トラックドライバーの教育はどうすればいい?ドライバーの意識を変える安全教育!
自動車運送事業者は自社トラックを運転するドライバーに、指導し監督をしなければなりません。その中でも安全教育は、トラックドライバーの安全に対する意識を高めるものとなっており、多くの運送会社で行われています。
そこで今回は、ドライバーに対する安全教育について、ご紹介していきたいと思います。
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貨物自動車事故の推移
貨物自動車事故は年々減少傾向にあります。10年前と比べてみても少しずつではありますが減少しています。特に平成18年から平成21年の間の減少は、稼働している貨物自動車数の変化はあまりないのに半減する勢いでした。
それ以前は車両同士の事故や人対車の事故が多く、深刻な社会問題として取り上げられるようになり、貨物自動車の交通事故を少しでも減少させるために、トラック業界では安全教育を行う事で事故の件数を減らしていこうと考えたわけです。
実際に安全教育や適性についてを徹底した結果、年々貨物自動車の事故数は減少していき、平成18年の頃と比べると発生件数も半分近く減っていったのです。つまり安全教育が功を奏したと言っても過言ではないのです。
いかに安全教育が重要であるかという事がわかりますね。
ドライバーの安全教育が事故率を下げる
トラックは運転台が高い場所にあります。そのため見晴らしが良いと考えられていますが、実際には運転台が高くなった事によって死角も乗用車と比べると増えていくのです。
それに以前はついつい安全確認を怠り事故につながったり、荷物を早く運んでしまおうという焦りからついスピードを出してしまい、その結果重大な事故を起こしたりしてしまう事も起こっていたのは事実です。
ところが安全教育を受ける事によって、貨物自動車は凶器になるという点や安全確認の徹底をしっかりと学び、ドライバー自身の安全意識を高めて事故防止ができるようになったのです。
特にトラックドライバーにありがちなヒヤリハット教育や、貨物自動車の事故の悲惨さの紹介は安全意識を高めているのです。
ドライバーの安全教育の内容について
ではドライバーの安全教育の内容についてをわかりやすくお話していきましょう。
危険運転の防止
危険運転とは
- 前を走る車に対しての「あおり運転」
- 法定速度を超えて走る「スピード超過」
- 「わき見運転」
を行う事です。これらの危険行為を行う事によって、重大な事故を引き起こす可能性があるのです。
安全教育ではこれらの危険運転を防止するための教育を行っています。特にトラックは荷物を積んで走っているので、突然の危険回避を行う事で車の制御ができなくなり、事故につながる事にもなりかねません。
危険運転を防止するためには必要で重要な教育なのですね。
飲酒運転の撲滅
アルコールが体に入ると正常な判断ができなくなったり、反応が遅くなってしまったりします。実際にアルコールを飲んでいなければ起こるわけがないような事が原因で事故を起こしてしまった例はいくらでもあります。
安全教育では飲酒運転の危険性を教え、アルコールの怖さやアルコールを飲んでから正常な判断ができるようになるまで、どのくらいの時間がかかるのかなどのアルコールについての教育を行い、飲酒運転の撲滅を目指します。
正しい積載方法の教育
過積載を行う事で荷崩れや荷物の落下による事故を防ぐための教育を行います。正しい積載重量と積荷のバランスを整える方法などについてを徹底的に教育します。
もしも積載量をオーバーして荷物を積んでいて、バランスを崩して横転事故を起こしてしまったらどうなってしまうのかについても詳しく教育を受ける事が可能となり、過積載の怖さを知る事ができます。
この教育によって過積載を撲滅して事故防止を促す事ができるのです。
自己管理の徹底
貨物自動車の事故の中には体調不良が原因で起こるものも多発しています。そのため安全教育では自身の
- 体調管理の重要性
- 体調の自己管理の方法
などを学ぶ事ができます。
普段からバランスの取れた食生活を送る事も重要ですが、何よりも毎日の作業による疲労の蓄積による体調不良を起こさないための教育についても行い、できる限り体調不良による事故を防止するよう促し、貨物自動車の事故を防ぎます。
ドライバー本人だけの問題ではなく会社全体の問題でもありますが、まずはドライバーへの教育を徹底して行い、重大事故の撲滅を目指します。
事故・トラブル時の安全確保の徹底
万が一事故を起こしてしまったり、車のトラブルによって走行が難しくなってしまった場合、
- どのようにして交通の妨げにならないようにすべきなのか
- 待機している時の過ごし方
などについての教育を受ける事ができます。
特に高速道路を走行中に事故やトラブルが起こってしまった場合の対処の仕方よりも、まずは自身の安全の確保と交通の妨げをいかにして防止するのかについての教育を受ける事によって、重大な事故を防止する事ができるのです。
会社側の取り組みも必要!
