井桁積みとは?荷崩れしないパレタイズの方法を学ぼう!
物流業界で働くなら身につけておきたいスキルの一つがパレタイズです。そのパレタイズの中でもよく用いられる方法の一つとして、井桁積みが挙げられます。
井桁積みとはいったいどのような積み方なのでしょうか。また、他にはどのようなパレタイズ方法が存在するのでしょうか。
今回はパレタイズについて知りたい方のために、井桁積みの意味や使いどころについて、また他のパレタイズのパターンについてなど、パレットに荷物を積む際に役立つ知識をまとめました。
Contents
井桁積みとは
井桁積みはパレタイズの方法の一つ。まずは井桁積みというのがどういう積み付け方なのか、そしてどのような荷物に適しているのかを確認していきましょう。
井桁積み(交互積み)
井桁積みとは、平行2列で各段交互に積み重ねる方法です。
パレット上に積み付けた荷物を真上から見たとき、ちょうど漢字の「井」の形を描くようになることから、井桁積みという通称で呼ばれます。各段交互に重ねていくことから交互積みと言われることもあります。
積み方が簡単であること、積み終わったときにベルトが締めやすい状態になること、パレットに荷重が均等にかかることといったメリットがあります。
井桁積みに適した荷物
井桁積みを行うことによって、個々の段ボールやコンテナがひとかたまりの荷物のようになって安定します。結果、パレットが多少揺れたり傾いたりしても倒壊しにくくなるのです。
段ボールやコンテナ、米俵や飼料といった袋詰貨物、レンガ・石材など、同一形状の荷物を多数パレタイズする場合に適した積み方です。
パレタイズとは
ところで、そもそも「パレタイズ」の意味をご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。パレタイズは物流業界ではよく使われる専門用語なので、この機会に覚えてしまいましょう。
パレットに荷物を積む作業
パレタイズとは、パレットに荷物を積み付けてまとめることを指す物流用語です。
一般的にはドライバーや倉庫作業者が手作業で行いますが、持てないほど重い荷物や、人力で捌けないほど大量の荷物をパレタイズしなければならない場合は、パレタイザという機械を使って自動的に行うこともあります。
また反対に、パレットから荷物を下ろす作業のことを「デパレタイズ」と呼びます。パレタイズと同様、デパレタイズもシステムを使って作業を自動化する場合があります。
積み込みと積み付け
ここまで使ってきた「積み付け」という言葉を聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれません。「積み込み」であれば一般的にも知られた言い回しですが、「積み付け」となると物流業界以外ではなかなか聞かない用語です。
この二つはそれぞれ意味合いが異なるので、文脈によって適宜使い分けなくてはなりません。
「積み込み」は、単純に荷物を積んで入れることです。一方「積み付け」は、限られた空間に貨物を効率よく配置することを指す言葉です。パレタイズは積み付けの一種であるとわかりますね。
パレタイズその他のパターン
パレタイズには井桁積み以外にも様々なパターンがあります。それぞれ特徴がありますので、状況や荷物によって使い分けることが求められます。
レンガ積み
まずはレンガ積みについて説明しましょう。レンガ積みとは、1つの段で荷物を縦横に向きを変えながら積み付ける方法です。
各段の配列そのものは同じなのですが、段を重ねるごとに180度向きを変える点に注意しましょう。正しくレンガ積みを行うと、横から見たときの荷姿がレンガ造りの構造物のように見えます。
レンガ積みは荷崩れを防止する効果が非常に高い方法です。また、検品のとき商品が見やすくなるというメリットもあるため、物流の現場では頻繁に使用されます。覚えておいて損はないでしょう。段ボールや袋詰貨物を扱う際に適しています。
ブロック積み
ブロック積みは、全ての荷物を同じ方向に並べ、それぞれの段の配列もまったく同じにして積み上げるパレタイズ方法です。
