一般貨物自動車運送事業の事業報告書とは?書き方と提出期限など注意すべきポイント
事業報告書の提出をしなければいけないのは分かっていても、ついつい面倒だと感じて放置してしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、放っておいても提出期限は迫ってきます。いずれは書かなければなりません。
今回は事業報告書の書き方が知りたいという方のために、事業報告書の内容や書き方について、注意すべきポイントを紹介していきます。難しく考えなくても大丈夫。早速見ていきましょう。
Contents
事業報告書の提出期限
事業報告書とは、年度ごとの事業概要や財務状況などについて取りまとめた文書のことです。
どんな事業を営むのであれ提出しなければならない書類ですが、一般貨物自動車運送事業の場合は、貨物自動車運送事業報告規則によって期限までに提出するよう規定されています。
事業報告書の提出期限は、事業年度が終わってから100日以内とされています。運送売上や経費について定期的にまとめておくと、期日が迫ってから焦らなくて済むでしょう。
事業報告書の提出先
事業報告書の提出先は、本社営業所を管轄している運輸支局の輸送担当の窓口です。これといって事前連絡などは必要なく、そのまま直接行っても問題なく受付してもらえます。
ただし、運輸支局それぞれによって営業時間が異なるため一概には言えないものの、窓口の受付時間を16時までとしているところが大半です。
窓口が閉まってから赴いても意味がないので、早めの行動を心がけるよう注意してください。
事業報告書の提出を忘れると
提出しなければならないということは、つまり提出し忘れると不利益を被るという意味です。
報告書を提出しなかったり、報告書の記載に虚偽があったり、報告書の内容に法令違反があったりすると、その会社は運輸局の監査対象となります。また、行政処分を受けることにもなります。
事業報告書未提出の場合、初回なら警告、再違反では10日車の処分。虚偽の報告なら初違反で60日車、再違反で120日車もの処分を受けてしまいます。
故意の違反はもちろん、過失によって処分を受けてしまうこともないように注意しなくてはいけません。
事業報告書の内容
事業報告書は表紙を含めて8枚で1セットとなっています。簿記の知識が必要な箇所もあるので少しばかり難しいイメージがつきまといますが、
一つ一つポイントを解説していきますので、書く際の参考にしてください。
表紙
まずは表紙です。表紙という言葉から想像されるよりも記入欄が多いためいきなり躓いてしまうかもしれませんが、よく見てみると難しい項目はありませんから、落ち着いて欄を埋めていきましょう。
表紙の右上には事業者番号を書き入れるスペースがありますから、自社に割り振られている9ケタの番号を書き入れてください。
そのすぐ下に提出年月日と、住所、事業者名、代表者名を記入します。さらに提出先と決算期間、事業種別を記入して、表紙は完成です。
提出先は○をつけるだけではなく、提出時の国土交通大臣もしくは管轄地域の運輸局長の氏名を記入する必要がありますので、忘れないよう注意してください。
事業概況報告書(第1号様式)
2ページ目に第1号様式が来ます。事業概要報告書ですね。まずは表紙と同様、9ケタの事業者番号と決算期間を書き入れてください。
それが終わったら経営規模や主な株主、役員構成、経営している事業を順番に記入していきます。特に複雑な計算をするような項目もありませんので、そのまま書いていくだけと考えて問題ないでしょう。
従業員数については、完全に部門別に人員が分かれているのであればそのまま書き入れるだけです。一人が複数部署を担当している場合が迷いどころですが、売上ベースなどでの按分でも構わないとされています。
一般貨物自動車運送事業損益明細表(第2号様式)
3ページ目に第2号様式があります。事業の損益明細表ですね。これが事業計画書の中で一番重要な書面であると言っても過言ではありません。
まず事業者番号や決算期間、会社の情報を書く必要がある点はこれまでと同じです。それらを書き終えたら、収益や費用について書いていくことになります。
一般貨物の実運送だけを行っているのであれば、決算書をそのまま転記するのがよいでしょう。付帯事業で売り上げが立っているのであれば、運送雑収として記載する必要があります。
一般貨物自動車運送事業人件費明細書(第3号様式)
4ページ目に第3号様式があります。内容は人件費に関しての明細です。運送費と一般管理費に分けて、従業員の給与や賞与、厚生福利費などについて記入していきます。
ドライバーの人件費は運送費、事務職の人件費は一般管理費になることだけ気をつければ、あとはさほど難しく考えなくてもすらすらと書いていけるはずです。
ちなみに、運送に関してドライバー以外の作業者が関わっている場合もあるかと思います。その場合、当該作業者の給料等は「その他の人件費」という項目に記入してください。
財務諸表
5ページ目は財務諸表です。いわゆる損益計算書ですね。簿記の知識がある人なら苦にせず書くことができるでしょう。
もちろん、簿記の資格を持っていなければ書いてはいけない、などということはありません。要するに間違いがなければよいのです。
一般貨物自動車運送事業だけを営んでいるのであれば、決算書の損益計算書を転記するだけですし、さらに言うならばコピーしたものを添付してしまうのでも構いません。
運送事業以外も行っているということなら、その事業の売上と経費、営業利益も記載しましょう。漏れがないように注意してください。
貸借対照表1
6ページ目は貸借対照表の1枚目です。なぜ貸借対照表が2枚あるのかと言えば、資産の部と負債の部・純資産の部で紙が分かれているからですね。6ページ目に来ているのは資産の部のほうです。
これも簿記の知識があれば問題なく書いていけるはずですし、資格を持っていない場合でも、決算書の内容を書き写すだけですので、深く考える必要はありません。
財務諸表と同様、コピーを添付するのでも受け付けてもらえます。
なお、会社の決算書と事業報告書のフォーマットとで項目名が異なっているケースが考えられますが、そのときは修正テープなどを使って項目名を訂正することが認められています。
貸借対照表2
7ページ目には貸借対照表の2枚目、負債の部および純資産の部があります。
結局のところ前のページの片割れですから、資産の部とまったく同じように、決算書の内容を転記するだけで構いません。コピーを添付して提出することも可能です。
ちなみに貸借対照表は資産の部を「借方」、負債の部・純資産の部を「貸方」と呼びますが、借方金額の合計と貸方金額の合計は必ず等しくなります。
念のため、提出する前に6ページ目と7ページ目の金額が一致しているかどうか確認しておくとよいでしょう。
注記表
最後の8ページ目にあるのが注記表です。貸借対照表の補足事項を記入するページです。これも決算書をコピーするか、内容をそのまま転記して提出してください。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?事業報告書は記入項目こそ多いですが、必要とされる知識はさほど難しいものではありませんし、
形式も決まっているので慣れてしまえばスムーズに提出まで持っていけるはずです。困った際はぜひ本記事の内容を参照して、間違いのないように書類を整えてください。