ダンプの過積載の目安は?取締りの基準や罰則を理解しましょう!
トラックには最大積載量という概念があり、ダンプカーも例外ではありません。最大積載量を上回るほど大量の荷物を積むことは危険であるため、法律によって禁止されています。
実際のところ、過積載による事故やトラブルはどれくらい起きているのでしょうか。
この記事ではダンプカーを取り扱っている方のために、過積載の取り締まりの基準や、違反するとどのような罰則があるのかについて解説致します。
Contents
「過積載」とは?
まずは「過積載」の定義について確認しましょう。過積載とは、貨物自動車などに規定の積載重量を超えて貨物を積んで走る行為であり、道路交通法違反です。
ちなみに「規定の積載重量」は道路運送車両法で定められていますので、そちらも併せて覚えておくとよいでしょう。
過積載はトラックの車体にとって危険であるだけでなく、路面や道路構造にも損傷を与える場合があります。また、周囲に振動や騒音といった公害を及ぼします。
トラックの性能を超えて荷物を積んでいる状態であるため、荷が不安定になりやすく、走行中に荷台から物が落ちるなどして事故を引き起こすおそれがあります。
ひとたび事故が発生したとき重大事故となる懸念が大きいことも問題視されており、平成5年、シートベルト非着用や違法駐車と並んで「新交通三悪」に指定されています。
過積載による事故が多発している
近年、過積載による事故が多発して大きな問題となっています。過積載が増加した背景には、構造改革と規制緩和によって運輸業界への新規参入がしやすくなったことがあると言われています。
過当競争の状態になっているため運賃に対して値引き圧力が加わるため、できるだけ少ない台数で多くの運賃を受け取ろうと、ドライバーを過積載で走らせる運送会社が出てきているのです。
また、荷主の側がトラックを追加手配するのを嫌って1台のトラックに無理矢理積ませた結果、過積載が発生するというパターンもあるようです。
罰則が厳しくなっている
事故が増えてきているので、取り締まりも厳しくなる傾向にあります。高速道路の入口では自動で軸重を測定している場合がありますし、検問も行われています。
そこで引っかかってしまうと罰則を受けることになるわけですが、この罰則も近年厳しくなってきています。国土交通省は現在、悪質違反者に対しては即時告発を辞さない方針を打ち出しています。
そのため、道路交通機構などは、過積載のトラックやトレーラーを運行させていた会社を即時告発する手続きを取るようになっています。
違反したときの責任は誰にある?
悪質な過積載で捕まったときの責任の所在はどこなのでしょうか。誰がどのような罰則を受けるのか整理してみましたので、順番にチェックしていきましょう。
運転手への罰則
まずはドライバー本人に対する罰則です。検挙されるということはダンプカーを直接運転しているドライバーは当然その場に居合わせているわけですし、
重量オーバーであることを知りながら走行していたわけですから(知らなかったらそれはそれで問題です)、最初に責任を追及されるのはやはりドライバー本人ということになります。
ドライバーへの罰則は、主に違反点数と罰則金という形で科せられます。
運送会社への罰則
運送会社が従業員であるドライバーに対して過積載を指示していた場合は、もちろんその指示に対する責任を負わなくてはいけません。したがって、運送会社も処分の対象となります。
運送会社の営業所には運行管理者が必ず配属されているはずです。運行管理者の業務が法令で定められているため、その法令に違反したということで罰せられる形です。
運行会社の法令違反は「多数の死傷者を出した事故」「過労運転が日常的に繰り返し行われている」などといったことが挙げられ、その定めの中に「過積載」も含まれているわけですね。
運送会社がドライバーに対して過積載を指示した場合、運行管理者資格者証の返納命令が下され、資格取消となります。
荷主への罰則
近年ではドライバーや運送会社だけでなく、荷主の責任も追及されるように風向きが変わってきています。
というのも、道路交通法の定めでは、荷主側が過積載になると知りながら荷物を引き渡すことも禁じられているからです。
これに違反した荷主が再度過積載を要求するおそれがあると判断された場合、管轄地域の警察署長から再発防止命令が下されます。また、懲役や罰金を科せられることもあります。
なぜ過積載を行うのか?
違法であり検挙されれば厳しい罰則が待っているとわかっていながら、なぜ運送会社は過積載を行ってしまうのでしょうか。
原因としては先述したとおり、運送業界そのものが過当競争になっているということが挙げられます。
運賃に値下げ圧力がかかるのに加えて、昨今ドライバーの人手不足が進んでいることもあり、一件の仕事に対して複数台のダンプカーを使うだけのリソースが各社になくなっているのです。
また、サービスを提供する側である運送会社は、顧客である荷主に対してどうしても立場が弱くなりがちです。荷主に無理を言われても聞かざるを得ない、という状況も過積載の起こる要因の一つであると考えられます。
過積載の目安は?
