特別償却が適用されるトラックとは?対象となる会社の条件は?

   

トラックを購入すると節税になる、という話はよく聞きますよね。これは特別償却という制度があるためですが、逆に言えば、制度が適用されるトラックでなければ意味がないということでもあります。

特別償却が適用されるトラックとそうでないトラックの違いは何なのでしょうか? この記事では特別償却とはどういった制度なのかという基本的な点から、

特別償却できるトラックの見分け方、償却の計算方法までをわかりやすく解説します。

そもそも「特別償却」とは?

まずは特別償却という制度そのものについて説明します。特別償却とは、法人税特別措置法などに基づいて定められた税制の一種です。

特定の設備を購入して使用したときに、一定の期間に限って、減価償却費を通常より多く計上できるのです。

減価償却費が多くなるということは、課税所得が減額されることを意味します。したがって税負担が軽くなるのです。

節税ができればキャッシュフローが改善されますから、浮いたぶんのお金を設備投資に回すことができますよね。産業基盤の強化を促進するために作られた制度であることが分かります。

対象になる会社とは?

もっとも、どんな会社でも特別償却が使えるわけではありません。中小企業等投資促進税制という制度によって特別償却が可能になるのですが、読んで字のごとく、この制度は中小企業が対象なのです。

つまり、資本金1億円以上であったり、大規模法人の子会社であったりする場合は、トラックを特別償却することができません。ちなみにこの制度では特別償却のほか、税額控除も選べます。

特別償却の条件は上記のとおりですが、税額控除はさらにもう一つ「資本金3千万円以下」という条件があることも覚えておくとよいでしょう。資本金3千万円を超えている会社は、特別償却のみ可能です。

うまく利用すれば節税になる!?

通常よりも多く減価償却費を計上するのが特別償却でした。

おそらくお察しの方もいらっしゃると思いますが、特別償却によって減価償却費を多く計上すると、そのぶん「まだ減価償却していない金額」が目減りしますよね。

ということは翌年以降の減価償却費は少なくなるわけですから、特別償却で1年節税したところで、結局トータルで払う税額は変わらないことになります。しかし、だからといってメリットがないわけではありません。

特別償却は資産を購入した初年度の節税効果が高いので、支出せずに済んだ現金を借入金の返済などに充てることはできます。また、利益が少ない年度でも特別償却はできるという点も見逃せません。

利益から特別償却費が控除しきれない場合でも、繰越欠損金として最大10年繰り越すことができ、翌年以降の利益から差し引けると定められているのです。

総合すると、資金繰りの苦しい中小企業にとっては多大なメリットがある制度だと言えます。

対象となる資産は?

特別償却の対象となる資産は大きく7つの項目に分かれています。

1つめは、1台の取得価額が160万円以上の機械または装置。

2つめは、電子計算機。ただしこれは一年度の合計で120万円以上取得した場合に限ります。

3つめは、測定工具、検査工具、試験または測定のための機器。ただし、1台の取得価額が30万円以上で、かつ一年度の合計で120万円以上取得した場合に限ります。

4つめは、1台の取得価額が120万円以上の、インターネットに接続されたデジタル複合機。

5つめは、研究開発用以外の一定のソフトウェア。1年度に70万円以上取得した場合、という条件がつきます。

6つめは、車両総重量3.5トン以上の貨物運送用の普通自動車。

7つめは、一定の船舶。

もちろんトラックは6つめに該当します。

車両運搬具とは?

