精密機器輸送とは難しい?運べるもの、求められるスキル、給与などを解説!
トラック運転手の仕事の中でも、精密機器輸送は難易度の高い仕事だと言われています。これは、精密機器にデリケートで高価なものが多いことが理由です。
精密機器を運送する際は、高度な運転スキルと専門知識が必要になるため、普通のトラック運転より難しいのです。
今回は、精密機器輸送の特徴や難しいポイント、またお給料や勤務時間、必要な免許などをご紹介します!
Contents
精密機器輸送とは?
精密機器輸送は、通常の輸送とは違い、細心の注意を払わなければなりません。
ここでいう精密機器とは、主に
- 工場で使用する精密機械(投影機や三次元計測器)
- 医療機器(脳波計や人工透析装置)
- 天体望遠鏡
- 高級美術品
といったものが該当します。
なぜ精密機器輸送は難しい?精密機器輸送に必要なスキルとは
精密機器は、通常の輸送と同様の扱いにはなりません。精密機器というぐらいですので、細かな部品や設定が施されている機器もありますし、高級美術品であれば、温度や湿度といった、輸送コンテナ内の環境も維持しなければなりません。
ここでは、精密機器を輸送するのに必要なドライバーのスキルについて解説を行います。
高度な運転スキル
精密機器、全てに該当する事例として、衝撃に非常に弱い、ということが挙げられます。精密機器は、通常の機器以上に多くの部品が使用されていたり、その部品もかなり小さな部品が使用されているケースがほとんどです。
部品数が多かったり、設定が複雑な精密機器ほど、振動による影響を受けます。強振動で部品に負荷がかかりすぎたり、設定にエラーが出る可能性も捨て切れません。
また、機器ではなく、高級美術品や天体望遠鏡といった衝撃による直接的な破損の可能性も考慮しなければなりません。精密機器輸送の運転手は、輸送する精密機器の把握を行い、その精密機器に最も最適な環境の堅持を図り、そして衝撃を与えない確実な運転を行う必要があります。
梱包技術や組み立てなどの専門知識
精密機器輸送のドライバーは、高度な運転スキルと同様、梱包技術や組み立て技術も必須です。
どんなに運転スキルや環境維持の判断が適切でも、梱包がおろそかであれば、精密機器は少なからずダメージを受けます。梱包のスキルも、精密機器運輸のスキルの一つとして考えておくことが重要です。
また、現場によっては、搬入した精密機器の組み立てを求められる場合があります。精密機器は、輸送しやすいように「分解、梱包、輸送」という流れで進めますので、輸送先で分解した精密機器を組み立てることも仕事になります。
精密機器ドライバーには、運転スキルの他、「分解、梱包、組み立て」といった手先の器用さも求められますが、特別な資格等は必要ありません。あとは如何にして精密機器輸送に慣れ、スキルを向上させるかがポイントになります。
精密機器を運送する特殊なトラック「エアーサスペンション」とは?
精密機器輸送を行うトラックにとって、必須のアイテムが「エアーサスペンション」通称「エアサス」です。このエアサスがないトラックでは、基本的に精密機器輸送は不可能です。
精密機器輸送に絶対必要な「エアサス」に関して解説を行います。
運送中の振動を吸収する「エアーサスペンション」
「エアーサスペンション」の主な役目は、輸送中の荷物への衝撃を吸収することです。仕組みとしては、車を支えるサスペンション部分に、空気のバネを装着させているのが特徴になります。
この空気の力を用い、運転手の任意で車高の上げ下げを可能にしているのがエアサスです。また、荷物の重量に応じて荷台振動が自動的に調整されます。
このような衝撃吸収機能が備わっているため、振動に弱い精密機器輸送には必須アイテムとしてエアサスが挙げられるのです。
通称エアサス車の操作方法とは?