過積載を行ってしまった場合の罰則の重さは、最大積載量をどれほどオーバーしていたかで変わってきます。それぞれ目安を確認していきましょう。
5割未満の場合
まずは過積載が5割未満の場合について。中型トラックや大型トラックで過積載をすると、たとえ5割未満でも普通自動車より厳しい罰則が科せられます。
ダンプカーもトラックの一種ですから、当然罰則の対象です。5割未満の場合であれば、普通自動車だと違反点数1点、反則金2万5千円というのが目安です。
これに対して中型トラックや大型トラックでは、違反点数1点、反則金3万円となります。
5割以上10割未満の場合
次に、過積載が5割以上10割未満で検挙されたケース。これも5割未満のときと同様、中型トラックや大型トラックで違反をすると、普通自動車よりも厳しい罰則が科せられることになります。
5割以上10割未満の過積載に対する罰則は、普通自動車の場合で違反点数2点と反則金3万円と定められています。
一方、中型トラックや大型トラックの場合、違反点数3点と反則金4万円となっています。より事故の影響が重大になりやすいぶん、法令違反をした際の責任も重くなるということでしょう。
10割以上の場合
最後に、過積載の割合が10割以上に達しているケースについて。
これまで見てきた情報からお察しの方も多いでしょうが、やはりこの場合でも、普通自動車よりも中型トラック・大型トラックのほうが重い罰則を科せられることになっています。
普通自動車であれば違反点数3点と反則金3万5千円。一方で、中型トラックや大型トラックで10割以上の過積載をすると、違反点数は6点にもなります。
さらに、反則金が徴収されない代わりに、10万円以下の罰金を支払わなければならなくなります。
ちなみに、罰金は反則金とは別の概念です。交通違反をした人には行政責任、刑事責任、民事責任という3つの責任が伴うわけですが、
違反金が行政責任を追及されての処罰であるのに対して、罰金を科せられるのは刑事責任を問われた結果なのです。法的に全く異なる概念ですので注意してください。
10割以上かつ大型自動車の場合は懲役刑になることも
ちなみに、大型自動車で過積載10割を超えてしまうと、罰金では済まず6ヶ月以下の懲役を言い渡される場合もあります。
つまり、大型車の10割以上の違反に対する罰則を正確に表現すると、「違反点数6点と、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金」ということになります。
さらにつけ加えるならば、先に述べたように、国土交通省は悪質な過積載に対して即時告発を行う方針を明らかにしています。
この即時告発の対象になってしまうと、罰金の額は「100万円以下」まで跳ね上がるのです。
最大積載量を少しでも上回ってもダメ
ここまでチェックしてきたことから分かるように、最大積載量を少しでも超えて荷物を積んでしまうと、過積載として罰則を受けるおそれがあります。
許容範囲という概念はなく、あくまでも最大積載量以内に収まっているかいないかが基準となります。
もっとも、少しの過積載でアウトになるとは言っても、やはり最大積載量をオーバーすればするほど罰則が重くなっていくことも事実には違いありません。
また、処罰されるされないの問題ではなく、そもそも過積載は事故の原因となる危険行為でもあります。
どうせ違反になるのならできるだけ積んでしまおう、という考え方は絶対にやめましょう。過積載は「しない」のが唯一の回答なのです。
警察はどのように見分けているの?
ところで、警察は過積載しているダンプカーをどのように発見しているのでしょうか。実は、過積載しているかそうでないかに関しては、いくつか判定できるポイントがあるのです。
基本的には目視で判断
過積載の取り締まりは、基本的には警察官が目視で確認しています。リアサスペンションが下がっているかどうかで判断するのです。
怪しい車両を見つけたら、台貫所に連れて行くか、広い駐車場などに誘導して移動式スケールを使って重量を量ります。どちらかと言えば現在では移動式スケールのほうが主流になりつつあるようです。
路面ショックの車両への伝わり方
路面ショックがどのように車両に伝わっているかも判断基準の一つです。路面の凹凸を受けて車体がどのような動きをしたかを見るわけです。
減速具合やブレーキの作動音
過積載をしている車両は制動距離が長くなります。ブレーキが利き始めてから車が停止するまでに必要な距離と、止まるまでの所要時間が長くなるということですね。
これはブレーキに過度な負担がかかることを意味します。したがって、原則具合やブレーキ音が判断材料となります。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?過積載の基準や違反したときに課せられる罰則、警察による過積載の取り締まり方法について、ひととおりご理解いただけたのではないでしょうか。
過積載の防止を徹底し、事故を起こさないように業務を行っていくためにも、この記事の内容をしっかりと頭に入れておくことをオススメします。