ルート配送を効率化・最適化することは可能?効率化のために導入したいサービスを紹介
ルート配送とは、決められたものを決められた道順に従って納品することを指します。あらかじめ契約を交わしてある特定の取引先のもとに配送する方式で、スーパーやコンビニの各店舗に商品を補充するといった例が代表的でしょう。
今回は、そんなルート配送を効率よく行うための心得や、業務を改善するためのヒント、ルート配送をする際に活用できるサービスについて紹介致します。
ルート配送の効率化が進まない3つの原因
そもそも、ルート配送の効率化を難しくしている要因は何なのでしょうか。
原因として3つの課題が挙げられます。順番に見ていきましょう。
ルートの選択肢が多くて選べない
まず考えられるのは、ルートのパターンが多すぎる場合です。
ルート配送の道順は何件に何台で配送するかによって決まります。つまり、配送先の件数が多ければ多いほど、そして配送のために稼働する車の台数が多ければ多いほど、パターンは増えます。
また、配送先の営業時間や時間指定といった条件があると、ルートのパターンはさらに複雑になります。
各ドライバーの仕事量を均一にしなければならない
ドライバー一人あたりの仕事量もルート決めを制約する要因の一つです。
たとえば、走行距離の長くなるルートを特定のドライバーに毎度毎度任せていたら、そのドライバーは「自分ばかりが大変な思いをしている」といった具合に不満を持ってしまうでしょう。
逆に、極端に走行距離の短くなる仕事ばかりを任せるのもよくありません。周囲の不満が溜まるでしょうし、当のドライバーにしても「自分は戦力として頼りにされていないのか」と気落ちしてしまいかねない状況になるからです。
こうしたことを避けるには、各ドライバーの仕事量をできるだけ均一に保つことが大切になってきます。
現状のシステムではルート計算に時間がかかる
先に述べたように、ルートのパターン数は配送先の件数とトラックの台数が多くなるほど増大します。現実にはそこに場の有無といった諸条件も加味しなければならないため、さらに複雑な計算が必要になってきます。
計算のために長い時間をかけることができればよいのですが、物流において時間は非常に貴重なものです。ルートの一つ一つを吟味している余裕などないと認識しておくべきでしょう。
ルート配送効率化のためにできること
では次に、上記の問題点を踏まえたうえで、ルート配送を効率化するためにどういった手を打てるのかを確認していきましょう。
既存のマニュアルを見直す
作業効率を向上させることを考える際、真っ先に見直すべきなのが作業マニュアルです。
特にルート配送の場合、毎回同じところで同じ手順を繰り返すことになるわけですから、無駄があればその影響は日を追うごとに積み重なっていきます。
手際よく回れるルートを選ぶだけが効率化ではありません。まずは一つ一つの作業に無駄がないかをチェックしてみましょう。
各ドライバーの作業時間や積載量をチェックする
ドライバーの作業時間や積載量を把握しておくことは、配車する側の大事な業務です。
特定のドライバーに大変な仕事ばかりを任せていたり、逆に楽な仕事ばかりを与えていたりすると、ドライバー間に不公平感が生じ、職場の雰囲気の悪化に繋がります。そうなると仕事においてもよいパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。
それぞれのドライバーがどれだけの時間作業したのか、どのくらいの距離を走ったのか、積んだ荷物の量はどれほどだったか。そういったことをチェックし、「この人には昨日長距離を走らせたから今日は短く」というように、仕事量が均等になるよう管理しましょう。
仕事を行うのは機械ではなく人間であるという意識を忘れないことが大切です。
最新の道路情報に関するデータを管理する
道路情報のデータを取得すると、配送に役立てることができます。
代表的な例が渋滞情報でしょう。お盆や正月期間といった時期には交通が集中しますし、地域で花火大会などのイベントがある場合も渋滞が起こり得ます。また、交通事故が発生したりして通行止めになっている場合も、配送に影響を及ぼします。
しかし、そういった道路情報をドライバーに伝えることができれば、トラブルを回避して時間どおりにルート配送を行うことができますよね。
