【平成31年改正】標準引越運送約款の内容や改正したポイントを解説!
平成31年4月、標準引越運送約款が改正されました。
キャンセル料について、運賃について、事業者の責任についてなど様々な点が見直されたのですが、業者の側も利用者の側も、具体的にどう変わったのかを把握しないことには安心して引っ越しを行うことができませんよね。
そこで今回は、これから引っ越しを考えている方、もしくは運送業に勤めていて引っ越し業務に関心を持っている方のために、約款の改正ポイントについてわかりやすく解説していきます。
Contents
標準引越運送約款とは
そもそも、標準引越運送約款という用語自体に聞き覚えがないという方も多いはずです。引っ越し業者に勤めている方はともかく、一般の利用客の立場ではまず耳にすることのないであろう言葉ですよね。
標準引越運送約款とは、引っ越し業者と顧客とのトラブルを防ぐため、国土交通省が定めている標準的なルールのこと。
多くの引っ越し業者がこの標準引越運送約款をそのまま採用していることからも、その名称のとおり業界における標準的なルールであると考えてよいでしょう。
中には独自のルールを採用している業者もありますが、その場合でも国土交通大臣の許可を受けていることが大前提となっています。
なお、あくまでも業者と顧客とのトラブルを防止するのが目的の制度ですから、家庭の荷物を消費者本人が運ぶ場合にはもちろん適用されません。
引越約款のポイント
標準引越運送約款の概要が把握できたところで、次は具体的な内容を見ていきましょう。主だったポイントに絞って説明しますので、知りたい箇所があったら目を通してみてください。
見積り
まずは見積りについての注意点を確認していきます。
見積りには基本的に下見が伴います。下見をしなければ見積りや引っ越しができない、というわけではないので絶対に必要とは言えないのですが、荷物量や搬入経路、付帯作業の有無などを事前に打ち合わせていないと後々トラブルになるおそれもあります。
電話やインターネットの見積りだけで話を進めるのは避けたほうが無難です。見積りそのものは無料で、内金や手付金なども請求しない決まりになっていることも、記憶に留めておいたほうがよいでしょう。
引っ越し業者と顧客との約束事は見積書に記載されます。打ち合わせで確認したことがあったら、忘れずに明記してもらいましょう。
貴重品、壊れ物の引き受けについて
現金や通帳、宝石や貴金属といった貴重品の扱いも気になるポイントの一つですよね。これらの荷物については、事業者側で受付を拒否することがあり得ます。その旨は約款に明記されていますから、必ず押さえておきましょう。
- ブランド物の高級品
- 家族の形見
など、主観的に大切なものも貴重品類と見なされます。もしもこうした荷物があるのであれば、事前に引っ越し業者に申告するようにしてください。
また、食器などの壊れやすい物に関しては梱包に「こわれもの」と表示しておくと、破損の防止に繋がりスムーズな引っ越し作業を行うことができます。
荷造りについて
衣類やバッグは大きな段ボールに入れましょう。しわになることを防ぐため、無理に詰め込もうとせずに余裕を設けておくのがコツです。段ボールの中で荷物が動くことを避けるため、緩衝材を入れるのがよいでしょう。
一方、本やCD類は小さな段ボールに詰めるのがポイント。CDやDVD・BDに関しては、割れを防ぐために立てて入れるのがコツとされています。
キャンセル料
キャンセル料に関しては、標準引越運送約款に明確な記載があります。
解約・延期にかかる手数料として定められており、
- 前々日で運賃および料金の20%以内
- 前日で運賃および料金の30%以内
- 当日で運賃および料金の50%以内
となっています。急な変更になればなるほどキャンセル料が上がっていきますし、トラブルにも繋がりやすくなりますから、予定が変わる場合は早めに引っ越し業者への連絡をしておいたほうがよいでしょう。
荷物の破損、消失
引っ越しに伴って荷物の破損や紛失が発生した場合、事業者が注意を怠らなかったことを証明しない限りは、事業者が損害賠償の責任を負うと定められています。
ただし、引っ越しの作業日から3ヶ月以内に顧客からの連絡がなければ事業者の責任が消滅する、という規定もあります。荷物の破損や紛失に気づいたら、できるだけ早く事業者に連絡することをおすすめします。
約款変更に伴い事業者が行うこと
ここからは、平成31年の改正で約款がどのように変わったのかを確認していきます。
約款の変更
標準引越運送約款は多くの引っ越し業者が採用しているものですから、改正と聞くと影響が大きそうに思えるかもしれません。
それは全体を見れば事実そのとおりなのですが、個別の会社の業務コストに関して言えば、むしろ独自約款を使っていた会社のほうが大きいと言えます。
というのも、標準約款を使っていた事業者は、そのまま改正された新しい約款を使うことができるからです。
一方、独自約款を使っていた事業者は、標準約款改正の趣旨を反映した新しい独自約款を作り直し、改めて運輸支局に許可を求めなければなりません。
約款の提示
改正された内容の中で大きなポイントの一つは、約款の提示に関するルールです。引っ越し業務を行う事業者は、新しい約款を顧客に提示することを求められるようになりました。
約款の掲示
もう一つのポイントとして、約款の掲示が挙げられます。事業者は、改正された約款を営業所に掲示しなくてはなりません。旧約款を掲示している場合は張り替えが必要になります。
経過措置
約款が改正されたのは平成31年4月でした。見積り日や引っ越し日が4月1日をまたいでいた場合、新約款が適用されることになります。もちろん、事業者はその旨を利用者に説明しなくてはなりません。
まとめ
皆さん、いかがでしたか?
標準引越運送約款の改正は引っ越し業界全体に波及するほど影響の大きなものですが、顧客に安心してサービスを利用してもらうという点では必要な改正だったと言えるでしょう。
事業者は義務を果たせるよう、利用者としては損をしないよう、しっかりと内容を覚えておくことが大切です。