中小企業等投資促進税制の規定において、先程挙げた7分類のうちの6つめは「車両及び運搬具のうち一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの」という文言で記載されています。

この「車両及び運搬具」に該当するための条件は2つ。まず、車検証の「最大積載量」欄に記載がなければいけません。

次に、その自動車で実際に貨物の運送が行われていなければいけません。これらの条件を満たしたトラックが特別償却の対象にできる「車両運搬具」ということになります。

特別償却が適用されるトラックの特徴

特別償却の適用条件を満たすトラックに関して、より詳しく見ていきましょう。

「最大積載量」が記載されているもの

道路運送車両法の規定において、自動車検査証の「最大積載量」の欄に記載があるということは、すなわち「貨物の運送の用に供されるもの」であることを意味します。

税法上もこの定めに準じます。

車両総重量が3.5トン以上のもの

これも自動車検査証に「車両総重量」という欄があるため、その記載で判定されます。

最大積載量ではなく車両総重量であるという点に注意してください。車両総重量が3.5トンあればいいので、その条件さえ満たしていれば2トン車であろうが3トン車であろうが問題ないということです。

ちなみに、車両総重量は定員(1名あたり55キログラムで計算します)と最大積載量を載せた状態での車両の重量の合計です。小型トラックであっても該当する車種はかなり多いと言えるでしょう。

実際に貨物の輸送に使用している

実際にそのトラックを使って業務を行っている必要があるということです。購入したまま放置しているトラックでは特別償却できませんから、念のため注意しておいてください。

もっとも、資金繰りが苦しいときにわざわざ使用しないトラックを購入するとは考えにくいので、あまり気にする必要はないかもしれませんが……。

普通自動車かどうか

これも自動車検査証を見ればわかります。自動車検査証には「自動車の種別」という欄があり、そこで「軽自動車」「小型」「普通」「大型特殊」の4つに分類されています。「普通」と記載されていれば特別償却が可能です。

新車かどうか

これはそもそもの話なのですが、中小企業投資促進税制の対象となる資産は「新品であること」が大前提となっています。

つまり、トラックの場合であれば、中古車は対象外であるため特別償却できないということになります。ご注意ください。

ここまでのまとめ

新品のトラックのうち、車検証に最大積載量の記載があり、かつ車両総重量が3.5トン以上の普通自動車が特別償却の対象である、とまとめることができます。

もちろん、そのトラックが実際に運送業務のために使われていることも要件となります。

償却の出し方は?

ここからは、具体的な減価償却費の算出方法を確認していきます。

例:1200万円のトラックを購入した場合

1,200万円のトラックを購入し、それが特別償却の対象にできるものだったとしましょう。この場合の償却費について計算してみます。

特別償却できるトラックは普通自動車。つまり大型トラックではありません。さらに、積載量2トン以下ということは考えにくいでしょう。

このようなトラックの法定耐用年数は4年と定められています。1,200÷4=300ですから、通常の減価償却費は300万円であるとわかりますね。この300万円に特別償却のぶんを加えていきます。

上乗せできる金額は取得金額の30%という決まりになっています。つまり、1,200×0.30=360で、360万円までは上乗せ可能となるわけですね。300+360=660。

1,200万円のトラックを購入して特別償却を行った場合、初年度の償却費は660万円であると計算できました。

例:1500万円のトラックを購入した場合

同じ要領でもう一つ、1,500万円のトラックを購入して特別償却を行った場合についても計算してみましょう。

先述のように、特別償却の対象となるトラックの法定耐用年数は4年であると考えられます。つまり1,500÷4=375なので、通常の減価償却費は375万円です。

さらに、特別償却で上乗せできるのは取得価格の30%ですから、計算式は1500×0.30=450となり、450万円まで上乗せできるとわかります。375+450=825。

1,500万円のトラックを購入して特別償却を行うと、初年度の償却費は825万円になります。

まとめ

皆さん、いかがでしたか?中小企業等投資促進税制というものがどういった制度なのかから、特別償却が適用できる資産、具体的な償却費の計算方法まで、ひとおおり理解していただけたのではないでしょうか。

特別償却を行うことにより、設備を購入した初年度の税負担が大きく減ります。

中小企業は資金繰りが苦しくなることも多いですから、お金が出ていくのを先延ばしにしたくなるタイミングは訪れやすいもの。そういったときのためにも覚えておくと有利な制度であると言えるでしょう。

中小規模の運送会社を経営している方、あるいはこれから運送会社を起業しようと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

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