先ほど少し触れましたが、ドライバー一人ひとりの教育も必要ですが、それだけではなく会社側の取り組みも必要になります。そのための安全教育を受ける事も可能です。
長時間労働による過労の防止
疲労が蓄積すると
- 正しい判断ができなくなってしまったり
- 何かトラブルが起こった場合に身体がすぐに反応できない
などもあるでしょう。
これは例え本人が気を付けていてもどうする事もできない問題でもあります。疲労や過労による事故を防止するためには、長時間労働をいかに少なくするのかが重要なカギを握ります。
して長時間労働を改善するのはドライバーではなく会社側の問題です。これについても安全教育を企業側に行う事で少しずつ改善していくのです。
そのため安全教育はドライバーだけではなく企業も受ける必要があるでしょう。
過密な運行指示の防止
ドライバーの事故によるケガや死亡を改善するためには、過密な運行指示を防止する必要があります。そのためには過密な運行指示を行う事によって、ドライバーの疲労が蓄積するのを避ける事ができます。
ですが企業側としては人が足らないなどの理由から、どうしても過密スケジュールになる事もあるでしょう。その場合はできれば人を新たに雇ってスケジュールにゆとりを持つ事も重要なポイントになるかもしれません。
適性診断の受診も教育の一つ
過労や疲労も事故防止にはとても重要ですし、万が一の事故やアクシデントに落ち着いて対処する事も重要ですが、一度講習を受けただけではすぐに忘れてしまう事だってあるでしょう。
そのためにドライバーは定期的な適性診断を受ける必要があるのです。
適性診断とは
- 運転の基本
- 身体機能(視覚や聴覚)
- 運転している時の判断
- 動作のタイミングや正確性
- 注意の配分
などを診断します。
運送業界で働く人に義務付けられている検査の一つですね。人の判断力や反射といったものは年齢によって変わるものですし、慣れてしまうと感覚が鈍くなってしまったりもします。
定期的に受ける事によって新たな気持ちで仕事に取り組めるので、安全教育の一つであると考えられます。
プロドライバーとしての意識を持たせることが重要!
運送業界でドライバーとして仕事をしているからには、自分がプロドライバーなんだという意識をもってお仕事に携わる必要があります。
そのためには車の運転だけではなく安全意識についてもプロとしての責任を持つ必要があるのです。そのためにも定期的な安全教育を受ける事は非常に意味のある事なのです。
もちろん安全教育を受ける事も重要ですが、普段からプロドライバーなのだという意識をもってお仕事に取り組めるよう心がける必要があるのです。
また、ドライバーのみの問題ではなく会社全体の問題でもあります。ドライバー同様に会社も安全教育を受ける事によって、貨物自動車による事故の撲滅を目指す必要があるのですね。
まとめ
今回は貨物自動車による事故件数の減少の推移について、
- 事故が減少した背景に安全教育の徹底があるという点
- 安全意識を高める事の意義
などについてをご紹介いたしました。ドライバーだけじゃなく会社も一緒に安全について考えながら業務を行うと良いですね。