道路情報に関するデータはこまめにチェックするよう心がけましょう。
効率化に役立つシステムやサービスを利用する
道路情報以外にもITを活かして効率化を図る手段はあります。
物流会社やドライバー向けのサービスとして、配送ルートを最適化できるシステムがいくつかリリースされているのです。
そういったシステムを利用することによって、最適なルートを割り出し、効率よく配送を行うことができるようになります。
ルート配送効率化に使えるサービス・システム
ルート効率化のために活用できるサービスやシステムにはどういったものがあるのでしょうか。代表的なものを4つ選んで紹介させていただきます。
ルートクリエイター
カメラやプリンタを触ったことがある方なら、キヤノンという名前を一度は聞いたことがあるでしょう。そのキヤノン子会社、キヤノンITソリューションズが提供している物流効率化支援システムが、ルートクリエイターです。
自動立案機能によって「時間最小化」「距離最小化」など目的に沿った配送計画を立てることができます。また、所要時間や走行距離、積載率といったデータまで自動で出力してくれるため、ドライバーの仕事量の管理もしやすくなります。
計画表示や地図表示機能によって配送計画を可視化することもできるため、配車マンが当日の運行を把握するうえでもありがたいツールと言えるでしょう。
グルっと
最適ルートを自動で作成システムです。クラウド上のサービスなので、ユーザー登録さえ済ませればすぐにでも利用できます。
住所リストを取り込むことで地図上に目的地をプロットし、効率的な訪問順を自動的に算出、最適ルートを作成してくれます。複数の目的地を一筆書きでグルっと繋げるような形になるから「GuRutto(グルっと)」というわけです。
ちなみに地図にはGoogleマップが使用されています。表示に戸惑う方は少ないと思われますから、それも強みの一つと言えますね。
輸送経路最適化コンサルティング
輸送経路最適化コンサルティングとは、富士通が提供している輸送ルートシミュレーションサービスです。
輸送時間やルートといった条件を考慮したうえで、どの車両がどの配送先にどういう順番で巡回すれば最も効率的になるかをシミュレーションすることができます。
ルート配送の効率化はもちろん、それによる物流コストや車両台数の削減、CO2排出量の低減にも役立ちます。
バス停方式
バス停方式とは、宅配最大手として有名なヤマト運輸が実施している配送の手法です。
ルート内の決まった場所(「バス停ポイント」と呼ばれます)にトラックを一時停止させてしまい、そこからは専門のスタッフが人力で、リヤカーつき自転車や台車を使用して配送先までモノを届けるという仕組みです。
車両はバス停ポイントまで走ればいいだけなので、直接配送先を回るよりも車両台数を削減できます。また、車よりも自転車や台車のほうが小回りがきくというメリットも。
CO2排出量の削減にも繋がりますから、時代に即したやり方と言えます。
今後のルート配送効率化について
将来の物流においてルート配送はどのように変わっていくことが予想されるでしょうか。最後に、今後の展望について考えてみましょう。
さらに細かい情報をコンピューターで管理する必要がある
まず、より詳細な情報を管理できるサービスが登場する可能性は高いでしょう。
現在は車両や配送先をベースにルートを決定するサービスが主流ですが、ドライバーのなり手が年々減少していることを考慮すると、これからは今以上にドライバーの労働力を資源として捉える見方が強まると予想されます。
点呼でチェックした各ドライバーの健康状態や、毎日の日報などをデータ化し、最適ルートのシミュレーションと紐付けるようなシステムが今後登場してくると考えられます。
最新のソフトやサービスをこまめにチェックする
物流業界を取り巻く環境の変化やテクノロジーの向上によって、物流支援サービスの需要も変化し、様々な新しいサービスが生まれてきます。
競合他社との競争で生き残るためには、最新のソフトやサービスに対してアンテナを張り、自社の課題を解決するために適切なものを導入していく必要があります。
業界の動向に目を光らせておくことがいっそう大切になっていきますね。