いろいろ積み付け方がある中で最もわかりやすく、かつ最も簡単な積み方と言えるでしょう。ブロック塀などをイメージしていただければわかりやすいのではないでしょうか。ブロック積みは段ボール入りの荷物で主に使われます。
ただし、単純なぶん横方向の揺れに弱い点には注意が必要です。ただ積んだだけでは荷崩れするおそれがありますので、荷姿を作ったあとはベルトなどで固定することをおすすめします。
ピンホイール積み
ピンホイール積みは、荷物を縦横に組み合わせて風車形を作りつつ、中央に空間を設けるパレタイズ方法です。このとき、段ごとに向きを変えて積むのが荷崩れを防ぐポイント。
風車形を作る都合上、長方形の荷物を積む際に用いられます。より正確には、最終的にできあがる風車形は正方形なので、長方形の荷物を正方形のパレット上に積み付けるときに使われる方法と言えるでしょう。段ボール、袋詰貨物を積む際に有効です。
スプリット積み
形状の違う段ボール箱をレンガ積みした際、相互間に隙間ができるように積むことをスプリット積みと言います。
基本がレンガ積みなので、荷崩れに強いのが特徴。積み方も比較的簡単ですし、バンド等による固定も難しくないため、倉庫の現場などではよく使われる方法です。
パレタイズに役立つ道具
パレタイズの際には、補助として様々な道具を使うと荷崩れ防止などの役に立ちます。どんな道具があるのか見ていきましょう。
ストレッチフィルム
ストレッチフィルムとは、出荷の際に使う荷崩れ防止のフィルムのこと。物流の現場では「ラップ」と表現することも多いでしょう。事実としてその通称のとおり、ポリエチレン製の透明のラップです。
ストレッチフィルムの特徴は、
- ラップ自体に伸縮性がある
- 自己粘着性がある
伸縮性があるために巻き付けるだけで荷物を縛る効果が得られますし、自己粘着性があるためにテープ等を使わなくてもしっかり固定することが可能です。
ストレッチフィルムにはハンディサイズのものから大きなものまで様々な規格があり、様々なメーカーから販売されていますので、荷物の大きさに合わせて使い分けるとよいでしょう。
荷崩れ防止ベルト
パレタイズした荷物にかけるためのベルトを開発・販売しているメーカーもあります。
発想としてはストレッチフィルムと同様、荷物を縛るというもの。パレタイズした荷物の上から幅の広いベルトを巻いて、積み付けた荷物をその荷姿のまま固定するのです。
荷崩れ防止専用のベルトということもあり頑丈で、ぐるぐると何重にも巻き付ける必要のあるストレッチフィルムと比べて作業時間を短縮することができます。一人で問題なく作業できるところもありがたい特徴です。
緩衝材
荷崩れを防ぐためには、トラックに積み込んだ後、荷物の間に緩衝材を挟むことも有効です。
一口に緩衝材と言っても様々な製品がありますが、トラック輸送で役に立つのは、空気で膨らませるタイプの緩衝材でしょう。
ちょうどいい大きさまで膨らませて荷物の間のスペースを埋めることで、振動や衝撃による荷崩れから貨物を守ることができます。
もちろん、専用の緩衝材でなくても構いません。要は荷物が動いたり干渉したりといったことを防げればよいのですから、空き段ボールやトラックボードなどで代用する手もあります。
ネット
ネットをかけて荷物を縛る方法もあります。荷崩れ防止用商品として販売されているネットを、パレタイズした荷物の上から被せるだけ。簡単に固定することができます。
井桁積みはキャンプファイヤーにも
余談ですが、運輸や倉庫の現場以外でも井桁積みを活動できるシーンがあります。それは、キャンプファイヤーを行う場合。
キャンプファイヤーにおける薪の組み方で、最もオーソドックスなものとして知られているのが井桁積みなのです。井桁積みで薪を組むと、火柱が大きくなります。
その分燃え尽きるまでの時間が短くなってしまうというデメリットと表裏一体ではありますが、迫力のあるキャンプファイヤーがしたいのであれば試してみるとよいでしょう。
まとめ
段ボールやコンテナをパレタイズするときには、井桁積みを行うことによって荷物の安定を得ることができ、ひいては荷崩れを防止することができます。
他のパレタイズ方法とともに覚えておくと、物流の現場で活躍できる人材になれるでしょう。