フォークリフトで公道を走ることは可能?違法?走る際の条件などをご紹介!
フォークリフトを普段から使う方の中には、公道を走らなければいけないケースも稀にありますよね。
公道を走ることは法律的に大丈夫なのかどうか、また公道を走るための条件や免許など、詳しく調査しました!
Contents
フォークリフトとはどんな乗り物?
フォークリフトを初めて乗る方にとっては、まったく知識がないかと思いますので、まずは基礎知識を解説いたします。
主に工場や倉庫で物を運搬する
フォークリフトとは、フォーク(つめ)を荷物の下に差し込んで持ち上げることで、荷物を持ち運ぶことができる機械です。
操縦するためには、フォークリフト運転技能講習またはフォークリフト運転特別教育を修了する必要があります。
フォークリフトは公道を走ることができるのか
そもそもフォークリフトは荷物を運ぶための機械ですから、その作業は工場や倉庫の敷地内で行う前提です。では、フォークリフトは行動を走行することはできないのでしょうか。
実は、フォークリフトで公道を走行することは、できないわけではありません。条件を満たすことによって、法令を遵守した上で公道を走行することは可能なのです。
そもそも公道とはどんな道なのか
道路交通法で定義する「公道」とは、国や地方公共団体が管理する「道路法上の道路」だけでなく、不特定多数が通行可能な「一般交通の用に供するその他の場所」も該当すると判断されます。
例えば、契約者以外は出入りしない月極駐車場は該当しないけれど、不特定多数が通行する店舗の駐車場を公道とみなして道交法が適用された判例もあります。
法律上では走行可能
では、道路交通法で定義される「公道」をフォークリフトが走行できるかどうかというと、道路交通法を遵守しているなら走行可能ということになります。
そして、公道を走行するためには、他の自動車と同じように「登録した車両」を「運転免許を取得した者」が運転する必要があるのです。
ただし、いくつか条件がある
フォークリフトが公道でできることは「走行」のみです。荷物を積んで走行することは、法律で禁じられています。
また、公道で荷役作業をすることも禁じられています。どうしても公道で荷役作業をしなければならないときは、所轄の警察署長から道路使用許可を受けなければなりません。
さらに、公道では作業灯を点灯して走行することはできません。フォークリフトの作業灯は「走行中に使用しない灯火」とされており、公道を走行する際に点灯していると他の車両の妨げとなるため、禁止されているのです。
このように、フォークリフトが公道を走行する際には「積載」「荷役」「けん引」「作業灯の灯火」が禁止されていることを踏まえる必要があります。
走行できるのは道路交通法を守っている場合のみ
公道を走行できるフォークリフトは、道路交通法を遵守している車両です。
つまり、普通自動車と同じようにナンバーを取得して、自賠責保険に加入し、登録した車両区分に応じた車検を受ける必要があります。もちろん運転免許も必要です。
フォークリフトが公道を走るための条件
フォークリフトが公道を走行するための条件をまとめると
- 積載
- 荷役
- けん引
- 作業灯の灯火
を行わないことの他に、
- ナンバープレートの取得
- 自賠責保険の加入
- 車両区分に応じた運転免許証の交付を受けた運転者
が必要ということになります。
フォークリフトを分類する
フォークリフトは、サイズ・最高速度・排気量によって「小型特殊自動車」「新小型特殊自動車」「大型特殊自動車」に分類されます。
全長4.7m以下・最高速度15km/hで全高2.0m以下、総排気量1,500cc以下なら小型特殊に、全高2.8m以下は新小型特殊に、これらのサイズを超えるものは大型特殊に分類されます。
役所へ申請する
ナンバープレートを取得する場合、小型特殊または新小型特殊に該当するフォークリフトは市区町村役場に申請、大型特殊に該当する場合は車検場で登録することになります。
なお、ナンバーを取得するということは、自賠責保険に加入することになります。
どのナンバーが発行されるかはフォークリフトのメーカーに問い合わせる
フォークリフトの分類は3-1で解説しましたが、実際に申請しようとしているフォークリフトがどの区分になるかがわかりにくいことがあります。
よくわからないまま自己判断で役所に出向いたら大型特殊に該当するから登録できなかった、などというようなことがないように、わからない場合はメーカーに問い合わせましょう。
運転免許証が必要
大型特殊と新小型特殊に該当するフォークリフトを公道で運転する場合は、大型特殊免許が必要となります。
小型特殊に該当するフォークリフトは、大型免許・普通免許・大型特殊免許・二輪免許・小型特殊免許のいずれかが必要です。