エアーサスペンション搭載車。通称エアサス車を操作するには、エアサス車に搭載されている車内リモコンを使用します。
エアサス機能を使用する際、重要なのはサイドブレーキを必ず引いてから行うことです。思わぬ事故につながりますので、この点は堅守しましょう。
エアサスリモコンのボタンで、車高の調整を任意に行うことができます。
また、機能として車高の高さを記憶できる機能も搭載されていますので、一度任意の高さを記憶させておけば、次回からボタン一つで、同じ高さにエアサスを調整することも可能です。
精密機器輸送の給料、勤務時間
精密機器輸送業務に興味がある場合、最も気になることは、給料や勤務時間といった待遇の面でしょう。ここでは、実際に精密機器輸送業務の給料や勤務時間といった内情について解説を行います。
精密機器輸送は高給を狙える?お金事情をご紹介
精密機器輸送の給料事情ですが、これは経験や地域、それに輸送する製品によって差がでています。
例えば、美術品の輸送に関してですが、最低で「月収17万円」を提示している企業もありますが、医療機器などの輸送では「月収20万円」以上が平均です。
また、年収ベースで見てみると「年収400万円〜500万円」が平均値になり、勤務時間も企業や輸送内容によって変わるようで「8時〜17時」の企業もあれば「5時〜24時」の間の実働8Hというアバウトな企業も散見されます。
精密機器輸送者の1日の流れ
実際に精密機器輸送の仕事では、1日をどんな風に過ごしているのかは気になるところです。ここでは、一例として精密機器輸送ドライバーの1日の流れを紹介していきます。
- 8時 出社。点呼等
- 8時30分〜9時 トラック点検
- 9時〜9時30分 訪問先確認、ルート確認、出発
- 11時〜12時 訪問先到着、梱包、搬出
- 12時〜14時 休憩を挟みながら搬入先へ
- 14時〜15時 搬入作業
- 15時〜17時 帰社。トラック点検、清掃等
- 17時 帰宅
簡単ではありますが、実際の精密機器輸送ドライバーの1日の例を挙げてみました。もちろん、このように順調にいかない日もありますが、一例として覚えておいて損はないはずです。
精密機器輸送の体験談をご紹介
ここでは、実際に精密機器輸送に携わるドライバーの口コミを紹介していきます。考え方や捉え方は人それぞれですが、プライドを持って行っている人がほとんどです。
体験談①
この業界はなくてはならない業界。特に医療機器などを運んでいると、誰かのためになっているという自覚が湧く。誇りを持ってやっている。
体験談②
精密機器輸送という非常に神経を使う仕事。誰でもできるわけではない。万が一、事故を起こしたらと考えるとゾッとする。運転スキルもそうだが、慎重に物事をすすめられる人がオススメ。
体験談③
勤務時間が不定期になる場合もある。繁忙期はとにかく忙しい。集中力が重要な仕事なので、肉体的にも精神的にも疲弊する。
精密機器輸送に必要な免許や経験は?
精密機器輸送は、先ほどから何回も挙げられているように、とても慎重さが求められますし、高い運転スキルが必須になります。ただし、それだけで精密機器輸送のドライバーになれるのでしょうか?
求人票を見てみると、基本的には未経験者でも歓迎されています。もちろん経験者を優遇する企業もありますが、未経験者だからといって尻込みをする必要はありません。
必要な免許は当たり前ですが普通自動車免許です。中型免許以上あれば不都合はありません。仮に中型を持っていなければ、企業によっては入社後に取得に行かせるようです。また、マニュアル車が運転できる方が好ましいでしょう。
大型免許に関しては持っていれば幸いですが、なくても2t、4t車の運転は可能ですので、そこは企業と話し合いながら、対応していきましょう。
精密機器輸送に向いている人の特徴
精密機器輸送に関して解説を行なっていますが、改めて精密機器輸送に向いている人の特徴をまとめてみました。
慎重な性格で、安全運転ができる人
何度も挙げますが、精密機器輸送に向いている人は、慎重な人です。デリケートな製品を扱いますので「だろう運転」を行う人は向いていません。
責任感の強い人
精密機器は、基本的に高額な部類に入ります。そのため、高額な商品を安全に届けるという、責任感の強さが求められます。
学習意欲がある人
精密機器輸送は、ただ輸送するだけではなく、梱包や組み立てといったスキルも必須になります。そのようなスキルを取得するためには学習意欲が必須です。常に新しいことにチャレンジできるような人が向いているといえます。
手先が器用な人
梱包や組み立ては、手先の器用さが求められます。体力がなくても、手先の器用さで不足分をカバーできる仕事が精密機器輸送です。現在、女性の精密機器輸送ドライバーも、多く活躍しています。
最後に
精密機器輸送と聞くと、ハードルの高い職種のように思えますが、現在は未経験の方の募集も多く行われています。しかし、扱う製品が製品ですので、
- 確実な運転スキル
- 高い責任感
- プライド
が必要です。慣れるまで仕事の難易度は高いですが、チャレンジするに相応しい仕事といえるでしょう。