【下請けとの違い】傭車(よう車)とはどういう意味?運送業界における必要性とメリット・デメリット・費用とは
2020/12/07
運送業界で、働く方なら、耳なじみのある、「傭車」という言葉。傭車とは、運送会社が、他の運送会社に仕事を依頼する際の、依頼される側の運送会社のことです。以下では、傭車について、意味や詳細をご紹介していきましょう。
Contents
傭車とは?
他の業者に自社での業務を依頼すること
「傭車」とは、運送会社が、自社の仕事を、個人事業主の業者や下請けの運送会社に、依頼をする事です。また、運送会社が、他の輸送業者の車両を一時的に借り受けて、輸送業務を行うことと、また、その車両を指す場合もあります。
「傭車」とは、戦争などで、「傭兵」のようにフリーの兵士を雇うのと一緒で、他の運送業者などから車やトラックを借りることです。「傭車」とは、「傭兵+車=傭車」から生まれた造語です。
ただし、車をそのまま借り入れるだけでは動かせる人手が足りない場合は、ドライバーも含めて丸ごと借りることになります。傭車として、最も多いのが、自社の仕事を、知り合いの個人事業主や下請け会社に、依頼をするというケースです。
傭車をするのはどんな時?
私は、南東北福山通運の某中核支店に、事務員として、約10年間勤めましたが、そこでは、自社から遠い地域を配達・集荷する通年の契約で動く個人事業主と、下請けの運送会社がありました。
また、急ぎの荷物など、その荷物だけを早く運ばなければならない時、いわゆる「赤帽」という軽トラックの荷台に覆いがかぶさっている業者に「チャーター便」として、依頼したりしていました。
もちろん、荷物が大きく、また大量だったりすると、大型車やユニック車を所有する、少し大きめの輸送業者に依頼したりしていました。
繁盛期
上記の他には、傭車への依頼は、繁忙期に車両の台数が足りなくなった時だけ、という事が一般的です。
運送会社が、忙しすぎて車が足りなくなってしまったときに、他の運送業者などから車やトラックを借りて、自社のドライバーに運転させることや、ドライバーごと借りて、自社の仕事を依頼することでもあります。
事故や災害などの緊急時
長距離トラックが、通る道で、事故が起こると、荷物が、指定日までに届かない、といったこともあり得ます。その際、傭車を手配して、別便として、目的地に荷物を持っていく、といった方法がとられます。
また、長距離でも、配達でも、自社のドライバーが、事故を起こすと、荷物の動きが、ストップしてしまいます。そんな時、傭車を手配して、その事故現場から、荷物を運ぶことができます。
加えて、災害が起こると、荷物の動きが、あわただしくなり、人手が足りなくなってきます。そういった場合に、傭車を手配して、人手不足を補います。
傭車のメリットとは
緊急時の対応がスムーズになる
上記で、述べたように、事故や災害などの緊急時には、傭車を手配すれば、対応がスムーズに済みます。それは、傭車を依頼した運送会社にとって、荷主であるお客様の信用を得ることにもつながります。
自社で対応できない受注が可能になる
各運送会社は、得意としている業務があります。傭車を依頼する側の運送会社が、苦手としている業務を、傭車となる運送会社が、得意としている場合などは、荷主であるお客様から、その業務を受注できるようになるということを、表しています。
傭車会社との繋がりができ、受注に繋がる可能性がある
傭車を依頼することにより、その傭車である運送会社とのつながりが、強化され、上記で述べたように、自社だけでは、対応できない仕事を受注することができるようになります。
また、逆に、傭車会社から新たな仕事が来るケースも存在しています。それは、傭車会社が、苦手としている業務を、傭車依頼会社が、得意としている場合があるからです。
傭車のデメリットとは
自社の社員以外とのコミュニケーションが大変
傭車会社とは、会社丸ごとと付き合うわけですから、ドライバーだけでなく、社長、役員、事務員、などとのつながりもあります。企業は、その会社によって、風土が異なります。
そういった会社同士で、また、個人もそれぞれ個性がある中で、自社以外の社員とコミュニケーションをとらなくてはならない、といった大変さはあります。
依頼業者の対応次第で受注が減る可能性がある
傭車会社は、依頼を受けているけれど、対応するのが自社の教育を受けていない人になるため、想定外のトラブルにつながることがあるということ、そしてそれらのトラブルによって評価が落ちるのは自社ということでしょう。
その結果、荷主の信用が得られず、仕事の受注が減る、といった可能性もあります。
傭車における別途費用がかかる
傭車を依頼するということは、それ相応の対価がかかります。料金は、会社によって、また業務や期間によって、様々でしょう。
ここで、傭車費用を具体例で示すと、8万円の運賃の仕事を自社で行うことにより、結果的に5万円に諸経費を抑え、3万円の利益を上げることができるが、
傭車を利用する事によって6万5千円の傭車費用が掛かり、自社の利益が1万5千円にまで利益が落ちる、といったことが考えられます。