2tトラックで雪道を運転する注意点と対処法は?排気ブレーキ/チェーン/スタッドレスタイヤの使い方
2019/02/13
トラックドライバーの仕事をするにあたって、気になるのは雪の日の配送ですよね。近年は首都圏も大雪に見舞われることが増えています。
そこで今回は、2tトラックで雪道を運転する際の対処についてお話ししたいと思います。
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雪の日の2tトラック
2tトラックは、必然的に住宅地などの交通量が少ない道を走行することも多々あります。住宅地は交通量が少ないので雪が溶けるのにも時間がかかりますし、住民が雪かきした雪山があちこちにあります。
さらに2tワイドなら車幅が広く、住宅地にできる乗用車の轍から外れてしまいます。
また、住宅地は日陰になる場所も多いので、凍結の危険も幹線道路に比べて高くなります。2tトラックでの雪道走行には、多くの危険が潜んでいるのです。
雪道を2tトラックで走る場合のタイヤは?
それでは、タイヤごとに雪道の運転について説明していきます。
ノーマルタイヤ
雪や凍結用の加工がされていない、いわば普段使いのタイヤです。滑る路面でのグリップ力が低いので、雪道や凍結した道路を走行する際にはタイヤチェーンの装着が必須です。
スタッドレスタイヤ
積雪路や凍結路を走行するために開発されたタイヤです。とはいえ極端な積雪では滑ることもあるので、スタッドレスを過信せずに念のためチェーンも携帯しておきましょう。
ミックスタイヤ
縦・横・斜めの溝がミックスされた、浅雪でも走行できるタイヤです。ちょっとした雪ならば対応できますが、深い雪や凍結路では走れなくなりますので、チェーンの携帯が必須です。
2tトラックのチェーン装着
トラックは後輪駆動なので、チェーンは後輪に装着します。2tトラックはダブルタイヤですが、一般的にはシングルのチェーンを外側に装着することになります。
路面に広げたチェーンの上に移動して装着する方法や、下駄と呼ばれる角材に内側のタイヤで乗り上げて装着する方法があります。
冬になったら雪が降る前に、チェーンの点検も兼ねて装着してみることをおすすめします。方法がわからなければ会社の車両管理者や先輩に教えてもらいましょう。
雪道の運転で気をつけること
雪道ではスリップの危険もあるため、運転は細心の注意が必要です。具体的に気をつける点を見ていきましょう。
「急」の付く操作
急ハンドル、急ブレーキはもちろん、急発進も危険です。慎重すぎるぐらい慎重でちょうどいいのが雪道の走行です。
急ハンドルを切れば車体が横滑りしてしまいますし、急ブレーキを踏めばそのまま滑って止まれません。急発進をすると、タイヤが雪で空転してスタックしてしまうおそれがありますので、半クラッチでゆっくり発進しましょう。
車間距離
雪道では自分のトラックの制動距離が延びてしまうだけでなく、周囲の車両が事故を起こす危険性が非常に高くなります。対向車線を飛び出してくる車がいることすらありますので、普段よりもずっと大きく車間距離を取ることが大切です。
また、交差する道路から出てきた車が止まれないこともありますので、常に危険予測をしましょう。
ブレーキ操作
雪道や凍結路のブレーキ操作は、緩やかにすることが大切です。そのためスピードも出さないようにする必要があります。スピードが上がってしまう前に、エンジンブレーキでこまめに速度を抑えることも大切です。
ただし排気ブレーキは急な抵抗が駆動輪のみにかかってしまうため、使用は控えましょう。急ブレーキは絶対に踏んではいけません。
坂道発進
積雪時の坂道では、なるべく止まらないことが基本です。停止線が先のほうにあったとしても、坂道手前で徐行以下の速度に落としながら、完全に停止しないように少しずつ動きます。
どうしても坂道途中で止まってしまったら、1速または2速に入れて半クラッチで発進する方法もありますが、滑ると思っていたほうがいいでしょう。
スタックした時にやってはいけないこと
雪道でアクセルを踏み込むと、タイヤが空転して雪を固めてしまい、余計に身動きが取れなくなります。積雪時にはアクセルを踏み込まないことが基本です。
スタックしてしまったら、まずアクセルペダルから足を離しましょう。
スタックしたときの対処法
それでは、スタックした場合の対処法を見ていきましょう。
車体を前後に揺さぶる
MT車なら車体を前後に揺さぶることで雪から脱出できます。ギアを入れて半クラッチにして、少しだけアクセルを踏みながら車体が前へ出ようとしたところでクラッチを切ると、反動で車体が下がります。
これを繰り返すことで車体が前後に揺さぶられ、脱出できるのです。AT車ではDとNの切り替えとなるので難しい方法になります。
周囲の雪をかく
駆動輪の前にある雪をかくことで、発進できるようになります。可能ならほんの少し下がれば、タイヤで踏み固められた雪をどかすことができます。また、駆動輪の前に砂を撒いたり毛布などを敷いたりする方法もあります。
最悪の場合はフロアマットを使用するといった方法もありますが、小さいスコップでも常備しておきたいですね。
周囲に助けを求める
上記の方法でも脱出できなければ、周囲に助けを求めて力を借りるしかありません。トラックを押してもらったり、けん引してもらったりなどの方法になります。
ただし雪が深いと、ロードサービスの車両すらもスタックしてしまうことがあるほどですから、早めにタイヤチェーンを装着して、スタックしないように心がけましょう。
プロドライバーとしての意識
普段から時間に追われているのがトラックドライバーですが、何よりも優先しなければならないのは安全です。
悪天候時は、納品時間に延着するのは当然のことです。早く到着するよりも、安全に確実に辿り着くことが何よりも大切です。スリップして事故を起こしてしまったら、延着どころの騒ぎではないのです。
普段から悪天候への備えを万端にして、プロドライバーとしての意識を高く持ち、周囲の模範となるような運転を心がけましょう。