どちらの場合も、フォークリフト運転技能講習を修了していなければなりません。大型特殊を持っていれば、クレーン車やブルドーザー、除雪自動車なども運転できますので、いっそ取得してみるのもいいですね。
公道で運転する際の条件
条件についてはここまでに何度か説明しましたが、それぞれ詳しく解説していきましょう。これらの条件を守らずに公道をフォークリフトで走行することは違法行為となりますので、十分に注意しましょう。
公道で荷物の運搬は不可
フォークリフトには最大荷重は設定されていますが、最大積載量の設定がありません。
つまり、何かを積載して走行することそのものができないのです。言い換えれば最大積載量は0なので、何かを積載した時点で過積載となります。
公道で積みおろしする場合は警察署へ
公道での作業には、道路使用許可が必要です。これは道路工事などと同じで、道路の本来の用途に即さない道路の特別の使用行為となるためです。
公道での積みおろし作業を必要とする場合は、所轄の警察署に申請して許可を得る必要があります。
牽引して走行することは禁止
道路交通法第59条では、牽引は「牽引するための構造及び装置を持つ自動車が、牽引されるための構造及び装置を持つ自動車を牽引すること」と定められています。
そのどちらも有していないフォークリフトは、公道を牽引走行することはできません。
公道で作業灯の点灯は不可
作業灯は作業用の灯火であり、道路運送車両の保安基準第42条で「走行中は使用しない灯火」とされています。
作業灯を点灯させて走行することは他の車の妨げとなるので、行動を走行する際には作業灯を点灯させることは違法となります。
違反になった場合、罰則はどうなる?
これらの条件はすべて法に基づいたものなので、違反をすれば当然罰則があります。
例えば公道での積載走行は過積載となるため、違反した場合は道交法第57条違反となり、同法118条によって六月以下の懲役又は十万円以下の罰金が科せられます。
罰則はあくまで運転手
これらの違反は、運転手が罰せられます。なぜなら、法律は「その行為を行った者」を対象としているからです。
会社の命令だからと罰金は会社が出してくれたとしても、前科が付くのは運転手です。もちろん代わりに会社の誰かが懲役を受けることもできません。
違法行為は、そこへ至るまでの過程がどうあれ、行った者には処罰が与えられるのです。
場合によっては会社に罰則
違法行為によって罰せられるのは運転者ですが、これらの違法行為を黙認していたのなら会社も罰せられます。
例えばナンバープレートを表示せずに公道を走らせた場合は、道路運送車両法111条により会社にも罰金刑が科されます。
運転を強要された場合は会社に重い罰則
労働者に違法行為を強要する時点で、それは重大な犯罪です。また、違法行為をしてしまった労働者も当然罪に問われることになります。
フォークリフトで公道を走行する条件を満たしていないのにもかかわらず、公道走行を強要された場合は、違法性を指摘した上ではっきりと断りましょう。断ったことで解雇を匂わせられたなら、それも違法です。
できるだけ公道では運転しないこと
このようにフォークリフトでの公道走行には、いろいろな条件を満たす必要があります。
それは、言い換えればそれだけ危険性が高いということ。そしてフォークリフトはそもそも公道を走行する目的の車両ではないということです。
そのことを踏まえると、条件を満たしていたとしても、可能な限り公道での走行は避けたほうが無難でしょう。
もちろん、公道を挟んだ拠点間での移動など、ナンバーを取得して条件を満たしていれば問題はありません。道路使用許可を取得した上で公道で荷役を行うことにも違法性はありません。
といっても、一般の通行人などはフォークリフトがどんな動きをするかを知りませんので、作業の際には細心の注意を払うことを忘れないようにしましょう。
短い距離の走行なら目をつぶってくれることもある?
「ちょっとぐらいなら大丈夫だろう」などという考えで、短い距離だからと走行することは言語道断です。
どんな犯罪でも「ちょっとぐらいなら」で許されるものはありません。「ちょっと」でもダメだから犯罪なのです。
車両を運転するということは、「ちょっと」の違反もしないということです。その「ちょっと」の違反が、安全を脅かす種になってしまうかもしれません。
フォークリフトの公道走行で例外があるのは「故障したため止むを得ず牽引する」場合だけです。
まとめ
フォークリフトは荷役のために必要不可欠ともいえる車両です。ただし、それには常に危険が伴うもの。
もちろん構内作業でも安全に配慮することが大前提ですが、公道は無関係な人や車両が通行する場所です。
公道走行をする際には条件を満たし、一般の交通の妨げにならないよう常に意識して、安全な走行を心がけましょう。