トラック運賃の相場や算出方法はどうやるの?法改正で変わった計算方法や注意点のまとめ
2020/11/06
トラックの運賃は、売上を左右する大きな要因です。
運賃に関して、「相場がどのくらいなのか」「どう計算するのか」「国の方針はどうなのか」などをまとめてみました。
トラック運賃の基本的な計算方法
具体的な運賃の計算方法を見ていきましょう。
運賃は運送料と運送以外の業務費を足した金額
今まで総合的に「運賃」とされてきたトラックの運賃ですが、平成29年の8月に「標準貨物自動車運送約款」が改正されたことで平成29年11月以降は運賃が明確化されるようになりました。
改正されてからは運送料金(運送の対価)と運送以外の業務費の合計が運賃ということになります。
これによってトラックの事業所は新しい標準約款を営業所に提示し、運賃・料金表の変更届け出を出さなければいけないようになりました。
この場合は運送料金以外の業務費である
- 「待機時間料」
- 「取卸料」
- 「積込料」
を新たに設定し提示しなければなりません。
基本の運送料は
- 「地域間で設定する」
- 「運送距離で設定する」
- 「運送時間で設定する」
といった算出方法があります。
また、荷主要求による
- 横持ち
- 縦持ち
- 棚入れ
- ラベル貼り
- はい作業
などは運送料金とは別に実費が請求されることもあります。
トラック運賃の原価の算出方法
それでは、具体的に運賃の原価を算出する方法を解説していきます。
「地域間ごとの基本」
これは例えば大阪―東京間ではいくら、東京 ― 仙台間ではいくらというように地域間ごとに運送料金を設定するものです。
トラックの事業所ごとに違っており、
- 「その地域に強い」
- 「長距離に強い」
というような会社ごとの強みが非常にでやすい運送料金の設定方法だと言えるでしょう。
「運送距離単価」
こちらは実際に走る運送距離を基準に運送料金を設定するというものになります。運ぶ区間の距離によって算出されるためにわかりやすい、明確であるというメリットがあります。
「運送時間単価」
こちらは運送するのにどれくらいの時間がかかるかという時間を基準にして運送料金を計算する方法です。距離と比べると曖昧な部分があり、会社ごとで算出方法は違ってきています。
トラック運賃の注意点
運賃を確認するときの注意点について、見ていきましょう。
4t(中型)や10t(大型)など積載量で金額は変わる
同じ距離を走るから同じ料金というわけではありません。もちろん4tトラックと10tトラックでは運賃は変わってきます。どのトラック会社でも基本的には「積載量」が大きいほど料金は高くなります。
それは
- ドライバーの人件費
- 燃料費
- 運んでいる荷物の量
などが影響しているためです。
プラスされる金額がある場合もある
基本料金に割増しされることもあります。例えば
- 高速道路を使う場合や早朝
- 深夜にトラックを走らせる場合
などがあります。
その中でも特に多いのが「急ぎ」の場合です。急いで運送してほしいというような場合は運送のスケジュールを変更しなければいけないこともあり、特別料金がかかってくることがあります。
行き帰りで金額が変わる場合がある
普通に考えると行きと帰りでは同じ料金のイメージがありますが、これも変わってくることがあります。
近くに事業所があるエリアから、あまり事業所がないエリアに向かう場合は高くなったりすることもありますし、比較的道路がすいている郊外と常に渋滞している都心へ向かう場合などではかかる時間や使用する燃料も変わってくるために料金が変わることがあるのです。
仲介業者を挟むと費用はさらに上がる
これはどの業界にでも言えることですが、間に業者を挟めば挟むほど料金は上がっていきます。つまり最終的にトラックを走らせてくれる会社に直接依頼する方が安くなるということが言えるのです。
トラック運賃の目安となる相場
それでは、どのくらいの運賃が相場なのか気になるところですよね。場所とサイズごとの平均運賃を見ていきましょう。
東京発の中型・大型トラックの相場
到着地 | 4t車 | 大型車 | 大型ユニック | セルフ車 | トレーラー |
札幌 | 160,000 | 200,000 | 210,000 | 220,000 | 400,000 |
仙台 | 65,000 | 80,000 | 90,000 | 110,000 | 160,000 |
名古屋 | 65,000 | 80,000 | 100,000 | 110,000 | 160,000 |
大阪 | 80,000 | 100,000 | 110,000 | 125,000 | 200,000 |
福岡 | 160,000 | 200,000 | 220,000 | 230,000 | 400,000 |
会社によっても当然運賃は変わってきますが、大まかな相場の目安です。やはり北海道や九州のように距離が遠く、海峡を渡ると運賃が高くなることがわかります。
大阪発の中型・大型トラックの相場
到着地 | 4t車 | 大型車 | 大型ユニック | セルフ車 | トレーラー |
札幌 | 230,000 | 300,000 | 330,000 | 360,000 | 600,000 |
仙台 | 145,000 | 180,000 | 210,000 | 230,000 | 360,000 |
東京 | 80,000 | 100,000 | 110,000 | 120,000 | 200,000 |
名古屋 | 60,000 | 70,000 | 85,000 | 95,000 | 140,000 |
福岡 | 80,000 | 100,000 | 110,000 | 120,000 | 200,000 |
こういった運賃は距離が基本的にはなりますが、それだけでは決まりません。
例えば東京 ー 大阪間は距離がある割には運賃は安めになっています。これは東京や大阪であれば会社や事業所も多く、荷物を運んだ帰りもすぐに積む荷物が見つかります。
しかし会社や事業所が少ない地域だと帰りが荷物がないカラの状態で帰ることになります。そういったことも考慮に入れて運賃は決められているのです。
トラック運賃の気になるQ&A
運賃について、よくある質問について回答していきます。
トラック運賃は上がったの?
トラックの運賃は2010年を「100」として考えた場合、
- 2018年4月で110.2%
- 2018年5月で110.3%
- 2018年7月で110.4%
と確実に上がってきています。
これは最近の
- 「燃料費の値上がり」
- 「ドライバー不足」
などが関係していると考えられています。特に燃料費は断続的に上昇しているため、運送料金に大きく影響を与えています。
どうして運送会社で料金の差があるの?
運送会社にはそれぞれに特徴があります。例えば、
- 「長距離専門か短距離専門か」
- 「普通の荷物専門か特殊荷物に強いか」
- 「大型貨物に強いか小型で小回りが利くほうに強いか」
などです。
それぞれが得意としている分野であれば料金が抑えられることがありますが、あまり得意としていないことを依頼すると料金が高くなってしまう傾向にあります。
運送を依頼する際にはどういった分野に強みがあるかを調べてから依頼することで料金を抑えることができるでしょう。
まとめ
これまでトラックの運賃はざっくりと決められていた部分もあったのですが、規定が変わったことで料金が明確化される動きになっています。
運送費とその他の業務費が細分化されて提示されることで、それぞれの会社の特徴もわかりやすくなりました。
運賃は、荷主側の運ぶものや距離、緊急性次第では、運送会社側が強く交渉に出ることも可能になります。昨今、ドライバー不足により「輸送側が断る」ケースも起こっているため、ドライバーをしっかりと抱えることが、競合優位性にもなり、荷主側と対等な交渉を行える武器にもなります。
また、運賃まで考えて仕事に取り組んでいるドライバーさんは、運送企業では喉から手が出るほど求められる人材です。
運賃と同じですが、自分の給与が相場から見て妥当なのかどうか、というところは常に把握しておくことは、より好条件の転職先を見つけるのにとても重要です。
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