運行管理における休憩時間と連続運転時間の関係とは?休憩時間について分かりやすく解説!
運行管理者の資格取得を目指す方にとって、休憩時間や連続運転時間など、時間に関する疑問は多いですよね。
ドライバーが働く時間は多くの要因が絡み合って決まってくるため、なかなかピンとこない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、運行管理者試験を受験しようと考えている方のために、頻出問題である休憩時間や連続運転時間について詳しく紹介していきたいと思います。
Contents
休憩時間と連続運転時間が定められている理由
人間が集中力を持続していられる時間は決して長くはありません。近年、テレビや新聞を見ていると、トラックや長距離バスのドライバーが事故を起こしたというニュースがたびたび報道されますよね。
あれは適切な休憩をとれず、眠らずに連続で運転することを強いられているために起こっている現象なのです。長時間の運転は集中力を低下させ、交通事故を引き起こす原因になるおそれがあります。
こうしたことから、労働基準法によって運転時間が厳しく制限されているとともに、必ず休憩時間を挟まねばならないと定められているわけですね。
連続運転時間と休憩時間に関する決まりごと
連続運転時間と休憩時間が定められている意義がわかったところで、具体的にどのような決まりになっているのかを見ていきましょう。
連続運転時間は最大4時間
連続運転時間は最大4時間と規定されています。厚生労働省が発表している資料や、全日本トラック協会のマニュアル、労働基準監督署の発行している冊子などには必ず記載されている内容です。
ドライバーの日々業務にも直接関わってくることですから、しっかりと覚えておくようにしてください。
休憩時間は4時間半に30分が原則
連続で4時間運転したら、必ず30分以上の休憩を挟まなければなりません。つまり、4時間半のうち30分を休憩等に充てる必要がある、ということですね。
ちなみに運転さえしていなければいいのかというと決してそうではなく、労働基準法関連法令第34条第1項には
「休憩時間とは単に作業に従事しない手持時間を含まず労働者び権利として労働から離れることを保障されて居る時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱う」
と明記されています。積み込みや積み下ろしといった業務上発生する作業は「休憩時間」とは見なされず、連続運転時間に含まれる、という意味です。
10分以上の休憩で分割も可能
もっとも、この「30分以上の休憩」という規定、まったく融通が利かないわけでもありません。というのも、1回10分以上という条件つきではありますが、複数回に分割することが可能なのです。
つまり、1時間走って10分休憩、2時間走って10分休憩、1時間走って10分休憩……といった休憩の取り方はできる、ということです。
運転や業務から解放されていても10分未満では休憩と見なされないので、その点にだけは注意してください。
休憩時間に関する疑問を解いてみよう!
休憩時間に関する問題は運行管理者試験において頻出であり、毎年必ず出題されていると言っても過言ではありません。練習の意味も込めて、実際に問題を解いてみましょう。
問題1
4時間10分連続して運転し、その後40分休憩した状況を考えてみてください。これは適法でしょうか?それとも法令違反になるでしょうか?
答えは、違反です。
先述のとおり、連続運転時間は4時間までと定められているからです。いくら30分以上の休憩を取っているとはいっても、連続運転時間が法の制限を超過してしまっているので、このような運行のしかたは認められません。
また、多く休憩したからといって4時間を超えて運転してもよいということにはならないので、その点も含めて覚えておく必要があるでしょう。
問題2
1時間25分運転して、5分休憩。また1時間25分運転して、5分休憩。そのあと1時間10分運転して、20分の休憩を入れたとしましょう。この運行が適正か法令違反か、皆さんは即座に分かりますか?
答えは、法令違反。
たしかに4時間30分のうち30分を休憩時間に充てているように見えますが、問題は休憩時間の分割のしかたです。休憩時間を複数回に分割する場合、必ず1回につき10分以上は確保しなければならないという話でしたよね。
この例では5分、5分、20分となっているので、最後の20分のぶんしか休憩時間としては認められず、適切な運行とは見なされないのです。
問題3
2時間運転して15分休憩。また2時間運転して15分休憩。そのあとさらに3時間運転したとしましょう。この場合は適法でしょうか、それともルール違反でしょうか?
2時間運転⇒15分休憩⇒3時間運転と続いている以上、運転時間5時間に対して15分しか休憩が取れていません。となると、違反であるように思われますが……。
実はこのケース、答えは適法。問題なく運行できるのです。というのも、休憩時間を30分以上取ってしまえば、その段階で連続運転時間のカウントはリセットされるからです。
つまり、最初の2時間運転⇒15分休憩⇒2時間運転⇒15分休憩の時点で連続運転時間のカウントがゼロに戻ったので、そこからさらに運転したところで問題とはならないわけです。これは引っ掛け問題としてよく出題されますので、覚えておくと有利になるでしょう。
運行管理における拘束時間も合わせて覚えておこう!
運行管理においては連続運転時間とは別に、「拘束時間」という概念もあります。拘束時間というのが何を意味するのかというと、始業から終業までの使用者の監督下にある時間を指してこのように呼びます。
この場合の使用者とは会社のことだと考えていただいたよいでしょう。つまり平たく言えば、実働時間と休憩時間を合わせたのが拘束時間ということです。
物流会社などの自動車運送事業者には、ドライバーの過労運転を防止するため、拘束時間について一定の制約が課されています。
そのうちトラックドライバーについては、
- 1ヶ月の拘束時間が293時間以内(年間3,516時間を超えない範囲で1ヶ月320時間まで延長可)
- 1日の拘束時間が13時間以内(16時間まで延長可、ただし15時間超えは1週間に2度まで)
と定められています。この拘束時間に関しての知識も運行管理者試験では頻出問題ですから、しっかりと頭に入れておくようにしましょう。
休息時間との関係も忘れずに!
休憩時間と近い用語で「休息時間」というものもあります。語感こそ似ていますが、意味はまったく異なるので、混同しないように覚えなければなりません。
休息時間とは、拘束時間から次の拘束時間までの間にある自由時間です。わかりやすく言えば、退勤した時刻から翌日出勤する時刻までの間の時間ということですね。
ここでは上記した項目について400文字程度で、休息時間とは何なのかについて紹介し、休息時間と休憩時間の違いについても覚えておくことが重要であることを説明してください。
ドライバーに対しては継続8時間以上の休息時間を与えなければならないと法律で定められています。
なぜ8時間以上なのかといえば、拘束時間の1日の最大が16時間だからですね。合計してちょうど24時間になるため、計算が合うというわけです。毎日8時間の休息を与えればよいというものではないので注意しましょう。
もっともこの規定には例外もあり、業務上やむを得ない場合に限って、1回4時間以上という条件で休息時間を分割することができます。ただし分割した場合は計8時間では不足と見なされ、少なくとも10時間の休息が必要であるとされています。
まとめ
- 休憩時間と連続運転時間の関係
- 拘束時間
- 休息時間
については、運行管理者試験ではまず間違いなく問われます。毎年出題されるということは、ドライバーの労務管理をするうえでそれだけ重要な内容であるということ。
必ず頭に叩き込んで試験に臨み、合格した後も日々の業務の中で忘れないようにしましょう。