ダブル連結トラックが各社本格導入開始!ダブル連結トラックでドライバー不足の解消はできる?

   

最近の運送業界でよく耳にするのが、ダブル連結トラックについての話題ですよね。国土交通省や大手運送会社各社が走行実験を行い、実際に道路を走行して実証実験を行っています。

そこで今回は、これから先、需要が高まるであろうダブル連結トラックについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

ダブル連結トラックとは?

ダブル連結トラックは1台で大型トラックの2台分の荷物の輸送を可能とする輸送用トラックの事で、およそ12メートルの大型トラックを倍にした21メートル~25メートルほどの長さのある輸送用トラックです。

形状としては大型トラックの後ろ部分にキャビン部分のない荷台を連結させたトラックで、連結しているところからダブル連結トラックという言い方をします。

走行するためには特車許可基準を緩和する必要があるため、未来に向けて環境を整え始めているところです。

業界のドライバー不足は深刻

なぜダブル連結トラックがこれほどまでに重要だと考えられるようになったのかというと、その大きな原因が深刻なドライバー不足なのです。現在トラックドライバーの数が減少してドライバーの高齢化が進んでいます。

50代以上のドライバーはトラックドライバー全体のおよそ4割、40代以上になるとおよそ7割を占める事となり、このままの状態で行くと10年後には若いドライバーが不足してしまい、輸送の環境が崩れてしまう事にもつながっていくと予想されるのです。

そのため一度に大量の荷物を輸送するダブル連結トラックが注目を集めているというわけなのです。

走行実験を重ねてきたダブル連結トラック

とはいってもそれだけ大きなトラックを運転するのは簡単な事ではありません。そのため現在までに繰り返し走行実験を行ってきました。ダブル連結トラックの走行実験は平成28年11月22日から開始され、2019年の1月29日に終了しています。

実験は全長21メートルの車両で検証され、

  • 少人化
  • 環境負荷
  • 走行安全
  • 交通への影響
  • 道路構造への影響

それぞれに良い結果をもたらしています。全長12メートルの大型トラックと比べても少人化は約5割を達成するなど、各項目で高い評価を得る事となったのです。

これを受けて規制緩和が進みインフラ面での整備も行われ始めています。

現在のダブル連結トラックの条件

現在のダブル連結トラックの条件についてご紹介いたしましょう。

車両の条件

ダブル連結トラックの車両条件に絞って説明をいたします。但し車両はフルトレーラー連結車のバン型であるとします。

全長はトラクタとトレーラーがバンタイプのフルトレーラー連結車の全長が25メートルまで規制緩和されているので、ご紹介する範囲内なら問題はありません。

まずフルトレーラー連結車がバンタイプで全長が25メートル以内である事です。バンタイプ以外の車両構造の車両についてはこの条件に入らず、現行のままとなっているのでダブル連結トラックには活用できません。

通行経路の条件

ダブル連結トラックの通行条件は、通行経路のうち、新東名区間の蛯名JCT~豊田東JCTまでの区間がおおむね50%以上になるよう設定する必要があります。

さらに高規格幹線道路(自動車専用道路の事)の自動車専用道路以外を通行する区間が、必要最小限の区間になるよう設定する必要があります。

さらに新東名区間だけではなく、新東名区間内で事故などによって通行禁止となった場合には、代替え可能な透明区間を通行経路となるように設定する必要があります。

車両装置の条件

車両装置の条件は全部で16項目に及びます。条件については以下を参照ください。

  • アンチ六ブレーキシステム
  • 追突被害軽減ブレーキもしくは自動車間距離制御装置
  • 車両安定制御システム
  • 車両逸脱警報装置
  • 後部視界を確保するための被けん引車後端のカメラシステム及びモニター
  • デジタルタコグラフ
  • ディスクブレーキもしくはドラムブレーキ
  • リターダ(補助ブレーキの事です)
  • デフロックもしくはトラクションコントロールシステム(空転防止のための装置)
  • 間接視界を確保するための装置(バックミラーやサイドミラーの事)
  • 被けん引車にバックライトをつける事
  • 車体輪郭に反射素材を用いてマーキングする事
  • 車両の長さや追突注意などをプレートで表示する事
  • 業務支援用ETC2.0車載器である事

ダブル連結トラック運転者への条件

ダブル連結トラックはただ大型の免許を持っていれば運転できるわけではありません。ここではダブル連結トラックの運転手になるための条件をご紹介いたします。

条件1

業務経験については

  • 大型自動車運転業務を直近で5年以上行っている事
  • 大型免許のほかにけん引免許を5年以上保有している事
  • 安全教育を最低2時間訓練を受けている事

が条件となっています。

安全教育訓練2時間の内容については

  • 「車両特性・車両感覚の習得」
  • 「右左折時の車両挙動・軌跡等の把握」
  • 「後退時の動き・軌跡・フロントオーバーハングの把握」
  • 「被けん引車の荷重変動・ブレーキ体験」
  • 「研修効果の確認」

となっています。

条件2

条件2は

  • 大型自動車運転業務に直近3年以上従事している事
  • けん引免許1年以上を保有している事
  • 最低12時間の訓練が必要である事
  • 直近3年間は無事故無違反である事

となっています。

最低12時間の訓練内容としては

  • 「構造・メカニズムの取得」
  • 「安全な連結方法」
  • 「車両特性・車両感覚の習得」
  • 「右左折時の車両挙動・軌跡等の把握」
  • 「後退時の動き・軌跡・フロントオーバーハングの把握」
  • 「被けん引車の荷重変動・ブレーキ体験」
  • 「研修効果の確認」

となっています。

後続無人隊列走行の実証実験の予定も

ダブル連結トラックでの輸送システムを構築するのは、何も不足する運転手を補うためだけのものではありません。

例えば途中まで連結で輸送を行い中継点でそれぞれのトラックに分かれて輸送を可能にする事も重要な課題です。そのためダブル連結トラックでの後続友人隊列走行や後続無人隊列走行の実証実験がいよいよ行われます。

この実験は2020年に開始され、

  • トラック隊列が周辺を走行している車両からどのように見えるか
  • 追い越しをした場合の挙動による影響

などを調べます。まずは北関東自動車道で技術実証を実施されます。

まとめ

今回はダブル連結トラックが注目されている理由、トラックドライバーの深刻な人員不足、そして今後のための実証実験などについてご紹介いたしました。

トラック輸送は私たちのライフラインの充実には欠かせない輸送手段なので、少しずつ様々な問題が解決されていく事でしょう。

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