの・アスファルト・鉱さい・廃鉱・コンクリート・レンガ・モルタル」と細かく決まっており、
ここに挙げた以外のものを運ぶダンプカーは規制の対象とならないことにも注意が必要です。
ダンプナンバーとは?
ダンプカーを見かける機会があったら、荷台に視線を向けてみてください。「東京 営 1234」といった具合に、番号が書かれているはずです。
この番号はトラックならどんな車種にでもついているわけではなく、ダンプカーにしか存在しません。そのため「ダンプ番号」とか「ダンプナンバー」といった呼び方をされているわけです。
ただし、ダンプカーになら必ずダンプナンバーがあるのかといえば、実はこれも違います。
ダンプナンバーの表示義務があるのは、土砂などの運搬を目的としたダンプカーだけ。したがって、産業廃棄物などを運搬しているダンプカーにはダンプナンバーが記されていない場合もあります。
ダンプナンバーとダンプ規制法の関係とは?
ところで、先に説明させていただいたダンプ規制法は、土砂等を運搬するダンプカーについての規制を定めた法律でしたよね。勘のいい方であればもうお気づきでしょう。
そう、ダンプナンバーの表示義務はダンプ規制法によって規定されているのです。ダンプ規制法の項目で少し触れた「表示番号」がダンプナンバーのことというわけですね。
ちなみに、たいていの場合ダンプナンバーの位置は荷台の左右ですが、規定では荷台の見やすいところに表示するということになっているため、必ずしも左右にあるとは限りません。
ダンプナンバーを記載する意味とは?
このダンプナンバー、どういった意味を持つ標示物なのでしょうか。それを考えるには、ダンプカーが何を運搬しているのかを意識すると分かりやすいかもしれません。
一般的に、ダンプカーは土砂などを運搬していますよね。ということは当然、ダンプカーはかなり汚れやすい環境に出入りすることが多いわけです。
そのため、ナンバープレートが土汚れなどで判別しづらくなっているケースが少なくないのです。そこで登場するのがダンプナンバー。
車両を特定できるよう、ダンプ一台一台に番号を振って、分かりやすい位置に表示するよう義務づけているのです。
ナンバープレートの役割を果たすものがもう一つある、と考えると腑に落ちやすいのではないでしょうか。
現状に合わない?ダンプ規制法の実態とは
ここまでダンプ規制法の趣旨や内容を見てきましたが、実は、ダンプ規制法には「現場の実態に合っていない」という批判も寄せられています。
過度な負担をかけている?
2009年、兵庫県トラック協会のダンプ部会により、全日本トラック協会に対してある要望を送りました。
その要望というのが、規制緩和。兵ト協の主張によれば、ダンプ規制法は土砂運搬ダンプに対して過度の負担を義務づけている、というのです。
ダンプの事故件数の分類としては「土砂ダンプ」と「土砂禁止ダンプ」とに分かれるのですが、事故件数が多いのは土砂禁止ダンプのほうであったというのです。
さて、ここでダンプ規制法の正式名称を思い出してみましょう。法名は「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」でしたよね。
つまり、ダンプ規制法はあくまでも土砂ダンプを規制するものであって、土砂禁止ダンプには効力が及ばないわけです。
こうしたことから、ダンプ規制法は土砂ダンプに対する過度な負担である、と主張されているのです。
なぜダンプ規制法が制定されたのか
そもそも、ダンプ規制法の立法意図はどのようなものだったのでしょうか。実は、ダンプ規制法が制定された当時、ダンプカーの暴走行為が目立っていました。
当然取り締まる必要があったのですが、先述したように土砂を運搬するダンプカーは土汚れなどでナンバープレートが読み取れない場合が多く、違反車を特定することが難しかったのです。
そこで、ナンバープレート以外にダンプカー専用の番号を設定しようということになり、ダンプ規制法が成立したのです。
ダンプナンバーの表示が義務化されたことによって、暴走行為を行った車や、過積載を行った車、道路に土砂を撒き散らした車などを特定することが可能となりました。
事故件数が少ないのに負担が大きい?
しかしながら、現在では当時と大きく状況が変わっています。2008年に全日本トラック協会がまとめた「事業規模及び事業内容と交通事故件数との関係に関する調査報告書」では、
1万日あたりの事故件数、走行距離100kmあたりの事故件数ともに、土砂を運搬していないダンプのほうが多かったのです。
とはいえ、他の車両に比べるとやはりダンプカーの事故件数は依然として高い傾向にあります。
土砂を運搬するダンプカーはナンバープレートが汚れやすい、という点は不変ですから、やはりダンプ規制法によるダンプナンバー表示義務は必要であると言えるでしょう。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?ダンプカーというのがどういった車であるのかから、ダンプ規制法の内容と実態、ダンプナンバーとの関係性に至るまで、ダンプにまつわる情報がひととおり理解できたのではないでしょうか。
もちろん記事内で述べたとおり、ダンプを運用する現場の実情にマッチしていないという批判もあるため、今後制度が変更される可能性もあります。
しかし、ダンプカーでの事故が未だ高い水準にある以上、やはりダンプ規制法は必要な法律であるという考えが多勢。当面は現状が維持されるでしょう。
というわけで、ダンプを実際に取り扱っている方や関連法案について勉強している方は、この記事の内容を頭に入れておくと役に立つはずです。