フロン排出抑制法の概要について紹介!環境に大きく関係するフロン排出抑制法!
平成27年4月1日よりフロン排出抑制法が施行されましたよね。大まかに言うと環境を守るための法律ではありますが、概要についてどれくらいのことをご存知でしょうか。
フロン排出抑制法についてしっかりと把握しておかないと、罰則を受けてしまうことも考えられます。そこで今回は、フロン排出抑制法の概要や罰則などについて、詳しくご紹介していきたいと思います。
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平成27年4月1日からフロン排出抑制法の施行
エアコンや冷蔵庫の温度を下げたり、スプレーなどに使用されてきたフロンは空気中に排出されると、はるか上空の成層圏にまで達して分解されてオゾン層を破壊するということが判明しました。
業務用冷凍空調機器にはかなりの割合でフロンガスが使用されています。そのためこの業界には特にフロンを規制する必要性が主張されてきました。
そこで平成25年6月には「フロン回収・破壊法」が改正され、さらに平成27年4月には「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」と名称が変更されました。この法律のことを「フロン排出抑制法」と呼んでいるのです。
この法律ではフロンの生活サイクルに関係しているものすべてに対して法令の遵守が求められており、特に管理者(業務用冷凍空調機器の所有者など)には多くの法律上の義務が課せられているのです。
フロン類は環境にどう影響する?
このフロンというものは自然界にそのままの形で発生するものではありません。人工的に作り出された無色、無臭、不燃性の物質であり、分解されにくいという特徴があります。これらはどのように環境に影響しているのでしょうか?
オゾン層破壊
フロンは成層圏においてオゾン層を破壊するということがすでにわかっています。さらにフロンの仲間とされている「ハロン」や「臭化メチル」などに関しても同様です。
ハロンは消火剤として使用されてきましたが、フロンの10倍ほどのオゾン破壊を行うとされており、現在は使用禁止となっています。臭化メチルは害虫などをいぶすために使用されるガスですが、こちらも使用には制限がされています。
地球温暖化
オゾン層が破壊されていくと紫外線が直接地表に降り注ぐことになります。このことに加えてフロンには温暖化の効果もあるために、地球温暖化への影響も大きいものとなります。
特にオゾン層の破壊が顕著とされている北極や南極の上空からは紫外線が降り注いでいます。地球が温暖化となることで南極の氷が溶けて海に流れ込むと水面が上昇していきます。すると海抜がそれほど高くない地域や島などは海に沈んでしまうことになるのです。
フロン排出抑制法の概要について
フロン排出抑制の全体像
平成27年4月に改正されたフロン排出抑制法では業務用冷凍空調機器を取り扱う事業者に対して様々な義務が課されています。
フロン製造業者
フロン類の製造業者などは国が定めている「フロン類の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に従って、フロン類代替物質の製造等、フロン類の使用の合理化に取り組まなければいけません。
そして使用しているすべての機器を1台ごとに点検、整備記録簿を作ってその機器を廃棄する際まで、必ず行うべき簡易点検や定期点検などで記載しなければならない事項を記録して保存する必要があります。
また、それらを廃棄する際には工程管理票が必要です。さらに都道府県から立ち入り検査の要求があった場合はそれらに対して開示する必要があります。
機器製造業者
指定機器製品の製造業者等は国が定めている「指定製品の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に従って、使用フロン類による環境影響度の低減に取り組みます。
第一種特定製品の管理者は「管理者の判断基準」に基づいて管理している第一種特定製品について点検などを実施しなければいけません。
また、管理者のうち一定以上フロン類を漏えいさせてしまうと算定漏えい量などを国に報告しなければなりません。国はその報告に従って算定漏えい量を公表することになります。
第一種特定製品の整備車や廃棄等実施者はフロン類の充填、回収や機器の廃棄等が必要な場合は「第一種フロン類充填回収業者」に対して充填、回収の委託やフロン類の引き渡しを行うものとします。
充填回収業者
「第一種フロン類充填回収業者」が充填や回収を行う場合は、充填基準や回収基準に従って行うことになります。回収したフロン類について、自社で再生をしない場合は第一種フロン類再生業者またはフロン類破壊業者へ引き渡すものとします。
再生・破壊業者
「第一種フロン類再生業者・フロン類破壊業者」は引き取ったフロン類についてフロン類の再生基準や破壊基準に従って再生、破壊を行います。対象となるのは業務用の冷凍空調機器であり、冷媒としてフロン類が使用されているものです。
遵守しないと罰則を受けることも
フロン排出抑制法の義務に違反して法令を遵守しなかった管理者は罰則を受けることとなります。違反した内容に対して罰則があり、それぞれは以下のようになっています。
- フロン類をみだりに放出した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金。
- 機器の使用・廃棄等に関する義務について都道府県知事の命令に違反した場合、50万円以下の罰金。
- 算定漏えい量の未報告・虚偽報告の場合、10万円以下の過料。
また、算定漏えい量などに関しては国が精査、確認した上で公表されることとなっています。そのため事業者としては企業としての信頼を失うということにもつながってしまいます。
まとめ
フロン類は
- オゾン層破壊
- 環境破壊
- 地球温暖化
などに関係している重要な要因です。それらが排出される可能性がある業務用冷凍空調機器を扱っている事業者にはそれを扱う責任が義務付けられています。
関連するフロン排出抑制法などを正しく理解することで、法令を遵守していきましょう。